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第1章 最果ての少女
その時みんなは2
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突然動きを止める魔族たち。
一斉に街の方を見つめるように。
ここらでは壁しか見えないだろうに、なぜか顔を真っ青にした。
「…な、なにが現れた」
「うええぇぇ…」
「やべぇ、やべぇやべぇ、俺は逃げるぜ」
「た、隊長!どうか撤退の命令を!」
隊長と呼ばれたものも、足をがくがく震わせ街の方から目を離せずにいた。
人間たちは何が起きたのかわからない。
魔族たち特有の魔素を感じる力がウロボロスの出現を感じ取っていた。
未だかつて感じたことのない力。
魔族最強と言われる魔王でさえ霞んでしまうようなそれは、神話級の魔物であることが容易に理解できた。
「なにがおこったんだあいつら、急に止まって」
「わからねえが、この機会を逃す手はねえ」
「ああ、一気に片をつけ…」
その時、街のなかから多数の悲鳴が聞こえた。
アリスは街の方へ顔を向けた。
壁に阻まれて何も見えないが、城壁の櫓にいる兵士が南側を見て、驚愕の顔をしていた。
「街で何かが起こっているのか」
魔族のものが忍び込んでいたのか。
市民は、ちーちゃんは無事か。
最悪の結末がアリスの頭を過ぎった。
一刻も早く街に戻りたいが門は閉じられており、中身を伺うことすら叶わない。
(なんて無力なんだ私は!
力を欲して旅へ出たというのに、未だ、何一つ為せないでいる!)
無力さに顔を落としていると、街の中から閃光が走った。
数秒遅れてとどろく轟音。
人間たちもまた動きを止め街をみる。
明らかに異常な事が起きている。
中は無事なのか。
さらに遅れること数秒後、突風が襲いかかる。
巻き上がる砂に急いで顔を覆う。
「てててて、撤退だーー!!
全軍すぐさま引き返せ!!」
何が起きているのか知っているのか、魔族たちは目の前にいる人間たちに目もくれず、我先にと退却を始めた。
魔族の威厳はそこにひとつもなく、哀れに足をもつれさせ転ぶ姿だけがあった。
そんな姿をアリスは笑うことが出来なかった。
それだけのことが街の中で起きているという事だ。
アリスの思いを余所に、街の中では歓声があがった。
これには人間たちも混乱を極めた。
アリスは門の前に行き、兵士に開けるように言った。
「はははは、はい、すぐに!」
北門の敵はもういないのだ。
アリスはじりじりと開く門に少しいらついた。
やがて人が通れるほどまでに開いた門を潜ると、そこには何も変わらぬ街の姿があった。
ただ、市民全員が地に伏せ何かを拝んでいる以外は。
「え、いや、本当になにがあったんだ??」
アリス混乱の極みである。
一斉に街の方を見つめるように。
ここらでは壁しか見えないだろうに、なぜか顔を真っ青にした。
「…な、なにが現れた」
「うええぇぇ…」
「やべぇ、やべぇやべぇ、俺は逃げるぜ」
「た、隊長!どうか撤退の命令を!」
隊長と呼ばれたものも、足をがくがく震わせ街の方から目を離せずにいた。
人間たちは何が起きたのかわからない。
魔族たち特有の魔素を感じる力がウロボロスの出現を感じ取っていた。
未だかつて感じたことのない力。
魔族最強と言われる魔王でさえ霞んでしまうようなそれは、神話級の魔物であることが容易に理解できた。
「なにがおこったんだあいつら、急に止まって」
「わからねえが、この機会を逃す手はねえ」
「ああ、一気に片をつけ…」
その時、街のなかから多数の悲鳴が聞こえた。
アリスは街の方へ顔を向けた。
壁に阻まれて何も見えないが、城壁の櫓にいる兵士が南側を見て、驚愕の顔をしていた。
「街で何かが起こっているのか」
魔族のものが忍び込んでいたのか。
市民は、ちーちゃんは無事か。
最悪の結末がアリスの頭を過ぎった。
一刻も早く街に戻りたいが門は閉じられており、中身を伺うことすら叶わない。
(なんて無力なんだ私は!
力を欲して旅へ出たというのに、未だ、何一つ為せないでいる!)
無力さに顔を落としていると、街の中から閃光が走った。
数秒遅れてとどろく轟音。
人間たちもまた動きを止め街をみる。
明らかに異常な事が起きている。
中は無事なのか。
さらに遅れること数秒後、突風が襲いかかる。
巻き上がる砂に急いで顔を覆う。
「てててて、撤退だーー!!
全軍すぐさま引き返せ!!」
何が起きているのか知っているのか、魔族たちは目の前にいる人間たちに目もくれず、我先にと退却を始めた。
魔族の威厳はそこにひとつもなく、哀れに足をもつれさせ転ぶ姿だけがあった。
そんな姿をアリスは笑うことが出来なかった。
それだけのことが街の中で起きているという事だ。
アリスの思いを余所に、街の中では歓声があがった。
これには人間たちも混乱を極めた。
アリスは門の前に行き、兵士に開けるように言った。
「はははは、はい、すぐに!」
北門の敵はもういないのだ。
アリスはじりじりと開く門に少しいらついた。
やがて人が通れるほどまでに開いた門を潜ると、そこには何も変わらぬ街の姿があった。
ただ、市民全員が地に伏せ何かを拝んでいる以外は。
「え、いや、本当になにがあったんだ??」
アリス混乱の極みである。
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