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第一章 血を受け継ぐ者
第10話
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「私がここに呼ばれた理由ってなんですか?」
お父さんが嘘をついてまで私をここに行かせた理由を
私は知りたい。
「さっきも話したけれど、あなたは白薔薇の正統な後継者。来月の満月の夜、その名を継いでもらいたいの」
「白薔薇姫の名を継ぐ?」
「そのためにあなたをここに呼んだのよ」
「ちょっと待ってください!そんなこと急に言われても困ります!」
いきなり白薔薇姫を継いでもらうって
私の意志は関係ないわけ?
白薔薇姫の話だって、今聞いたばかりだし
私には何の力もない、ただの高校生だよ?
そんなの無理に決まってる!
「ここ最近、封印した刀の力が弱まって、鬼の力の影響がこの村に出ているの。あなた、この村に着いたときに何か声を聞かなかった?」
「……」
「あれは、鬼の力によって目覚め始めた怨霊の声。まだ完全に復活できないでいる、あなたの力がほしくて叫んでいる。その声が日増しに強くなっているわ。だから今、この村の人が山に入るのを禁じているの」
あの低くて恐ろしい声が怨霊の声だったの?
私の力がほしくてあの黒い塊に引きずり込もうとしたの?
「戒が迎えに行かなければ、まだ力が目覚めていないあなたは簡単に怨霊に食べられてしまっていたわ」
「戒さんって一体何者なんですか?」
ただの失礼な人じゃないとは思っていたし
理事長に言われて私を迎えに来るくらいだから
白薔薇姫の話になにか関係している人かもしれない。
「戒は刀を守る四霊の一員、応竜の力を受け継ぐものよ」
白薔薇姫、力、怨霊、四霊?
頭がついていけない。
「今日はもう帰っていいわ。突然こんな話をされて疲れたでしょう。
戒、一之瀬さんを送って行って」
「はい」
戒さんがドアを開けて入ってきた。
ずっと部屋の前にいたんだ。
私は戒さんと学校を後にした。
ここに来る前と違って
戒さんはずっと黙っている。
沈黙が気持ち悪い。
「どう思った?」
沈黙を破ったのは戒さんだった。
「どうって…白薔薇姫のこととか、この村のこととかですか?」
「そう」
「突然のことでまだよく理解できません」
「ま、そうだろうな」
「戒さんは、白薔薇姫のことや鬼のこと四霊のこと、全部知ってるの?」
「まあな、物心ついたときにはその話を親父やお袋から聞かされてるし」
「嫌だとか怖いとか、思ったことはないんですぁ?」
「別に、それが自然だったから。お前みたいに今知らされた事実とかじゃないからなんとも思わない。刀の封印を守って鬼の力を復活させないのが俺たちの役目だから」
「そんな、役目だなんて」
生まれたときに
自分の役目がすでに決まっているなんて
私にはやっぱり分からない。
だってそれって、それ以外の未来がないみたいじゃない?
刀のために、村のためにしか存在していないみたいじゃない?
「どうした?気分悪いか?」
「いえ、大丈夫です」
「…まあ、すぐに受け入れられるものでもないけどさ、明日には他の四霊の連中とも会うし、そうすればこの話が本当だって分かるはずだ。あわてるなゆっくり知っていけばいい」
気がつけば家の前で
戒さんはじゃあなと手を振って自分の家に帰って言った。
私は誰もいない家の中に入って
深くため息をついた。
白薔薇姫、鬼の封印。
怨霊、私の力?
信じられない話。
だけど、聞こえた低い声で私を白薔薇姫と呼ぶ声。
怖くて、体が勝手に動いた。
あれは夢じゃなかったんだ。
理事長はお母さんも白薔薇姫の血を継いでいると言った。
だけど、私が知る限りお母さんは普通の主婦で
そんな話はしたことがない。
それに、お母さんが白薔薇姫だとしたら
どうしてこの村を出て行ったんだろう。
刀を守らなきゃならないはずのお母さんが
この村を出て行った理由は何?
私はこれから
どうなってしまうんだろう…
お父さんが嘘をついてまで私をここに行かせた理由を
私は知りたい。
「さっきも話したけれど、あなたは白薔薇の正統な後継者。来月の満月の夜、その名を継いでもらいたいの」
「白薔薇姫の名を継ぐ?」
「そのためにあなたをここに呼んだのよ」
「ちょっと待ってください!そんなこと急に言われても困ります!」
いきなり白薔薇姫を継いでもらうって
私の意志は関係ないわけ?
白薔薇姫の話だって、今聞いたばかりだし
私には何の力もない、ただの高校生だよ?
そんなの無理に決まってる!
「ここ最近、封印した刀の力が弱まって、鬼の力の影響がこの村に出ているの。あなた、この村に着いたときに何か声を聞かなかった?」
「……」
「あれは、鬼の力によって目覚め始めた怨霊の声。まだ完全に復活できないでいる、あなたの力がほしくて叫んでいる。その声が日増しに強くなっているわ。だから今、この村の人が山に入るのを禁じているの」
あの低くて恐ろしい声が怨霊の声だったの?
私の力がほしくてあの黒い塊に引きずり込もうとしたの?
「戒が迎えに行かなければ、まだ力が目覚めていないあなたは簡単に怨霊に食べられてしまっていたわ」
「戒さんって一体何者なんですか?」
ただの失礼な人じゃないとは思っていたし
理事長に言われて私を迎えに来るくらいだから
白薔薇姫の話になにか関係している人かもしれない。
「戒は刀を守る四霊の一員、応竜の力を受け継ぐものよ」
白薔薇姫、力、怨霊、四霊?
頭がついていけない。
「今日はもう帰っていいわ。突然こんな話をされて疲れたでしょう。
戒、一之瀬さんを送って行って」
「はい」
戒さんがドアを開けて入ってきた。
ずっと部屋の前にいたんだ。
私は戒さんと学校を後にした。
ここに来る前と違って
戒さんはずっと黙っている。
沈黙が気持ち悪い。
「どう思った?」
沈黙を破ったのは戒さんだった。
「どうって…白薔薇姫のこととか、この村のこととかですか?」
「そう」
「突然のことでまだよく理解できません」
「ま、そうだろうな」
「戒さんは、白薔薇姫のことや鬼のこと四霊のこと、全部知ってるの?」
「まあな、物心ついたときにはその話を親父やお袋から聞かされてるし」
「嫌だとか怖いとか、思ったことはないんですぁ?」
「別に、それが自然だったから。お前みたいに今知らされた事実とかじゃないからなんとも思わない。刀の封印を守って鬼の力を復活させないのが俺たちの役目だから」
「そんな、役目だなんて」
生まれたときに
自分の役目がすでに決まっているなんて
私にはやっぱり分からない。
だってそれって、それ以外の未来がないみたいじゃない?
刀のために、村のためにしか存在していないみたいじゃない?
「どうした?気分悪いか?」
「いえ、大丈夫です」
「…まあ、すぐに受け入れられるものでもないけどさ、明日には他の四霊の連中とも会うし、そうすればこの話が本当だって分かるはずだ。あわてるなゆっくり知っていけばいい」
気がつけば家の前で
戒さんはじゃあなと手を振って自分の家に帰って言った。
私は誰もいない家の中に入って
深くため息をついた。
白薔薇姫、鬼の封印。
怨霊、私の力?
信じられない話。
だけど、聞こえた低い声で私を白薔薇姫と呼ぶ声。
怖くて、体が勝手に動いた。
あれは夢じゃなかったんだ。
理事長はお母さんも白薔薇姫の血を継いでいると言った。
だけど、私が知る限りお母さんは普通の主婦で
そんな話はしたことがない。
それに、お母さんが白薔薇姫だとしたら
どうしてこの村を出て行ったんだろう。
刀を守らなきゃならないはずのお母さんが
この村を出て行った理由は何?
私はこれから
どうなってしまうんだろう…
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