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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

91.超能力!?対決②

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 しばらく眺めていると特設ステージの階段を上がって
くる人物が現れたので対象人物かの質問をする哀川。
「図書委員のしおりちゃんが来たけど合ってるの?」
「えぇ、リストに入ってるわ。投函ポスト手前のステー
ジ上に細かい穴が空けてあって下から風が吹き上がる仕
掛けになってるの。だから一瞬の出来事になると思うか
ら瞬きは禁止よ!」
 立花は差出人名簿を見ながら、今後の展開を説明した。
「分かった。しっかりと目に焼き付けておくよ」
「別に焼き付ける必要は無いんだけど……。それと柄が
分かっても答え合わせをするまでは口外こうがいしないでね!」
「具体的にはどうすれば良いんだ?」
「そうね。ポスト手前に来たら指でグッドサインをして
はっきり視認できたらOKマークをして頂戴!」
「成程、簡単なジェスチャーで良い訳だ」
「じゃぁ、宜しくね!」
 数秒後、腰まであるロングヘヤーに丸メガネを掛けた
図書委員のしおりがポスト手前に来たのでグッドサイン
を出して状況を知らせる哀川。それを確認した大山は室
内の窓際以外の照明をONにしてスイッチに手を乗せた
まま、様子をうかがっている。

(下着のバックプリントに大きい顔のクマが見えたや)
 哀川の両腕が震え出してから、直ぐにOKサインが送
られて来たので博士の指示を待った。哀川の肉眼に映っ
ている柄を確認してから博士が手書きのイラストを記入
してのOKサインが貰える段取りになっていたのだ。博
士からのOKサインを受けて手書きのイラストを記憶し
ながら室内の照明をOFFに切り替えて何事も無かった
ように振る舞う三人。この間は2秒の出来事である。
「ちゃんと見えたの?」
 タカフミの質問に照れながら答える哀川。
「装置がどうなってるのか分からないけど扇風機せんぷうきみたい
な物は見当たらないんだけどスカートがふんわり持ち上
がって一瞬だけだけど確かに見えた」
 興奮状態になっている哀川は照明がONになっていた
事も気付かなければ、そこからOFFになっている事に
気付く事が出来なかった。窓際の照明が点灯していたら
気付いていたかもしれないが科学博士の仕掛けは、大胆
かつ繊細せんさいである事に驚かされる立花とタカフミが居た。 

「では大山クン。最初に透視で見えた柄を言って頂戴」
「ズバリ、バックプリントに大きい顔のクマが見えた」
 タカフミの言葉に少し戸惑いながらも平静を装う哀川
が話し始めた。
「どうなってるのかは分からないが正解だ。がしかし、
分かりやすい柄だし、連続で当たる保証はないだろ?」
「確かに見えない時もあるから一つ正解したに過ぎない」
 二人の静かな闘志がバチバチと燃え上がっている光景
を楽しそうに見つめる二人が居た。
 
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