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第1章 最果ての少女
ウロちゃんの説教
しおりを挟む魔物たちが逃げ去るのを確認すると、ウロボロスは頭を地面へと下げ、ちーちゃんを下した。
「ありがとう、ウロちゃん!」
『これくらい何てことないわ。
それにしてもちーちゃんは、どうしてこんなところに?
ここは村からだいぶ離れているのに、どうしたのかしら?』
「うん、お母さんにねプレゼント探しに来たの!」
『そう、それはとても偉いわね。
でもちゃんとお出かけする事は伝えたのかしら?』
「ううん、プレゼントは秘密にしたいの、さぷらいずにしたいの。
だからこっそり出てきちゃった」
『サプライズは確かにうれしいけど、いきなりちーちゃんがいなくなったら、お母さんも心配するわよ。ちーちゃんだって、お母さんがいきなりいなくなったら、心配するでしょう?』
ちーちゃんはようやくそのことに気づいて、悲しい顔になった。
「…うん、とても心配」
『村に帰るなら私が乗せていってあげようか?』
ウロボロスは水さえあれば何処にでも移動できる。
その力を使えばちーちゃんを、村のそばの湖まで連れていくことも可能。
「ううん、アリスお姉ちゃんと約束したの。
王都っていうところにいって、
もっと綺麗なものをお母さんにプレゼントするって!
それにね、何だかとても楽しいの。
知らない事ばかりで、わくわくするの。
だからお母さんには会いたいけど、まだ帰らない!」
ウロボロスはまるで我が子を見るような慈しみの目でちーちゃんを見る。
子どももいつか成長するものなのね、などと言いそうである。
蛇なのに。
『お母さんには私から伝えておくわ。
後でしっかりと怒られなさい』
「はい、わかりました。
ありがとねウロちゃん!」
『村の外をしっかりと楽しみなさい。
辛くなったらいつでもいいから私を呼ぶのよ』
ウロボロスはその長い体をくねらせると湖の中に姿を消した。
大きな波がやがて落ち着くと、そこにまるでいなかったかのような静けさが訪れた。
ちーちゃんは湖面をじっとみつめる。
村を出てまだ数日だが、ちーちゃんは子ども。
親や、村が恋しい。
ウロボロスに帰るのを誘われたとき、勿論帰りたい気持ちもあった。
だけど自分は最高のプレゼントをお母さんにあげるという使命を帯びている。
自分が寂しいからといって帰っては、いつまでたっても子供のまま。
ちーちゃんはもう7歳。
立派なれでぃになるんだ。
さまざまな言葉で自分を鼓舞し、郷愁を押し込めた。
「すっごいプレゼント、絶対にみつけるんだから!!」
ちーちゃんは新たな決意を胸に、街の中へと戻っていった。
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