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五対一の見合い
場違いな存在
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豪華。
大きな屋敷に、大きな庭。
見上げるのも大変な、高く立派な門。
明らかな場違いな自分。こんな所に、どうしているのだろう。人数合わせとはいえ、こんな自分に恥じる。どんな人が相手なのだろう。
場違いなのにどうしてこんなところに、ただの人数合わせ・・・・・・・・と矛盾する頭の中はどうにもならない。
どうしよう・・・ 今でさえ緊張しているのに、恥ずかしい思いをしているのに、お見合いが始まったら他の女の人もいるのに・・・
ヒシヒシと感じる、引き締まった空気。他に、四人の女の人がいる。歳も同じくらいか、それより少し上。
いかにも高そうな宝石をあしらった、髪飾り。細やかな刺繍の入ったドレス。そんな物がなくても目を惹く顔。 赤いドレス、緑のドレス、白いドレス、桃色のドレス。それぞれ、髪の色や目の色に合わせた色のドレスを着ている。
きっと四人共、身分の高い家の令嬢で、今日身につけている物だけで一体いくらなのだろう。自分だけ、メイド服。恥ずかしいの域を超え、ネフェル家の貧乏さを思い知らされる。髪だって、自分で編み込みをしただけ。髪飾りは、母が残したリボンだけ。豪華な暮らしが羨ましいとは思わないけれど、こんなに惨めな思いはあんまりだ。
静かに分厚く豪華な扉が開く。
入って来た美青年。見覚えのある、眼鏡に薄い茶髪に知的な雰囲気を見に纏っている。
ーーゼライ様・・・・・っ!?ーー
見覚えのある青年は明らかに、想い人のゼライ。
緊張で固まっていた頭の中が、再びごちゃごちゃと回り始めた。そして、ドキドキと鼓動が周りの人に聞こえてしまいそうなほどに、大きくなる。
「待たせてしまい、申し訳ありません。」
落ち着いた声音は、とても心地好い。
煩い心臓の所為で、まともに彼を見れないのが惜しいけれど、真っ赤な顔を晒すよりは良いだろう。
会えるだけでこんなに嬉しいなんて
「いえ、全く待ってありませんわ。 今、来たばかりですの。」
「ゼライ様は、噂通りのお優しい方ですのね。」
口々にゼライを褒める女達。サユナはその勢いは、恐ろしいと思った。女性達の一方的な会話に「そんなことはありません」「お褒めの言葉、ありがとうございます」と丁寧に返している。
本当に優しい人だと、改めて思う。
偶然、ゼライと目が合った。
ドキリと一段と大きな音を発てる心臓。暖かく、優しい瞳が覗き込んでくる。
嬉しくて、幸せで、もっとと望んでしまう。そんな気持ちが胸に暖かく渦巻く。
「サユナ様ですね。 その服、とてもよく似合っていますよ。」
そんなことを目を見つめながら言われてしまうと、恥ずかしいながらにも嬉しくて嬉しくて舞い上がってしまいそうになる。
他の女性の刺さる視線はとても恐ろしい。
「ありがとうございます。 ゼライ様は本当にお優しいのですね。」
ゼライ様、私のことを覚えていらっしゃるでしょうか。
ゼライ様、愛しております。 私のことを、愛していただけないでしょうか。
実際に言えないことを、そっと胸の中で呟き、そっと胸に手を添えた。
大きな屋敷に、大きな庭。
見上げるのも大変な、高く立派な門。
明らかな場違いな自分。こんな所に、どうしているのだろう。人数合わせとはいえ、こんな自分に恥じる。どんな人が相手なのだろう。
場違いなのにどうしてこんなところに、ただの人数合わせ・・・・・・・・と矛盾する頭の中はどうにもならない。
どうしよう・・・ 今でさえ緊張しているのに、恥ずかしい思いをしているのに、お見合いが始まったら他の女の人もいるのに・・・
ヒシヒシと感じる、引き締まった空気。他に、四人の女の人がいる。歳も同じくらいか、それより少し上。
いかにも高そうな宝石をあしらった、髪飾り。細やかな刺繍の入ったドレス。そんな物がなくても目を惹く顔。 赤いドレス、緑のドレス、白いドレス、桃色のドレス。それぞれ、髪の色や目の色に合わせた色のドレスを着ている。
きっと四人共、身分の高い家の令嬢で、今日身につけている物だけで一体いくらなのだろう。自分だけ、メイド服。恥ずかしいの域を超え、ネフェル家の貧乏さを思い知らされる。髪だって、自分で編み込みをしただけ。髪飾りは、母が残したリボンだけ。豪華な暮らしが羨ましいとは思わないけれど、こんなに惨めな思いはあんまりだ。
静かに分厚く豪華な扉が開く。
入って来た美青年。見覚えのある、眼鏡に薄い茶髪に知的な雰囲気を見に纏っている。
ーーゼライ様・・・・・っ!?ーー
見覚えのある青年は明らかに、想い人のゼライ。
緊張で固まっていた頭の中が、再びごちゃごちゃと回り始めた。そして、ドキドキと鼓動が周りの人に聞こえてしまいそうなほどに、大きくなる。
「待たせてしまい、申し訳ありません。」
落ち着いた声音は、とても心地好い。
煩い心臓の所為で、まともに彼を見れないのが惜しいけれど、真っ赤な顔を晒すよりは良いだろう。
会えるだけでこんなに嬉しいなんて
「いえ、全く待ってありませんわ。 今、来たばかりですの。」
「ゼライ様は、噂通りのお優しい方ですのね。」
口々にゼライを褒める女達。サユナはその勢いは、恐ろしいと思った。女性達の一方的な会話に「そんなことはありません」「お褒めの言葉、ありがとうございます」と丁寧に返している。
本当に優しい人だと、改めて思う。
偶然、ゼライと目が合った。
ドキリと一段と大きな音を発てる心臓。暖かく、優しい瞳が覗き込んでくる。
嬉しくて、幸せで、もっとと望んでしまう。そんな気持ちが胸に暖かく渦巻く。
「サユナ様ですね。 その服、とてもよく似合っていますよ。」
そんなことを目を見つめながら言われてしまうと、恥ずかしいながらにも嬉しくて嬉しくて舞い上がってしまいそうになる。
他の女性の刺さる視線はとても恐ろしい。
「ありがとうございます。 ゼライ様は本当にお優しいのですね。」
ゼライ様、私のことを覚えていらっしゃるでしょうか。
ゼライ様、愛しております。 私のことを、愛していただけないでしょうか。
実際に言えないことを、そっと胸の中で呟き、そっと胸に手を添えた。
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