白薔薇の紋章

「みんなも読めるはずだよ！だってこの記録をしたのは白薔薇姫だけじゃない、そのときに一緒に刀を守っていた四霊も入れ替わり記録を残している！ちゃんと見て！きっと頭に入ってくるはず！」

私は本を広げて、記録者の名前を指差す。
戒さんを中心に、四霊のみんなは本の前に座って文字を見つめる。



「…読めた」


「本当？浜崎さん！！」


「あぁ…読むというよりも頭に入ってくる感じだな」


「無理、俺全然わかんねー！」

そう言って戒さんは床に仰向けに寝転がる

「俺もだめだ」

続けて蓮さんも戒さんの隣に寝転がった

「俺は少し分かるような気がする」

鳳先生は別の本を持ち出して、パラパラめくり始めた。


「こういうのって、勉強ができるよしあしに関係するのかもな？その証拠に蛍や翼が読めるのに戒は読めない」


「てめぇ、その言葉そのままそっくりお前に帰すぞ！」

「オレはその気になればできるんですー！おまえとはちがうんですー！」

「てめぇ言ったな！だったら読んで見せろよ！あぁ！！」

戒さんが蓮さんの襟元を掴んで凄む。
ケンカが始まりそうな雰囲気に
みんなはやれやれと言う表情をしている。
いいから止めてよ！


「もう、二人とも今はそんなことをしている場合じゃ…」


私がそういいかけたとき、みんなの動きが止まる。
なんだか表情も険しくなっている


「珠姫！俺の後ろに来い！」

「ちょっと？」

戒さんに腕を引っ張られて体制を崩す。
転びそうになるのを戒さんがかばってくれたけど
この体制、抱きしめられているみたいで恥ずかしい！

体を離そうとしたけれど
強く腕を掴まれて動けない。

他の人たちも私と倫を隠すように前に立つ。


「静かにしてろ」

蓮さんにそう言われて、私は戒さんから離れるのをやめた。



カツカツ…

静まり返った部屋に誰かが近づいてくる足音が聞こえた。