「恐怖のアステラス製薬」純利益予想99%下方修正、4回も修正に疑念広がる

「4回の見通し修正の理由はいずれも異なる内容なので、変動要因が生じたため、その都度、見通しを修正したと考えられます。たとえば2月の下方修正の主な理由はべオーザの売上が想定を下回っていることであり、今回の修正理由は遺伝子治療プログラム『AT808』の研究開発が想定どおりに進んでおらず資産価値を見直して減損損失を計上したことです」

 実際にこれまでの下方修正の理由は以下となっており、内容はそれぞれ異なる。

●8月修正時
 ・日本での営業体制の見直しを含め、グローバルでの組織改革に伴う一時費用を計上予定:約200億円
 ・メッペル工場事業譲渡に関する減損損失:約70億円

●11月修正時
 ・レキスキャンに加え、Iveric Bio社買収の影響により下方修正

●2月修正時
 ・ベオーザ売上収益の下方修正に伴い、利益段階も下方修正
 ・費用の見直しにより、上記影響を一部軽減

●4月修正時
 ・フリードライヒ運動失調症患者を対象として研究開発を進めている遺伝子治療プログラムAT808について、資産価値の見直しを行った結果、AT808に関する無形資産の減損損失約400億円をその他の費用として計上
 ・日本および欧州で販売している腎性貧血治療薬エベレンゾTMについて、各国での販売状況を勘案して将来計画の見直しを行った結果、エベレンゾTMに関する無形資産の減損損失約160億円をその他の費用として計上
 ・ゾルベツキシマブの膵臓腺がんの開発計画の更新および為替レートの変動により、条件付対価に関わる公正価値変動額約80億円をその他の費用として計上

経営的リスクの高い製薬企業

 投資家にとって気になるのは、アステラス製薬の株は今、買いなのかどうか、現在保有している場合は手放したほうがよいのかという点だ。ちなみに同社の株価は昨年5月時点から3割以上下落しているが、佐々木氏はいう。

「長期的な目線でみた場合、同社のブロックバスターであるイクスタンジの特許が2027年に切れるため同薬の売上分が急減する可能性がある点はリスクではあるものの、現在さまざまな手を打っており、開発・販売中の医薬品が次なるブロックバスターとして確立されれば、振り返れば2024年が底値だった、となるかもしれません。一方で短期の目線でみた場合、現在厳しい状況にあることは事実であり、『ここでいったん手放す』という判断をする人もいるでしょう。

 一般的に製薬企業は新薬の開発に巨額の投資が必要であり、仮に開発にこぎつけても各国当局の製造販売承認というハードルがあり、発売しても想定通りの売上を上げられない可能性もある。また、ブロックバスターも発売から一定の期間が経過した時点で特許切れとなるため、経営的に抱えるリスクが大きい業種であるという点はおさえておくべきでしょう」

 アステラス製薬の11日終値は1584.5円となっている。

(文=Business Journal編集部、協力=佐々木悠/つばめ投資顧問アナリスト)