人魚の涙

uni

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数十分待ったところで、
名前を呼ばれた。


「2名でお待ちの、山口様~」


無反応の依に対して
祐二が返事をして立ち上がる。


「よし、行くぞ」



え!?

驚く依をよそに、席につく祐二



「課長、山口って誰ですか」


驚きつつ、すこし笑いながら聞くと



「お前の同じチームにいるだろ、
成績の上がらない山口くんが。」


と、無表情で言う祐二。



「いや、ちょっと、、!
やめてくださいよ課長~、、
なんでわざわざ山口さんの名前使うんですか」



お腹がよじれるくらい笑うって
こういうことなんだろう。

と思いながらケラケラと笑う依。



(課長ー!ほんとやだ!私が笑ってても
相変わらず無表情なんだもん!!)



「課長、ひどいです!真剣にふざけてくるなんて」


笑いながらすこし睨んでみせると



「だって篝とか読みづらそうだし。
それならあいつの名前使ってやろうかと」



(こんなに変なことする人だったの?課長って!
面白すぎるんですけど!)



依の中で祐二のイメージは完全に覆ったに違いない。



「もう、笑わないでさ早く肉頼もうぜ」


つられたように笑う祐二がメニューを差し出す。



どれにしよう~と悩みつつ、祐二のおすすめを
頼んでもらうことにした。



「咲坂はお酒飲んでいいからな、
頑張ったお祝いだから遠慮すんな」



「え、、じゃあお言葉に甘えて。」




そして飲み物が到着すると、

2人はグラスをあげて、乾杯の用意をする。




「じゃあ、今日は咲坂の目標達成祝いで!乾杯~」



「ありがとうございます!」



(昼からお酒飲めるなんて、なんかすごい楽しい!)



上司の前でご飯を食べることに緊張してしまう依は

いつものように食べることができず、遠慮する。



「咲坂、遠慮せんでいいからな」



「え!いや、、はい、、。
なんでわかったんですか、、」



「だってお前、いつも職場でアポイントの前
お菓子食べてるだろ。」



笑いながらいう祐二に顔を真っ赤にする依




「し、知ってたんですか!?」


「そりゃあな、一応部下の行動はみとかないと」



(は、恥ずかしすぎる、、!)


そう思いつつも、恥ずかしさを捨て
地鶏を次々に頬張る依。



それを見る祐二の顔はとても優しかった。




今思えば、この時からすでに2人は

出会うべくしてこの関係になってしまったのかもしれない。




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