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第21章 孫劉同盟編
第130話 龐統の仕官
しおりを挟む周瑜が総司令として、軍権を預かり、編成についても任されると、黄蓋、韓当、呂範、呂蒙、周泰、甘寧、淩統らを各隊の隊長に指名した。
動員する兵力は三万人。
揚州の兵力を考えれば、まだ、出せないこともないが山越族の反乱などに備えると、この三万というのが現実的な数字だった。
しかし、三万はただの三万ではなく、全て水軍として能力に長けた者を集めた三万である。
周瑜としては、これで十分、勝算が立つと考えていた。
劉備とも正式に同盟を結ぶことになり、晴れて諸葛亮と簡雍は、お役御免となるはずだったが、色々、理由をつけられて、柴桑の地にまだ逗留させられている。
もっとも、諸葛亮の方でも、ここを離れる機ではないと考えていたため、特に焦りなどはなく落ち着き払っていた。
「我が君に同盟の成立の報告と、兵一万をもって夏口で待機いただくようお願いいたせ」
早馬を飛ばして、劉備に献策をするなど、柴桑にあっても十分、軍師の仕事ができるため、特に問題はないのである。
劉備に夏口へ来るようお願いしたのは、おそらく周瑜は樊口あたりに軍を進めるはず。そこで、一旦、会談が設けられると読んだからだ。
曹操軍へ睨みを利かせ、孫権軍とも連携を図るとした場合、丁度よい場所が夏口なのである。
孫劉同盟が成ったことは、すでに曹操の耳にも届いているはずだ。
兵を増強した後で、どう動いてくるかだが、諸葛亮の読みでは決戦の地は更に西側の長江水域になるとふんでいる。
水軍の差で、曹操の足が鈍いことと、周瑜が自国領深くで戦うことを避けるとした場合、戦場となるのは、烏林もしくは赤壁あたりが候補になると考えられた。
いずれにしても荊州が戦場となる。長年住んでいた荊州の情報は全て頭の中に入っていた。
ただ、念のため、かの地の情報、地形に変わりがないか等を確認するため、現地に手の者を派遣する。
一通りの指示を終えると、丁度、周瑜の使いの者が訪ねて来た。
今後の作戦について打合せをしたいとのこと。諸葛亮は身支度を整えると、柴桑城へと向かう。
簡雍も誘ったが、別の用事があるらしく、諸葛亮は魯粛と二人で登城した。
城内に入ると張昭、虞翻当たりの視線が刺さってくるが、諸葛亮は気にも留めない。
気にすべきは、彼らよりも周瑜なのだ。
諸葛亮は、周瑜こそが孫権軍、随一の知者と認識をしており、少しでも隙を見せれば足元をすくわれるという思いもある。
しかし、そんな周瑜に会うことを諸葛亮は非常に楽しんでいた。
この独特の緊張感。
劉備に見いだされ、出廬していなければ、こんな経験は、けして味わえなかったと思っている。
諸葛亮は、気を引き締めて、周瑜が待つ会議場へと向かうのだった。
「やはり、手を組んだか」
曹操が、そう呟くと嘆息を漏らした。
今回の南征の目標は荊州制覇だったため、すでに達せられているのだが、最後の一点だけが残っている。
それは、劉備玄徳という稀代の英雄の存在。
その劉備を討つために、孫権の相手までしなければならなくなるとは、計算外以外の何ものでもない。
今、曹操が動かせる兵は二十万ほどだった。
孫権には八十万で攻めると脅迫した手前、あまりにも予告より少ない兵力で戦に望めば、相手に勇気を与えてしまう。
荀彧には、一度、手紙で増援の話をしていたが、その件を再び催促することになった。
ただ、襄陽城で援軍を待つだけの曹操に、賢者、来訪の報せが届く。
立派な身なりに整えた人物が、劉表の弔問のために襄陽城にやって来たのだ。
当初は、単に劉表の世話になった者が、訪ねて来ただけだろうと気にもしていなかったが、その人物の名を聞いて、飛び上がる。
何と、その男は鳳雛こと龐統士元だったのだ。
龐統は、劉表が懇意にしていた荊州の名士、龐徳公の甥だったため、その名代として弔事に訪れたのである。
普段は風来坊のような風体をしている龐統だが、よそ行きの正装をすれば、誰もが見惚れるほどに見栄えが変わった。知性と気品を兼ね備えた風格を多漂わせているのである。
弔問客としての作法や所作も完璧で、非の打ち所がない。
付き添った、襄陽城の者から思わずため息が漏れた。
弔意を示し終えて、立ち去ろうとすると龐統の行く手を遮るものが現れる。
「龐統殿であるか?少々、お待ちいただきたい」
「待てと言われて、本当に待つ人間は、どれくらいいると思っているのかね?」
その者の脇をすり抜けようとすると、今度は巨漢の大男が立ち塞がった。
「丞相がお待ちだぞぅ。ちょと、一緒に、こっち来るだ」
許褚に無理矢理、引っ張られる自分を想像すると、龐統は、「それもありか」などと、ふざけたことを考えるが、ここは素直に従ったほうがいいだろうと思い直す。
曹操の名前を出された以上、無視を決め込むのは後々、禍の種になりかねない。
龐統は、この巨漢の男について行くことにするのである。
襄陽城、城主の間に通されると、正面に目つき鋭い男は座っていた。
疑いようもなく、それが曹操だと分かる。
龐統が笑顔の裏で、曹操を値踏みするように、曹操の方でも龐統を品定めしていた。
見たところの風采は申し分ない。劉表の墓前での立ち振る舞いも完璧だったと聞いた。
やはり、鳳雛の道号は伊達ではないのだろう。
「龐統殿、ここでお会いできたのも何かの縁。できれば、その縁を深めたいと私は考えるのだが、どうだろうか?」
「それは仕官の要請ということでしょうか?」
「そう受け取ってもらって構わない」
随分、回りくどい言い方だが、こう誘われれば、おおよその人間は承諾するのだろうという感想を龐統は持った。
曹操には、そう言わすだけの威厳がある。
さて、どう返答したものかと考えているところ、柱の陰に懐かしい顔があるのを、ふと見つけた。
それは徐福である。
徐福は龐統が曹操に呼ばれたという情報を聞きつけると、慌てて様子を見に来たのだった。
もし、彼が曹操に仕官するようなことがあれば、劉備にとって最大の脅威となるのは、間違いない。
事の成り行きに気が気ではなかった。
そんな心情は表情にも表れる。
徐福の不安そうな顔を認めると、一瞬、悪戯小僧のような笑顔を見せた後、真顔で曹操に恭しく一礼する。
「丞相のお言葉、まことに感謝いたします」
「おお、では、私の元に仕官するのだな?」
「いえ、私は元来、根無し草。一箇所に長く留まっていられない性質でございます。このような性分では、ご迷惑をおかけすることになりますので、丞相が荊州の地にいる間だけは、お傍に仕えさせていただきたく存じます」
この回答に、半分喜び、半分落胆した。
しかし、考えようによっては、龐統を試用期間を設けて、お試しできることになる。
そこで気に入れば、強引にでも許都に連れて帰ればいいだけのこと。
曹操は、そう計算すると、龐統の提案を受け入れることにした。
「それでは、しばらく客分として扱わせてもらう。我が陣営には、龐統殿と旧知の徐福がいる。分からない事があれば、彼に聞いてほしい」
龐統は徐福と言われて、一瞬、誰のことか分からなかったが、単福の本姓は徐であったことをすぐに思いだす。
「承知しました。ありがとうございます」
礼をした後、広間を下がった。
廊下を歩いていると、ついてくる足音がある。
龐統は、それが誰か、承知していた。
足音が大きくなり、十分に近づくと、龐統は呼び止められる。
「士元、これは、一体、どういうことか?」
「どういうことも、何も、元直殿がご覧になっていた通りですが」
その言葉、額面通り受け取ると、龐統は曹操と劉備・孫権連合の戦いに関しての限定的ではあるが、曹操陣営について手を貸すということだ。
劉備は、今、窮地から脱しようともがいている途中。
ここで、龐統という強力な手札を曹操が得るのは、どう考えてもまずい状況だ。
「本気で申しているのか?」
「何を気にされているのか分かりませんが、しばらくの間は、お仲間ではありませんか。よろしくお願いいたします」
龐統は笑いながら立ち去る。
もし、諸葛亮と龐統が知力の限りを尽くして戦えば、どういう状況が起こるのか。
徐福には、まったく想像がつかなかった。
ただ、言えることは、お互い無傷ではすまないということである。
己の力量で、どこまで龐統に対抗できるかわからないが、徐福は常に目を光らせて友人を監視することに決めた。
「荷が勝過ぎると、同窓たちには笑われるだろうか」
徐福は、昔の仲間たちを思い浮かべると苦笑いをこぼす。とにかく、劉備のためにできることは全て、やろうと腹をくくるのだった。
動員する兵力は三万人。
揚州の兵力を考えれば、まだ、出せないこともないが山越族の反乱などに備えると、この三万というのが現実的な数字だった。
しかし、三万はただの三万ではなく、全て水軍として能力に長けた者を集めた三万である。
周瑜としては、これで十分、勝算が立つと考えていた。
劉備とも正式に同盟を結ぶことになり、晴れて諸葛亮と簡雍は、お役御免となるはずだったが、色々、理由をつけられて、柴桑の地にまだ逗留させられている。
もっとも、諸葛亮の方でも、ここを離れる機ではないと考えていたため、特に焦りなどはなく落ち着き払っていた。
「我が君に同盟の成立の報告と、兵一万をもって夏口で待機いただくようお願いいたせ」
早馬を飛ばして、劉備に献策をするなど、柴桑にあっても十分、軍師の仕事ができるため、特に問題はないのである。
劉備に夏口へ来るようお願いしたのは、おそらく周瑜は樊口あたりに軍を進めるはず。そこで、一旦、会談が設けられると読んだからだ。
曹操軍へ睨みを利かせ、孫権軍とも連携を図るとした場合、丁度よい場所が夏口なのである。
孫劉同盟が成ったことは、すでに曹操の耳にも届いているはずだ。
兵を増強した後で、どう動いてくるかだが、諸葛亮の読みでは決戦の地は更に西側の長江水域になるとふんでいる。
水軍の差で、曹操の足が鈍いことと、周瑜が自国領深くで戦うことを避けるとした場合、戦場となるのは、烏林もしくは赤壁あたりが候補になると考えられた。
いずれにしても荊州が戦場となる。長年住んでいた荊州の情報は全て頭の中に入っていた。
ただ、念のため、かの地の情報、地形に変わりがないか等を確認するため、現地に手の者を派遣する。
一通りの指示を終えると、丁度、周瑜の使いの者が訪ねて来た。
今後の作戦について打合せをしたいとのこと。諸葛亮は身支度を整えると、柴桑城へと向かう。
簡雍も誘ったが、別の用事があるらしく、諸葛亮は魯粛と二人で登城した。
城内に入ると張昭、虞翻当たりの視線が刺さってくるが、諸葛亮は気にも留めない。
気にすべきは、彼らよりも周瑜なのだ。
諸葛亮は、周瑜こそが孫権軍、随一の知者と認識をしており、少しでも隙を見せれば足元をすくわれるという思いもある。
しかし、そんな周瑜に会うことを諸葛亮は非常に楽しんでいた。
この独特の緊張感。
劉備に見いだされ、出廬していなければ、こんな経験は、けして味わえなかったと思っている。
諸葛亮は、気を引き締めて、周瑜が待つ会議場へと向かうのだった。
「やはり、手を組んだか」
曹操が、そう呟くと嘆息を漏らした。
今回の南征の目標は荊州制覇だったため、すでに達せられているのだが、最後の一点だけが残っている。
それは、劉備玄徳という稀代の英雄の存在。
その劉備を討つために、孫権の相手までしなければならなくなるとは、計算外以外の何ものでもない。
今、曹操が動かせる兵は二十万ほどだった。
孫権には八十万で攻めると脅迫した手前、あまりにも予告より少ない兵力で戦に望めば、相手に勇気を与えてしまう。
荀彧には、一度、手紙で増援の話をしていたが、その件を再び催促することになった。
ただ、襄陽城で援軍を待つだけの曹操に、賢者、来訪の報せが届く。
立派な身なりに整えた人物が、劉表の弔問のために襄陽城にやって来たのだ。
当初は、単に劉表の世話になった者が、訪ねて来ただけだろうと気にもしていなかったが、その人物の名を聞いて、飛び上がる。
何と、その男は鳳雛こと龐統士元だったのだ。
龐統は、劉表が懇意にしていた荊州の名士、龐徳公の甥だったため、その名代として弔事に訪れたのである。
普段は風来坊のような風体をしている龐統だが、よそ行きの正装をすれば、誰もが見惚れるほどに見栄えが変わった。知性と気品を兼ね備えた風格を多漂わせているのである。
弔問客としての作法や所作も完璧で、非の打ち所がない。
付き添った、襄陽城の者から思わずため息が漏れた。
弔意を示し終えて、立ち去ろうとすると龐統の行く手を遮るものが現れる。
「龐統殿であるか?少々、お待ちいただきたい」
「待てと言われて、本当に待つ人間は、どれくらいいると思っているのかね?」
その者の脇をすり抜けようとすると、今度は巨漢の大男が立ち塞がった。
「丞相がお待ちだぞぅ。ちょと、一緒に、こっち来るだ」
許褚に無理矢理、引っ張られる自分を想像すると、龐統は、「それもありか」などと、ふざけたことを考えるが、ここは素直に従ったほうがいいだろうと思い直す。
曹操の名前を出された以上、無視を決め込むのは後々、禍の種になりかねない。
龐統は、この巨漢の男について行くことにするのである。
襄陽城、城主の間に通されると、正面に目つき鋭い男は座っていた。
疑いようもなく、それが曹操だと分かる。
龐統が笑顔の裏で、曹操を値踏みするように、曹操の方でも龐統を品定めしていた。
見たところの風采は申し分ない。劉表の墓前での立ち振る舞いも完璧だったと聞いた。
やはり、鳳雛の道号は伊達ではないのだろう。
「龐統殿、ここでお会いできたのも何かの縁。できれば、その縁を深めたいと私は考えるのだが、どうだろうか?」
「それは仕官の要請ということでしょうか?」
「そう受け取ってもらって構わない」
随分、回りくどい言い方だが、こう誘われれば、おおよその人間は承諾するのだろうという感想を龐統は持った。
曹操には、そう言わすだけの威厳がある。
さて、どう返答したものかと考えているところ、柱の陰に懐かしい顔があるのを、ふと見つけた。
それは徐福である。
徐福は龐統が曹操に呼ばれたという情報を聞きつけると、慌てて様子を見に来たのだった。
もし、彼が曹操に仕官するようなことがあれば、劉備にとって最大の脅威となるのは、間違いない。
事の成り行きに気が気ではなかった。
そんな心情は表情にも表れる。
徐福の不安そうな顔を認めると、一瞬、悪戯小僧のような笑顔を見せた後、真顔で曹操に恭しく一礼する。
「丞相のお言葉、まことに感謝いたします」
「おお、では、私の元に仕官するのだな?」
「いえ、私は元来、根無し草。一箇所に長く留まっていられない性質でございます。このような性分では、ご迷惑をおかけすることになりますので、丞相が荊州の地にいる間だけは、お傍に仕えさせていただきたく存じます」
この回答に、半分喜び、半分落胆した。
しかし、考えようによっては、龐統を試用期間を設けて、お試しできることになる。
そこで気に入れば、強引にでも許都に連れて帰ればいいだけのこと。
曹操は、そう計算すると、龐統の提案を受け入れることにした。
「それでは、しばらく客分として扱わせてもらう。我が陣営には、龐統殿と旧知の徐福がいる。分からない事があれば、彼に聞いてほしい」
龐統は徐福と言われて、一瞬、誰のことか分からなかったが、単福の本姓は徐であったことをすぐに思いだす。
「承知しました。ありがとうございます」
礼をした後、広間を下がった。
廊下を歩いていると、ついてくる足音がある。
龐統は、それが誰か、承知していた。
足音が大きくなり、十分に近づくと、龐統は呼び止められる。
「士元、これは、一体、どういうことか?」
「どういうことも、何も、元直殿がご覧になっていた通りですが」
その言葉、額面通り受け取ると、龐統は曹操と劉備・孫権連合の戦いに関しての限定的ではあるが、曹操陣営について手を貸すということだ。
劉備は、今、窮地から脱しようともがいている途中。
ここで、龐統という強力な手札を曹操が得るのは、どう考えてもまずい状況だ。
「本気で申しているのか?」
「何を気にされているのか分かりませんが、しばらくの間は、お仲間ではありませんか。よろしくお願いいたします」
龐統は笑いながら立ち去る。
もし、諸葛亮と龐統が知力の限りを尽くして戦えば、どういう状況が起こるのか。
徐福には、まったく想像がつかなかった。
ただ、言えることは、お互い無傷ではすまないということである。
己の力量で、どこまで龐統に対抗できるかわからないが、徐福は常に目を光らせて友人を監視することに決めた。
「荷が勝過ぎると、同窓たちには笑われるだろうか」
徐福は、昔の仲間たちを思い浮かべると苦笑いをこぼす。とにかく、劉備のためにできることは全て、やろうと腹をくくるのだった。
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