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五対一の見合い
お見合いなんて聞いてません
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皿を洗っている。冷たい水が、しみて痛い。
ゼライとの恋に進展なんてある訳も無く、いつもの生活に沿って仕事をしている。メイはしばらく会えなくなりそうだし、姉達は貧乏な貴族なのに高価な物を身につけ、相変わらずの態度。
ゼライ様に会いたい・・・・・・・
日を重ねるごとに想いは強くなるのに、会えないことがより一層、胸の内を騒がせる。
この時期になると、洗濯も皿洗いも辛くなる。寒くてもお金がない故に服もろくにないため、寒さはかなり堪える。
皿洗いが終わり、郵便受けに郵便物を見に行く。いつも空だが、念のために見に行く。珍しく、白い封筒が入っている。両親宛だろうか。
両親と言っても実の母は病で亡くなり、今の母は父の愛人だった人だ。父が可愛がっている姉には母も優しい。もしかしたら、今の母は私を侍女と感違いしているのかもしれない。宛名を見てみると、 ~Sayuna~ と書いてある。手紙なんて今まで来たことがない。誰が送って来たのだろう。
ーーサユナ様へ
いつも妻から、話を聞いています。友人から人手が足りないという話を聞き、サユナ様ならと思いお願いしようと思います。仕事内容により、ドレスで来ていただきたいです。
明後日の午後、お迎えに伺います。
メイの夫 イノアよりーー
メイの旦那さん。仕事とはなんだろう。明後日特に用事も無いのでせっかくだし、行ってみるのも悪く無いだろう。
着て行くドレスがない!
仕事をするしないではない。ドレスがない。そもそも普段着も三着を着まわしているのに、ドレスなんてない。たった一着あったのは、深い緑とワイン色のメイド服だ。まだ一回も来ていないものだ。今来ているものが着れなくなったら出そうと思っていたものだけれど、今回出して四着で着回せば良いだけのことだ。
不思議なことに、なんだか楽しみになってきた。
「仕事とは、一体なんでしょう? 一番良い服でもこれしか無くて・・・」
迎えに来てくれたメイの夫、イノア。明るい雰囲気で、優しげな目と整った顔に合う明るい茶髪、というのが印象だ。幸せなメイとイノアが少々羨ましいところがあるが、自分とゼライにはきっと縁が無かったのだ。と、少し諦め気味だ。
ゼライが初恋の相手であり、片思いが辛くて辛くて、早くこの苦しみから逃れたかった。
「仕事ね・・・・ 見合いの人数合わせってとこかな。 」
進めていた足が止まる。
「お、お見合いなんて、私・・・ そんな・・・」
何がどうなってこの状況にあるかは分からないが、人数合わせだけなら・・・
お見合いなんて、初めてなのに・・・
ゼライとの恋に進展なんてある訳も無く、いつもの生活に沿って仕事をしている。メイはしばらく会えなくなりそうだし、姉達は貧乏な貴族なのに高価な物を身につけ、相変わらずの態度。
ゼライ様に会いたい・・・・・・・
日を重ねるごとに想いは強くなるのに、会えないことがより一層、胸の内を騒がせる。
この時期になると、洗濯も皿洗いも辛くなる。寒くてもお金がない故に服もろくにないため、寒さはかなり堪える。
皿洗いが終わり、郵便受けに郵便物を見に行く。いつも空だが、念のために見に行く。珍しく、白い封筒が入っている。両親宛だろうか。
両親と言っても実の母は病で亡くなり、今の母は父の愛人だった人だ。父が可愛がっている姉には母も優しい。もしかしたら、今の母は私を侍女と感違いしているのかもしれない。宛名を見てみると、 ~Sayuna~ と書いてある。手紙なんて今まで来たことがない。誰が送って来たのだろう。
ーーサユナ様へ
いつも妻から、話を聞いています。友人から人手が足りないという話を聞き、サユナ様ならと思いお願いしようと思います。仕事内容により、ドレスで来ていただきたいです。
明後日の午後、お迎えに伺います。
メイの夫 イノアよりーー
メイの旦那さん。仕事とはなんだろう。明後日特に用事も無いのでせっかくだし、行ってみるのも悪く無いだろう。
着て行くドレスがない!
仕事をするしないではない。ドレスがない。そもそも普段着も三着を着まわしているのに、ドレスなんてない。たった一着あったのは、深い緑とワイン色のメイド服だ。まだ一回も来ていないものだ。今来ているものが着れなくなったら出そうと思っていたものだけれど、今回出して四着で着回せば良いだけのことだ。
不思議なことに、なんだか楽しみになってきた。
「仕事とは、一体なんでしょう? 一番良い服でもこれしか無くて・・・」
迎えに来てくれたメイの夫、イノア。明るい雰囲気で、優しげな目と整った顔に合う明るい茶髪、というのが印象だ。幸せなメイとイノアが少々羨ましいところがあるが、自分とゼライにはきっと縁が無かったのだ。と、少し諦め気味だ。
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「仕事ね・・・・ 見合いの人数合わせってとこかな。 」
進めていた足が止まる。
「お、お見合いなんて、私・・・ そんな・・・」
何がどうなってこの状況にあるかは分からないが、人数合わせだけなら・・・
お見合いなんて、初めてなのに・・・
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