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第四章 マルシカからの旅立ちの準備そして北へ

3、道具店の主人へ逆襲! ブランカさんの仲間は……

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 魔法やスキルの練習には、ぽち、たま、うさ子も参加している。スキルの成長チートもあるのか、身体強化と治癒魔法もLv3に上がった。

 最初55だったMPも135まで増えて、魔力変換による生成もはかどっている。
 スマホを電池だけ解析して生成しているように、他の物も幾つか小分けして解析しなおしている。
 食べ物関係では、手作り弁当のライスやおかずを別個で解析した。お米のご飯は日本人の主食だからね。
 お弁当のおかずも異世界の食生活に、ちょっと一点欲しい時にも対応できるようになった。

 この先、日本人に会ったら懐かしい日本の味を食べさせてあげたいと思う。だが、その時にあのキャラ弁当は見られたくはないのだ……。

 飲み物を充実させるためには、空のペットボトルを生成できるようにした。元の世界からは、飲みかけのカフェオレと寂しい内容だった。
 中身はこの世界の物だが、ジュース類は結構いける。

 旅行用セットもバラバラで解析した。石鹸やシャンプー&リンス、歯磨き粉など消耗品は、減り方も違うし、爪切りや耳かきなどは一つあれば充分だ。

 そして、ブランドボールペンである。分解してボールペンの芯だけで、生成出来るようにした。MP1で芯が6本も生成できる。

 ふっふふふ……。道具店の主人は、ボールペンのインクが切れたら、どうするつもりでいるのかな?

『カイトわるい笑み~』
『『わるい笑み~』』

 あの値段で売っているのだ。相当なお金持ちが多いに違いない。中には権力者も多いだろう。
 インクが出なくなったら、クレームが来る事もあるのではないだろうか?

 魔法でもないのに、永遠にインクが続く。それを、ありえない事と理解して貰えるかな。まともな権力者だといいね……。
 ボールペンの芯は、MP換算で本体を越える値段で売ってやる。待っているがいい。

 MP2でブランドボールペン一本、60万マールで売っている。
 MP2でボールペンの芯が12本、芯一本5万マールなら60万……で本体と同等の売り上げになる。

 ボールペン本体をあと5本、替え芯を60本売るつもりだ。売るたびに希少性は減っていくが、本体価格をそのままに、替え芯をより高く売りつけてやる。 

 1本10万で売れたら、MP換算ではボールペンの2倍の値段で売れた事になるだろう。
 それで、ボク達の勝利じゃないか?

『『『しょうぶ~!』』』

『サポート頼んだぞ! いざ、出陣だ~!』

 という訳でボクは再び、この勝負の地にやって来た。
 僕を確認した道具店の主人の緊張を、ぽち達が伝えてくる。

「いらっしゃいませ~」

 店主の声を聞きながら、まずは店内の品々を見て回る。
 食器類は、もういらない。クワとかカマのような農耕具。大工道具に道具入れ、小物入れ。調理器……自炊はいいや。アイテムボックスに調理済みを入れておこう。

 筆記具にパピルス……。聞き耳を立てている店主に軽くジャブを入れる。

「……ボールペンは、売れたみたいですね~」

 問いかけではなく呟き、独り言である。だが、これに堪え切れなかったのか店主が話しかけてきた。

「おかげ様で、無事に売り切る事が出来ました。……高級品の販売は、相手もそれなりのお方になります。肝が冷えますね~」

 くっ、何気に販売ルートが無ければ売れないと、切り替えして来たよ。まあ、そうだけど。

「薬師ギルドの支部長さんに、自慢されちゃいましたよ~」

 にやにやにや……その気になれば、自分で売りさばけますよ。と、取ってくれたかな? 笑顔が少し不自然に成った? 
 
「ところで、他で売ろうかと取って置いた分のボールペンの買取を、お願いしてもいいですかね?」


☆☆☆

「また、カモが入ってこないものか……」

 道具店の主人が、欲にかられた呟きをもらす。
 ブランドボールペンの1本は公爵に分捕られたが、残りの4本は望みどおりの値段で無事に売りさばいていた。
 4本で800万マール。仕入れ値300万を引いて500万マールの儲けである。店主は、それなりの伝手がある出来る商売人だった。

 前回のカモが店に入ってきた。店内を眺めている。店主には買うつもりがないのが、丸分かりだった。
 ならば、何をしにきた? 金の臭いに店主はワクワクしてきた……。

「……ボールペンは売れたみたいですね~」

 店主はピンと来た。こいつまだボールペンを持っている。それを売りに来たのだ。

 挨拶がてらに、素人に高級品の販売は不可能である事を言い聞かせる。店主に、客が切り返した。
 ……薬師ギルドの支部長と、知り合いだと~。

 だが、売りに来た以上は販売ルートがある訳が無い。と、店主は心を落ち着かせていく。


『くっ……やはり、この小僧やりやがる』

 店主が、適正な買い取り価格と設定したギリギリまで、その客は値を吊り上げてきた。
 
「ブランドボールペンは5本300万マールで、これはサービスですよ。10本とも成ると、その希少性も薄れてきます」

 そうサービスせざる得ない、もう一つの品ボールペンの替え芯をその客は売りに来た。もしもインクが切れた時、あの公爵だけは納得させられない。
 公爵を思い浮かべ店主はそう思った。

「替え芯は、1本10万マールで60本600万マール。これが、店の資金的にも限界です」

 900万マールを手に入れて、客は誇らしげに帰っていった。


 当然道具屋の主人は、ボールペンを分解してみていた。その結果として、複製は不可能と見ている。
 その不可能とみた部分がボールペンの芯。つまり、芯さえあれば他は作れるのだ。

 だから道具店主人としては、ボールペンの芯だけを安く手に入れられる。それは、ウハウハなのである。適正価格というのは、充分に利益を見込める範囲内なのだ。

 その客カイトが、その品をみるのは、まだ先の話になる。

☆☆☆

『大勝利~! ぽち、たま、うさ子ありがとう』
『『『カイトしょうり、やった~』』』

 ボク達はご機嫌で、道具店を後にした。もう直ぐ、冒険者ギルドで体術の練習の時間になる。今日はブランカさんが、ボク達に会わせたい仲間の人を連れてくる筈だ。

 少し早めだったので、先に部屋で待とう。

 入ってきたブランカさんと、その仲間を見てボクは呟いた。

「く~っ、イケメン爆ぜろ! リア充死ね……」

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