やがて目は覚める

レモン飴

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第1幕 やがて目は覚める

悪夢1

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 僕は、何も無い、真っ黒な空間を歩いていた。

 こんなに真っ黒な空間なのに、自分の手足などがハッキリと見えるのだから、これはもう、夢で間違いないだろう。

 真っ黒な中に、ガイドラインのように続いている道のような平面は、ずっと向こうまであるように見えて、気にしないようにしておかないと、気が遠くなってしまいそうだ。

 ふと、足をとめると、僕の目の前に扉が現れた。

 その扉は、下から順番に現れて、行く先を阻んだ。

 扉には、貼り紙がされている。

 開けるな、キケン。

 何がキケンだと言うのだろうか?

 道は1本道で、分かれてなどなく、この扉が勝手に現れて、僕の行く先を遮っただけだ。

 僕は扉のノブに手をかけて、ゆっくりと扉を開けた。

 ほら、やっぱり。

 扉の向こう側には道のような平面が続いているだけで、キケンそうなモノは何も無い。

 そう思った次の瞬間、僕は自分の腹に生温かい何かを感じた。

 何も無いように見えていた扉の向こう側から、急に、爪の鋭い大きな腕が飛んで来て、僕の腹部を貫いていた。

 何だ?これは・・・?

 体の力が抜けて、膝をつく。

 腕は引き抜かれて、真っ赤になった腕が、扉の向こう側へ消えて行った。

 傾く景色。

 道のような平面の上に、自分の血液が広がってゆくのと一緒に、徐々に視界がぼやけてゆく。

 ゆっくりと扉が閉まって、僕の意識もそこで途切れた。







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