白薔薇の紋章

サクラ

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第一章 血を受け継ぐ者

第9話

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白薔薇姫の封印は完璧だった。
あれから鬼の力が解放されることもなく
都の人々は平和に暮らしている。



しかし、その影で


このことを帝に伝えた陰陽師は
とんでもないことを提案された。


「その刀の力を衰えさせないために、七年にごとの満月の日に生け贄を捧げよう」と


最初は抵抗したものの帝に逆らう事はできず
翌年の生け贄には陰陽師自身が名乗り出た。

そうして始まった
白薔薇姫の血に染まった
呪いの歴史。







「その話が一体私と何の関係があるというのですか?」


理事長の話はあまりにも現実味がなさすぎる。
白薔薇姫?鬼?封印?
たとえその話が本当だとして
私になんの関係があるというの?
でもまって、今の話…
どこかで見たような記憶がある。


そうだ!私がここ最近見る夢。
さっきもバスの中で見たばかりだ。

ちょっと待って、こんな偶然があるはずがない。



「あなたは、その白薔薇姫の末裔なのよ」

「えぇ!?」

「あなたのお母さんもそうだった」


お母さんがお姫様?
そんな話聞いたことがない。



「そんなこと信じられるわけがない…」


待って…
そういえばバスを降りたときに「白薔薇姫」と呼ばれた。
やっぱりそれは私のことだったの?


「本当に何も聞いていなかったのね」

「はい…」

「そうよね、だからあの子はこの村を出て行ったのよね…」


あの子とは私のお母さんのことかな。
お母さんが村を出たというのは
さっきの理事長の話と関係しているのかな。

「信じられないかもしれないけれど、どうか信じてほしいの。この村のためにもあなたが必要なの」

「私が必要…?」

「そのためにあなたをこの村に呼んだのよ」

「え…?」


私がこの村に来たのは
お父さんの転勤があったからなんじゃ…

「あなたのお父さんに頼んであなたをここに呼んだのよ」

「な、なんで…?」


じゃあ、お父さんの転勤は嘘?
お父さんは私が白薔薇姫の末裔だって知ってたの?
なんで何も言ってくれなかったの?

「あなたのお父さんは何も悪くないわ。あなたに言わないでほしいとお願いしたのは私だから」


それでも、言って欲しかった。
お母さんがいなくなって
私の家族はお父さんしかいないのに…
お父さんと離れ離れになるの
本当は嫌だったのに。
それでも仕事だからって、我慢したのに。
そこまでして私がここに来なければいけない理由ってなんなんだろう…





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