琉球お爺いの綺談

Ittoh

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ヨーロッパ歴史if

イングランド異聞

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 史実上は、ヘンリー8世の離婚問題から始まる、英国聖公会の流れは、ローマ法王からの自由を求めた、英国教会の流れから来るものでもあったように思う。
 イングランドにおけるキリスト教は、ローマ軍の侵攻に始まる。紀元百年ごろ初期におけるキリスト教は、ケルト神話との融合も見られており、秋の収穫祭が起源となる、ハローウィンにおけるカボチャを刳りぬいたようなJack-o'-Lanternなどは、ケルト神話の登場人物である。



 ヘンリー8世の理論的根拠は、ローマ軍侵攻後にイングランドに広まったキリスト教を基本としている。個人的な感覚からすると、紀元百年頃のキリスト教が持っていた、自由度への回帰が、イギリスの教会側からの主張であったように思われる。この条件を考えないと、離婚訴訟だけであれば、一個の宗派を起こせるほどの動きにはならなかったものと思われる。



 ケルトとの融合への回帰。



 この歴史異聞から歴史ifを描いたのが、ボゥディカの勝利である。



 ラス・カサスの報告に及ぶまでもなく、凄まじい掠奪と虐殺を繰り返した新世界の破壊をできる限り抑えること。壊滅した新世界の中で、一握りの清き者達の善行を、悪魔のように叩き潰していった、欲望の塊を激減させるために、必要となる欧州側の歴史ifとしての起点が、ローマのケルトでの敗北です。
 ただ、敗北させたのでは、ケルトがキリスト教と融合する術を失います。デーンからヴィンランドへと繋がり、ヴィンランドで「試練の書」を記すには、ボゥーディカが勝利するだけでは駄目です。

 そこで、ボゥディカと娘を切り離して捉えます。

 女性の継承を認めない、ローマ法を盾として、娘が囚われ凌辱されることを察知し、宴席から脱出させるローマ商人を設定しました。ローマ商人は、ケルトの女達を酒席に侍らせるのと入れ替わるように、娘達を退出させます。そのまま、ローマ帝国の植民都市であったロンディニウムに脱出します。

 ケルトへの凌辱と掠奪、虐殺を止められないと共に、ローマ人によって娘達を救われるという一個のドラマを構成します。

 ローマ帝国軍スエトニウスの戦略は、ウェルラミウムやロンディニウムを掠奪と虐殺を行わせることで、時間を稼ぎ、ローマ軍に敗北しても虜囚ではなく虐殺されるという認識から士気を維持するという選択をとっていた。
 ローマ市民にとって、ロンディニウム防衛を放棄したローマ軍への絶望は、ローマ商人によるボゥディカの娘達救出によって、希望へと変換されます。ローマ帝国市民による、ロンディニウム評議会によって、ボゥディカの娘をイングランド女王として認めボゥーディカを後見人とし、ロンディニウム商人によるケルト貴族に対する借金を放棄し、主権を委譲する決議と布告が行われます。

 結果的にボゥディカが率いるケルト衆は、カムロドゥヌムを攻略し、ボゥディカを鞭打ち、ケルト貴族を凌辱した、財政官デキアヌス・カトゥスを虜囚とし、ローマ軍一個軍団を壊滅させ、掠奪と虐殺を欲しいままに実行します。
 ロンディニウムでは、娘をイングランド女王として認める決議を含めて、娘達の無事を確認し、食料や武器等の支援を受けて、ウェルラミウムへ侵攻し、掠奪と虐殺を実行して、ローマ軍スエトニウスの戦略をも一定の成果を納めさせます。

 その上で、街道の狭窄地形を活用して、戦車の動きを限定し、大軍の活用をさせないようにした形で、ケルト衆を虐殺していくローマ軍の作戦を、ケルト衆の突撃で正面に忙殺されたローマ軍後方にあった本陣を、森林の夜間浸透突破による後背からの一撃によって壊滅に追い込み、スエトニウスの首を獲って、ローマ軍に後背から襲撃し壊滅させます。

 ウェルラミウムでも殺戮と掠奪をおこなったケルト衆は、ここで止まることとなります。ここから先は、ウェールズでありイングランドではありません。



 "1"は"0"に、"0"は"1"に変わりやすいのは、歴史の必然なれど、グレーゾーンを残し続ける歴史が好きですねぇ。サイコロを振って、一でなく六でなく、二から五で良しとする歴史が見たい。



 ボゥディカを後見人として、娘を女王とし、己自身を王配とすることから、新たなイングランドの歴史が始まります。この中で、キリスト教のケルトとの融合的浸透を進めて、イングランドの教会そのものを純然たるカトリック原理から逸脱させます。
 アングロ・サクソンの侵攻に抵抗するのは、ウェールズからではありますが、King of Britain本当の意味でブリテン島の王としてアーサー王を確立させていきます。#聖剣___Excalibur_#から聖盃Holy Grailを求める旅に移行することを阻止し、湖の乙女に与えられし#聖剣___Excalibur_#を持ってブリテン島の王となる話へと続きます。
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