8 / 30
五対一の見合い
場違いな存在
しおりを挟む
豪華。
大きな屋敷に、大きな庭。
見上げるのも大変な、高く立派な門。
明らかな場違いな自分。こんな所に、どうしているのだろう。人数合わせとはいえ、こんな自分に恥じる。どんな人が相手なのだろう。
場違いなのにどうしてこんなところに、ただの人数合わせ・・・・・・・・と矛盾する頭の中はどうにもならない。
どうしよう・・・ 今でさえ緊張しているのに、恥ずかしい思いをしているのに、お見合いが始まったら他の女の人もいるのに・・・
ヒシヒシと感じる、引き締まった空気。他に、四人の女の人がいる。歳も同じくらいか、それより少し上。
いかにも高そうな宝石をあしらった、髪飾り。細やかな刺繍の入ったドレス。そんな物がなくても目を惹く顔。 赤いドレス、緑のドレス、白いドレス、桃色のドレス。それぞれ、髪の色や目の色に合わせた色のドレスを着ている。
きっと四人共、身分の高い家の令嬢で、今日身につけている物だけで一体いくらなのだろう。自分だけ、メイド服。恥ずかしいの域を超え、ネフェル家の貧乏さを思い知らされる。髪だって、自分で編み込みをしただけ。髪飾りは、母が残したリボンだけ。豪華な暮らしが羨ましいとは思わないけれど、こんなに惨めな思いはあんまりだ。
静かに分厚く豪華な扉が開く。
入って来た美青年。見覚えのある、眼鏡に薄い茶髪に知的な雰囲気を見に纏っている。
ーーゼライ様・・・・・っ!?ーー
見覚えのある青年は明らかに、想い人のゼライ。
緊張で固まっていた頭の中が、再びごちゃごちゃと回り始めた。そして、ドキドキと鼓動が周りの人に聞こえてしまいそうなほどに、大きくなる。
「待たせてしまい、申し訳ありません。」
落ち着いた声音は、とても心地好い。
煩い心臓の所為で、まともに彼を見れないのが惜しいけれど、真っ赤な顔を晒すよりは良いだろう。
会えるだけでこんなに嬉しいなんて
「いえ、全く待ってありませんわ。 今、来たばかりですの。」
「ゼライ様は、噂通りのお優しい方ですのね。」
口々にゼライを褒める女達。サユナはその勢いは、恐ろしいと思った。女性達の一方的な会話に「そんなことはありません」「お褒めの言葉、ありがとうございます」と丁寧に返している。
本当に優しい人だと、改めて思う。
偶然、ゼライと目が合った。
ドキリと一段と大きな音を発てる心臓。暖かく、優しい瞳が覗き込んでくる。
嬉しくて、幸せで、もっとと望んでしまう。そんな気持ちが胸に暖かく渦巻く。
「サユナ様ですね。 その服、とてもよく似合っていますよ。」
そんなことを目を見つめながら言われてしまうと、恥ずかしいながらにも嬉しくて嬉しくて舞い上がってしまいそうになる。
他の女性の刺さる視線はとても恐ろしい。
「ありがとうございます。 ゼライ様は本当にお優しいのですね。」
ゼライ様、私のことを覚えていらっしゃるでしょうか。
ゼライ様、愛しております。 私のことを、愛していただけないでしょうか。
実際に言えないことを、そっと胸の中で呟き、そっと胸に手を添えた。
大きな屋敷に、大きな庭。
見上げるのも大変な、高く立派な門。
明らかな場違いな自分。こんな所に、どうしているのだろう。人数合わせとはいえ、こんな自分に恥じる。どんな人が相手なのだろう。
場違いなのにどうしてこんなところに、ただの人数合わせ・・・・・・・・と矛盾する頭の中はどうにもならない。
どうしよう・・・ 今でさえ緊張しているのに、恥ずかしい思いをしているのに、お見合いが始まったら他の女の人もいるのに・・・
ヒシヒシと感じる、引き締まった空気。他に、四人の女の人がいる。歳も同じくらいか、それより少し上。
いかにも高そうな宝石をあしらった、髪飾り。細やかな刺繍の入ったドレス。そんな物がなくても目を惹く顔。 赤いドレス、緑のドレス、白いドレス、桃色のドレス。それぞれ、髪の色や目の色に合わせた色のドレスを着ている。
きっと四人共、身分の高い家の令嬢で、今日身につけている物だけで一体いくらなのだろう。自分だけ、メイド服。恥ずかしいの域を超え、ネフェル家の貧乏さを思い知らされる。髪だって、自分で編み込みをしただけ。髪飾りは、母が残したリボンだけ。豪華な暮らしが羨ましいとは思わないけれど、こんなに惨めな思いはあんまりだ。
静かに分厚く豪華な扉が開く。
入って来た美青年。見覚えのある、眼鏡に薄い茶髪に知的な雰囲気を見に纏っている。
ーーゼライ様・・・・・っ!?ーー
見覚えのある青年は明らかに、想い人のゼライ。
緊張で固まっていた頭の中が、再びごちゃごちゃと回り始めた。そして、ドキドキと鼓動が周りの人に聞こえてしまいそうなほどに、大きくなる。
「待たせてしまい、申し訳ありません。」
落ち着いた声音は、とても心地好い。
煩い心臓の所為で、まともに彼を見れないのが惜しいけれど、真っ赤な顔を晒すよりは良いだろう。
会えるだけでこんなに嬉しいなんて
「いえ、全く待ってありませんわ。 今、来たばかりですの。」
「ゼライ様は、噂通りのお優しい方ですのね。」
口々にゼライを褒める女達。サユナはその勢いは、恐ろしいと思った。女性達の一方的な会話に「そんなことはありません」「お褒めの言葉、ありがとうございます」と丁寧に返している。
本当に優しい人だと、改めて思う。
偶然、ゼライと目が合った。
ドキリと一段と大きな音を発てる心臓。暖かく、優しい瞳が覗き込んでくる。
嬉しくて、幸せで、もっとと望んでしまう。そんな気持ちが胸に暖かく渦巻く。
「サユナ様ですね。 その服、とてもよく似合っていますよ。」
そんなことを目を見つめながら言われてしまうと、恥ずかしいながらにも嬉しくて嬉しくて舞い上がってしまいそうになる。
他の女性の刺さる視線はとても恐ろしい。
「ありがとうございます。 ゼライ様は本当にお優しいのですね。」
ゼライ様、私のことを覚えていらっしゃるでしょうか。
ゼライ様、愛しております。 私のことを、愛していただけないでしょうか。
実際に言えないことを、そっと胸の中で呟き、そっと胸に手を添えた。
0
あなたにおすすめの小説
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる