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66話

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 実況
・Force Stragy日本予選優勝はODDS&ENDS! 激戦を制し初代王者に輝きました!

 解説
・最終マッチにふさわしい、手に汗握るシーソーゲームでしたね!

 実況
・最後のヴィクター選手のキャラコンすごかったですね。フォージであんなことできるんですね

 解説
・いや、今まで見たことないですよ

「「「「「やったあああああ!」」」」

 勝利が決まった瞬間、すぐさま立ち上がりながらヘッドホンを外す。恐らく4人とも全く同じタイミングで同じことをしていたのだろう。俺が左右を見る前に横からタイガが飛びついてきた! それに続きテツも反対から、正面にはニシの顔も見えた。

「俺達が日本一だ!」
「やったぁ!」
「よっしゃ!」
「ナイス!」

 それぞれが思い思いの言葉を口にする。俺達は今、喜び一色に染まっている。
 結成からの目標だった日本一を達成したのだ。
 この4人だから出来たこと。
 この4人だからここまでやってこられた

「ヴィクターさん! ヴィクターさん!」

 全員がいったん落ちつき、抱き合っていた状態から離れると、目の前のタイガが泣き出していた。

「おいおい、タイガなに泣いてんだよ」

 笑いながら、タイガの頭をわしゃわしゃ撫でるテツ。そんなテツも少し目が赤いのを、俺は見逃さなかった。
 二人ともまだ、若いからな。感情を表現するのが得意のようだ。俺とニシは人前で泣くようなことは、もう……。
 そう思いニシの方を向くと、タイガよりも号泣しているニシの姿が見えた。思わず笑いがこぼれた。意外にも、ニシはこういう場面に弱いようだ。いや、色々と過去の想いと、重なるところがあるから余計なのかもしれない。

「ヴィクターさん。ありがとう」

 タイガが俺の目をまっすぐ見て、そう口にする。テツもニシも俺の方を見ている。

「いや、それはこっちのセリフだよ」

 タイガの言葉で、俺の中に様々な想いがあふれだしてきた。

 初めて本気でゲームに取り組むこと決めた日。
 もう二度とゲームをしないと誓った日。
 また頑張ろうと決意した日。

 その時、俺の下まぶたに涙がたまり始めたのが分かった。いかに、自分が夢中で必死で、真剣だったかがこの涙一つで良く分かった。
 俺ってまだ泣けるんだな……。


 実況
・勝者のODDS&ENDSにインタビューをしたいと思います。日本一おめでとうございます。今の率直な感想を聞かせてください。



 俺達が横一列になると、スタッフの人が脇からきて、タイガにマイクを渡した。

「本当に本当に、嬉しいです! 日本一の舞台で、この4人で勝てたこと。僕にとっては、努力と表現するには、あまりにも楽し過ぎる時間でしたが、ここまでやってきて本当に良かったです」

 手で涙をぬぐい、大きく息をしてから答えた。

「俺とニシは、タイガの影響で。そのタイガはヴィクターさんに感化されて。ゲームのアツい想いは繋がっていくんだと実感しました。今日これを見てくれた、人たちが未来の敵になることを楽しみに待っています!」

「ここにいる4人とも、一度は人生に絶望したことがある人間です。だけど、ゲームはこれほど夢中になれて、熱狂出来るものだということを、照明できたと思います。日本一本当に嬉しいです!」

 テツ、ニシと続くとだいたい言いたいことは、3人に言われてしまった。今の率直な感想か……。そうなるとこれしかないな。

「また、ゲームの舞台に。競技の世界に戻ってこれてよかったです」



 実況
・ありがとございました! このチームならではの想いが聞けたような気がしますね

 解説
・そうですね。タイガ選手の一番の功績はヴィクター選手を、もう一度競技の世界に引っ張て来たことかもしれませんね

 実況
・本当にそうですね。これからのフォージが、そしてeスポーツシーンが楽しみですね。それでは、選手の退場です。会場の皆さん、画面の越しの皆さん。激闘の試合を見せてくれた選手たちに、どうか大きな拍手でお見送りください



 舞台袖にはけて、控室に戻る。戻ったらすぐに帰りの用意をしなければいけないのだが、体が重すぎる。緊張から一気に解放されたことと、優勝への喜びが原因だからか、気分は最高だ。

「でも、本当に優勝しちゃいましたね」

 4人で廊下を歩いていると、ボソッとタイガが口にする。タイガの目標は初めからここだった。だけど、それが本当に現実として叶ったことが、まだ夢のように感じているのだろう。

「楽しかったな。苦しかったけど」

「それが本当の率直な感想だよな」

 テツのいうことにニシが同意するが。まさにその通りだ。

「おい!」

 後ろから声がしたので振り返ると、そこにはKARUMAとショーターがいた。それを見るやいなや、俺より先にタイガが反応して、少し前に出る。

「よかったな、俺達みたいなのじゃなく、いい仲間が見つかって」

 しかし、そう一言言ってすぐに去って行った。
 俺達はしばらく、あいつらがいた方を向いて立ち止まっていた。

「最低な奴らでしたけど、強かったですね」

 ニシの人ことがきっかけで、再び自分たちの控室に向かって歩き出す。

「ああ。俺が何もしていなかった2年間もずっとゲームの世界にいたんだ。なんだかんだ言って、積み上げている物の量を感じたよ」

 あの必死さを、俺といるときに見せてほしかった。
 いや、それは違うな。あの出来事がなければ、今の俺は無いし、3人とも出会えなかった。
 俺は恵まれていたのかもしれない。

「でも、僕達はそれに勝ったわけですからね!」

「そうだな」

 本当に、みんな強かった。でも、それに実力で勝ちきったことは、自信にも繋がる。
 それに反省材料もいっぱい出来た。これでまだまだ俺達は強くなれる。
 この4人で。
 この4人なら。

「でも、本当に疲れた。少し休みたいよ」

「老兵にはちょっとキツイ戦いだったもんな」

「だけど、1ヶ月後にはもう世界大会だよ」



「まあ、また世界一目指して頑張りますか!」

「はい!」「おう!」「ええ!」























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