上 下
1 / 1

家に帰ったら猫さんが人化していた話

しおりを挟む
「おかえりにゃ~」

 は? 誰……?

 玄関から上がってすぐのところに黒髪女性の姿があった。

 美人さんである。足も長ければ眉毛も長い。綺麗すぎんか?

 上下とも黒の服装だけはどうかと思うが、問題はそこではない。

 頭部に耳がある。見れば尻尾も生えている。

 この子、もしかして私の飼い猫のクロさんでは……?

 いやに馴れ馴れしいし、かと思えば素っ気なさもあるし、猫っぽさが取っ散らかっている。

 ホットミルクをご所望だったので捧げてみれば、事情を掻い摘んで話してくれた。

 どうやら一定以上の年月を経たため、人に変化する術を確立したらしい。

 聞けば私より年上だそうである。もちろん、人間換算で。

「崇め敬えにゃ~」

 でも相変わらず猫じゃらしには弱い。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...