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第四章 マルシカからの旅立ちの準備そして北へ

5、魔法の実験とサヨナラのプレゼントおまけがメイン?

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 近所の雑貨屋に注文して、大工さんが作ってくれた20枚ほどの板が宿に届いていた。別に日曜大工を始めるつもりはない。 
 ボクは、スマートフォンの写真をプリントアウトする事に挑戦しようとしていた。
 
 こちらの世界この国の主食はパンなのだが、手作りキャラ弁を食べていて思った。パンに焼き焦げで絵が出るトースターって、あった……よな?
 もしかして、雷魔法で焼き付けて絵とか描けるんじゃないか。 

 そして更には、スマートフォンの写真のデータを雷魔法で操作して、変換焼付けとか出来ないだろうか? と思った。魔法を使ったプリントアウトである。

 雷魔法は、Lv3になったおかげか充電魔法に成功している。……電池は5個壊れた。成功するまでに、今回もスマホを3個壊す事になった。
 だが今、30cm×40cmくらいの板にアリスちゃんの姿が映し出されていた。

 完成した。これで異世界で、写真屋さんが始められる。……始めないけど。


「ぽち、あとチョット左。たまは寄りかかって、そうそう。うさ子はその前で、ぺたってしてカオ上むいて……」

『『『かわいい~?』』』

「うん、さいこ~だよ。もうチョット、目をウルウルさせてみようか~」

『『『うる、うるうる……』』』

 ボクは、次々とポーズを付けさせて撮影していく。今なら、誰にも負けないペット写真が撮れる。思い通り自由自在なポーズをお願いできるのだ。

「じゃあ、チョット3匹で絡んでみようか~。たまに、うさ子がチュウして~」

『『『カイト、えっち~』』』

 雑貨屋さんに、板を急いで追加注文しないと……。ブライアンさんたちの、家族写真の分が足りなくなりそうです。

 色々とお世話になったブライアンさん一家と、宿屋のレベッカさんとメアリーちゃんへのプレゼントを用意中なのである。

 プレゼントは、写真とボールペンにするつもりだ……。

 でもやっぱり、アリスちゃんとメアリーちゃんには、アメちゃんやお菓子だよね。

 お菓子をおまけで付けてあげよう。……って、おまけの方が消費MP高いよ。最大MPが上がってなかったら無理だったんじゃないか。
 まあ、おまけの方が重要というのは日本のお菓子業界では常識? だよね。

 最大135MPで毎時10%回復するけど、使い切ると気絶する。一日で無理なく使えるMPは400を超えるくらいだろうか。

 アメちゃんは多めに、他は週一回で一年分を用意した。三日かかったよ……おまけの準備に。


 旅の準備も進めている。ブランカさん、マリアさんに旅の間の食料について聞いてみる。と、あのまずい携帯食料を見せてくれた。食事を二人に任せる事は出来ないようだ……。
 好き嫌いはないようだが、ブランカさんの期待の大きさが目の輝きで分かる。

 町を回り、アイテムボックスに出来立ての料理を用意していく。店主が殺害されて閉まっていた武器防具店が開店していた。

 質の良い武器防具を探すなら、この店しかなかった。店主が殺されて閉店していたので、ボクを含めて困ってる人も多かっただろう。
 アリスちゃんを助けるために、ギルドに依頼した400万マールは返ってきたし、ボールペンと替え芯を売った900万マールもある。
 現在、手元には約1500万マール、軍資金は充分である。

 金属製の防具は重いし動きが制限される……結局、値段安めの革製軽鎧と脛当てにした。
 通過予定の第8王家の王都に期待するべきかも知れない。

 その日プレゼントの準備と旅の準備が終わった。

 マルシカについてから17日目になる。

 ボクは宿屋のジェシカさんに、宿泊の延長はせずに3日後マルシカを出ることを告げた。

 異世界に来てから20日、ぽち、たま、うさ子も生後約2ヶ月、人間換算で3歳になろうとしている。そろそろ食事にカリカリまぜる? 

『『『カリカリ? なに?』』』

「よし、食べてみようか?」

 その日の夕食から、ミルクと一緒にお皿に少しずつ出すことにする。ミルクをなめる姿も良いが、もぐもぐする姿もまた格別だ……。

『『『おいし~』』』

 良かった……。カリカリは犬用、猫用、ウサギ用それぞれ一種類しかない。味が好みでなかったらと不安だったのだ。
 せっかく話せるのだ。おいしい物を選んで食べさせてあげたい。

 まあ前の世界の品は、お財布と相談は仕方なかっただろう。……最高級品とはいかない。でも、そこそこの高級品をボクの友達は置いていったのだ。

 もう、行く筈だった大学も始まっている。……皆どうしているんだろう。
 ボク達が行方不明になった事は、もう家族はしっているのかな……。

 ぽち、たま、うさ子がいつの間にか寄り添ってくる。考えても仕方ない事で、心配させてしまった。

「みんなが居るから、ボクは大丈夫だよ」

 ぽち達も笑顔を念話で伝えてくる……。

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