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第1話 ここ、どこやねん。

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「………ふぁぁあ」

知らない天井だ。
私は豪華なベットに寝ていたらしい。近くにはお世話をしてくれていたのか、メイドの格好をした人が寝ていた。目の周辺が赤いことから泣いていたと思われる。
部屋は白と黒を多く使われていて、シンプルなものばかりだった。
そして私は、黒の二つ結びが行方不明だ。その代わり、腰までの金色ふわふわの長い髪がいた。

「えええええええええ!!!!」

待って待って待って!!ここどこ!?冷静に考えてる場合じゃないね!?

「あ、レミーウィル様!!!いつ起きられたんですか!?」
「………ええ?」
「ウィーネ様に報告へ行ってまいります!!」
「え、ええ!?」

レミーウィル様って誰?ウィーネ様って誰!?私は桜姫よね?
サクラヒメとも呼ばれたオウキだよ?

「レミィ!!起きたの!?」
「ぐうっ!?!?…あの、失礼ですがどなたですか?」
「レ、レミィ?」
「私は、レミィなどという人ではなく桜姫です。雨人 桜姫です。人違いじゃありせんか?」
「な、え、ええ!?そんなはずは…?」
「レミーウィル様…?」
「…だから、私は!!」

突然、外人(しかも美人)が部屋に入ってきたと思ったら急に抱きついてきた。知らない人に抱きつかれるのはなかなか抵抗感が否めない。
どうやら、私はレミーウィルとかいうヤツと間違われているらしい。どうしてか知らないけど。

話をしていたことでわかったんだけど、最初に居たのはメイド長のアリンという人らしい。アリンさんは綺麗な銀髪ポニーテールで、青いつり目。次に抱きついてきたのがレミーウィルのお母さん、ウィーネ・カンザキ。ウィーネさんは、緩やかなウェーブのかかった金髪、たれ目の青の目。天然ヒロインかな?
で、私は本当にレミーウィルとかいうやつらしい。鏡を見てなんか別人がいた。金の緩やかなウェーブに緑のタレ目。なんかドジっ子っぽい。
それで、ここのカンザキ家は貴族で、何人かメイドもいるらしい。
そしてここが重要!!!なんと!!異世界!
え、どうでもいい?あっはい、すみません。

「…もしかして、記憶喪失ですか?」
「違うと思うわ。恐らく…別の人格で塗り替えされた、と考えるのが妥当かしら。名前ももってるのよね?」
「はい」

なんかいろいろ話して、もうどうでもよくねってことになった!!わあい!!

「あら、日暮れね。そろそろお夕食にしましょう。レミィも、お腹すいたでしょう?」
「あー…はい。ウィーネさん」
「もう!ウィーネさんじゃなくて、前みたくお母様って呼んで?」
「はい。…お、お母様」
「うふふ。よくできました。あと、家族も紹介するわ」
「家族…ですか」
「ええ。レミィには兄と弟がいるのよ」
「そうなんですか。楽しみです!」
「あらあら…ふふ。じゃあ、お着替えしましょう?アリン、よろしくね」
「はい。ウィーネ様。」

兄と弟…。前は姉がいたけど、仲悪かったなー…。今度の兄弟は仲良くしないと!…出来るわけないけどね?

「それじゃあ、お召し物を脱がさせていただきます。」
「わかりました。よろしくおねがいします」

ちなみに、着ていたのは白をベースにしたワンピースに黒の刺繍やレース。ザ、シンプル。
そういえば、レミーウィルはこれが普通なんだよね。私にとっては普通じゃないけど。
アリンは桜姫にとっては他人だけど、レミーウィルにとっては家族だから恥ずかしいも何もないんだ。

「はい、すべて脱ましたね」
「う…はい…」
「?恥ずかしいですか?」
「まぁ、人に脱がされるのがあまりないので」
「そうなんですか?じゃあ、ご自分で脱げるのですか?」
「市民の服なら。ドレスとかはわかりません…」
「ふふ。そうなんですね」

まあ雑談も混ぜて次は何を着るか話してた。曰く、動きやすいワンピースなどが良いとのことで。
ワンピースが動きやすいのか。ズボンの方が動きやすくない?…と思い、聞いてみたら、ズボンは男性や市民が来ていて、貴族のお嬢様方ははかないらしい。

結局、白がベースの黒い装飾のさっきと同じような服だった。(もちろんワンピース)
ついでに髪を下に一つにまとめてもらった。だって邪魔だし。

「じゃあ、一緒に行きましょう」
「はい。アリンさん」

ふぉー…次は兄と弟と会うのか。…記憶がないこと、言うのかな?いや、言わないって言ってたっけ?
そういえば、白川くんや光はどこにいったんだろ…。
いや!考えても仕方ない!行くべし!!
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