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第4話 (アリンさんが)
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前回のあらすじ
「私はミュディー様の婚約者ですの。」
「あっはい」
でっていう。
どうも、レミーウィルでございます。
只今ケンカを売られてますの。どうしましょう(棒)困っちゃいますわ(棒)
「あのさ、婚約者候補だよね?まだ婚約者ではないよ」
「あらミュディー様。でももうお決まりではなくて?」
「いや。まだ決まってないよ。…それに、僕には_ううん。なんでもない!さぁ、式が始まりそうだから3人で周ろうか」
珍しく(?)ミュディーが怒ってるー。やーいやーい。
あ、リナフィーがこっち見て怒ってる。可愛い。口膨らませちゃってもう…あ、フンッ!ってやった。多分あれは『ふんっ。もうお兄ちゃんなんて知らないんだから!』って言ってますね。
「それでは、ごめんあそばせ。行くわよ。シティア。ルッティ。」
「はぁい!リナ様ぁ!」「はいぃ!リナ様!」
ちなみに、『はぁい』がピンクツインテで、『はいぃ』が金髪ふわふわちゃん。てか、金髪ふわふわちゃんキャラ被ってんだよなぁ…。天然ドジっ子キャラは私だけで十分だ(キリッ)
「…行こうか!レイ、チェリス!」
「わかりましたわ。ミュディー様」
「そうだな。ミュディー」
私たちの手を引っ張って行く。地味に痛い。
そういえば、ミュディー、リナフィー嫌いなのかな?確かに嫌な人だけど可愛いじゃん!もうそれだけで許せるじゃん!
…歯ぎしりが聞こえるけど、安定の無視。
「あ、ホラ!ケーキがあるよ!何食べる?」
「俺は…チーズケーキをもらおうか」
「私はいちごタルトをお願いします」
「あれ?いちご苦手じゃなかったっけ?」
「えぇっ!?…っと、いちごの素晴らしさに気付いたんです」
「へー…確かに美味しいもんねー」
なんと、レミーウィルはいちごが苦手なのか。…あんなに美味しいのにもったいない…。あ、ちなみに一番好きな果物はみかんだけどね。
「よーし、いただきます!」
「いただきます」「いただきます!!」
「あむぅっ!!うんうん。やっぱり美味しいよねぇ」
「もぐっ…。ああ。美味しいな」
「ぱくっ!…~~~!美味しい!!」
さて、解説させていただこう。
まず口に含めたのはいちごタルトの一部で、もぐっと歯で潰してみて最初に感じたのはいちごのすっぱい舌に染みる味。さっぱりとしていてすっぱいのに嫌な感じはない。そして次にいちごの甘くとろける感触に感動する。柔らかくふわふわと、しかししっかりと味は出ていて。同時にタルトのクリームの優しい甘みを味わう。もう一度もぐっと咀嚼するとタルトのサクサクとした生地に舌鼓を打つ。
はぁぁっ、と悶えているうちに二人は食べ終わったようで、別のケーキに手を出していた。
「いつもはケーキとか食べないのに、どうしたの?」
「えぇ…っと、女性にも甘いものを食べたい時があるのです」
「…まぁ、女はいつでもわからないな」
「すみません、私はまだこのケーキ食べているので、お二人でご自由に回ってください」
「おぉお!いいの!?わぁいっ!!いこー!チェリス!!」
「はしゃぐな。もっと紳士としてだな…」
「もー!そんな堅っ苦しいのはなしだよ!」
「……今日は無礼講だな」
仲よさげに歩く二人の姿を見送って皿の上のケーキに目を向ける。フォークでサクッと突き刺し、一口サイズに分けてから口に運ぶ。
美味しい。美味しすぎる!
ああん!手が止まらない!
「御機嫌よう。レミーウィル様」
(んんん~っ!!幸せ!)
「…レミーウィル様、お返事もなしにお食事を続けるのはとてもお下品で無礼だと思いますわ」
(はぁあっ!サクッ!フワッ!トロっ!うまっ!)
「レミーウィル様!いい加減にしてくださいまし!」
「うぉおっ!?ああ、えーっと…」
ハッ。気付くと目の前にはミュディーの婚約者候補(誰だっけ?)が大変お怒りの様子でした。
「ワタクシはリナフィーですわ!ワタクシの名前を忘れるなんて!!」
「ああ!リナちゃ…ゲフンゲフン。リナフィー様ですね。大変失礼いたしました」
「まったくですわ。」
「ところで、お一人なんですね。他のお二人は…」
「あの二人には自由に行動していいと言っていますの。私の気遣いですわ」
「あら、そうなんですね。私もミュディー…様とチェリス様とは別行動しているんです」
「別に聞いてないですわ」
なんと失礼な。いやまあ、正論だけれども。
「あ、そういえば、お話があってきたのではないのでしょうか?」
「なっ!?だ、誰のせいだと…!!」
その言い方だと私が悪いみたいじゃないか。ハハハ。…ななな、なんのことだかわからないなぁ。
「んんっ。話を戻しますわ。私はあなたに物申しに来ましたの。」
「決闘ですか?」
「誰がそんな庶民のするようなことをするのかしら?もっとお上品に、ですわ」
「そうなんですか。すみません。あ、これ美味しいですよ。食べますか?」
「いらないわよ!私のお話を聞いてますの!?」
「聞いてますよ~。庭のバラが綺麗ですわって言ってましたよね?」
「聞いてないじゃない!?」
あれ、リナフィーちゃんってノリいいタイプ?うんうん。可愛いねぇ。
「だから、話を戻しますわ。それで、私と____」
____バシャッ!!
「____え?」
「……ザマァないわね」
「ふふふっ…見た?あのアホ面。」
「うわぁ…可哀想…(笑)」
私は一瞬何が起こったのか分からなかった。
感じるのは、『冷たい』ってことだけ。そして、ゆっくりと目線を下げた。
折角(アリンさんが)コーデした洋服が、ビシャビシャに濡れちゃって。折角(アリンさんが)セットした髪も崩れちゃって。折角作ってくださったケーキも濡れてグチャグチャになっちゃって。
私、水かけられた?
頭が真っ白になった。
どうして?私、調子に乗ってた?誰から?私の所為?なんで?痛い。イタイ、いたい、イタい?
____ドクンッ、ドクンッ
『桜姫って本当むかつく』
『ねー。*んじゃえばいいのに』
『アハハッ!ホントそれなー』
これは、誰の声?桜姫って誰?私?
クスクスと私を嘲り笑う三人のニンゲン。まるで、見下すように。ゴミを見るかのように。
そんな様子が一枚の写真のように脳内にフラッシュバックする。
『*ねば?』『*ねよ』『*ねばいいのに』
ねぇ、待って!私がなにをしたの!?
私に向けて中指を突き立てる。ニヤニヤと笑いながら。
『何をしたの?ってさぁ!!』
『何かをしたんじゃない。何もしなかったんだよ』
そんなの知らない!私はそんなこと“望んで”ない!
『知らない…って?』
途端に怒気を帯びたその様子に体が震える。
怖い。人の表情が、様子が、怒りが、嘲笑が、笑顔が、幸せが。
『ねぇ、現実逃避やめれば?ダサいよ。すごいダサい。あぁ、きっしょ。キモチワルイよ』
____クスクスと嘲り笑う三人のニンゲン。
やめて。私は何も知らない。知りたくないの。
____“一枚の写真”のように
そんな都合の悪いこと、考えない。考えたくない。
____私に向けて中指を突き立てる。
現実逃避だって言ってもいい。それが私の身を守るための最善策。
____『………何もしなかったんだよ』
何もしなくてもいい。私が、私だけが助かればいい。私だけが幸せならいいじゃない?
____『キモチワルイよ』
それはただの感想でしょ?私自身がどうであろうともあなたの感想は必要無い。だって私は私であって私のことでは無いから。しかし、でも、だって、否、許さない。あなたは私じゃなくて、とても否定的でバットなエンディング?
トラウマが、蘇る。
「私はミュディー様の婚約者ですの。」
「あっはい」
でっていう。
どうも、レミーウィルでございます。
只今ケンカを売られてますの。どうしましょう(棒)困っちゃいますわ(棒)
「あのさ、婚約者候補だよね?まだ婚約者ではないよ」
「あらミュディー様。でももうお決まりではなくて?」
「いや。まだ決まってないよ。…それに、僕には_ううん。なんでもない!さぁ、式が始まりそうだから3人で周ろうか」
珍しく(?)ミュディーが怒ってるー。やーいやーい。
あ、リナフィーがこっち見て怒ってる。可愛い。口膨らませちゃってもう…あ、フンッ!ってやった。多分あれは『ふんっ。もうお兄ちゃんなんて知らないんだから!』って言ってますね。
「それでは、ごめんあそばせ。行くわよ。シティア。ルッティ。」
「はぁい!リナ様ぁ!」「はいぃ!リナ様!」
ちなみに、『はぁい』がピンクツインテで、『はいぃ』が金髪ふわふわちゃん。てか、金髪ふわふわちゃんキャラ被ってんだよなぁ…。天然ドジっ子キャラは私だけで十分だ(キリッ)
「…行こうか!レイ、チェリス!」
「わかりましたわ。ミュディー様」
「そうだな。ミュディー」
私たちの手を引っ張って行く。地味に痛い。
そういえば、ミュディー、リナフィー嫌いなのかな?確かに嫌な人だけど可愛いじゃん!もうそれだけで許せるじゃん!
…歯ぎしりが聞こえるけど、安定の無視。
「あ、ホラ!ケーキがあるよ!何食べる?」
「俺は…チーズケーキをもらおうか」
「私はいちごタルトをお願いします」
「あれ?いちご苦手じゃなかったっけ?」
「えぇっ!?…っと、いちごの素晴らしさに気付いたんです」
「へー…確かに美味しいもんねー」
なんと、レミーウィルはいちごが苦手なのか。…あんなに美味しいのにもったいない…。あ、ちなみに一番好きな果物はみかんだけどね。
「よーし、いただきます!」
「いただきます」「いただきます!!」
「あむぅっ!!うんうん。やっぱり美味しいよねぇ」
「もぐっ…。ああ。美味しいな」
「ぱくっ!…~~~!美味しい!!」
さて、解説させていただこう。
まず口に含めたのはいちごタルトの一部で、もぐっと歯で潰してみて最初に感じたのはいちごのすっぱい舌に染みる味。さっぱりとしていてすっぱいのに嫌な感じはない。そして次にいちごの甘くとろける感触に感動する。柔らかくふわふわと、しかししっかりと味は出ていて。同時にタルトのクリームの優しい甘みを味わう。もう一度もぐっと咀嚼するとタルトのサクサクとした生地に舌鼓を打つ。
はぁぁっ、と悶えているうちに二人は食べ終わったようで、別のケーキに手を出していた。
「いつもはケーキとか食べないのに、どうしたの?」
「えぇ…っと、女性にも甘いものを食べたい時があるのです」
「…まぁ、女はいつでもわからないな」
「すみません、私はまだこのケーキ食べているので、お二人でご自由に回ってください」
「おぉお!いいの!?わぁいっ!!いこー!チェリス!!」
「はしゃぐな。もっと紳士としてだな…」
「もー!そんな堅っ苦しいのはなしだよ!」
「……今日は無礼講だな」
仲よさげに歩く二人の姿を見送って皿の上のケーキに目を向ける。フォークでサクッと突き刺し、一口サイズに分けてから口に運ぶ。
美味しい。美味しすぎる!
ああん!手が止まらない!
「御機嫌よう。レミーウィル様」
(んんん~っ!!幸せ!)
「…レミーウィル様、お返事もなしにお食事を続けるのはとてもお下品で無礼だと思いますわ」
(はぁあっ!サクッ!フワッ!トロっ!うまっ!)
「レミーウィル様!いい加減にしてくださいまし!」
「うぉおっ!?ああ、えーっと…」
ハッ。気付くと目の前にはミュディーの婚約者候補(誰だっけ?)が大変お怒りの様子でした。
「ワタクシはリナフィーですわ!ワタクシの名前を忘れるなんて!!」
「ああ!リナちゃ…ゲフンゲフン。リナフィー様ですね。大変失礼いたしました」
「まったくですわ。」
「ところで、お一人なんですね。他のお二人は…」
「あの二人には自由に行動していいと言っていますの。私の気遣いですわ」
「あら、そうなんですね。私もミュディー…様とチェリス様とは別行動しているんです」
「別に聞いてないですわ」
なんと失礼な。いやまあ、正論だけれども。
「あ、そういえば、お話があってきたのではないのでしょうか?」
「なっ!?だ、誰のせいだと…!!」
その言い方だと私が悪いみたいじゃないか。ハハハ。…ななな、なんのことだかわからないなぁ。
「んんっ。話を戻しますわ。私はあなたに物申しに来ましたの。」
「決闘ですか?」
「誰がそんな庶民のするようなことをするのかしら?もっとお上品に、ですわ」
「そうなんですか。すみません。あ、これ美味しいですよ。食べますか?」
「いらないわよ!私のお話を聞いてますの!?」
「聞いてますよ~。庭のバラが綺麗ですわって言ってましたよね?」
「聞いてないじゃない!?」
あれ、リナフィーちゃんってノリいいタイプ?うんうん。可愛いねぇ。
「だから、話を戻しますわ。それで、私と____」
____バシャッ!!
「____え?」
「……ザマァないわね」
「ふふふっ…見た?あのアホ面。」
「うわぁ…可哀想…(笑)」
私は一瞬何が起こったのか分からなかった。
感じるのは、『冷たい』ってことだけ。そして、ゆっくりと目線を下げた。
折角(アリンさんが)コーデした洋服が、ビシャビシャに濡れちゃって。折角(アリンさんが)セットした髪も崩れちゃって。折角作ってくださったケーキも濡れてグチャグチャになっちゃって。
私、水かけられた?
頭が真っ白になった。
どうして?私、調子に乗ってた?誰から?私の所為?なんで?痛い。イタイ、いたい、イタい?
____ドクンッ、ドクンッ
『桜姫って本当むかつく』
『ねー。*んじゃえばいいのに』
『アハハッ!ホントそれなー』
これは、誰の声?桜姫って誰?私?
クスクスと私を嘲り笑う三人のニンゲン。まるで、見下すように。ゴミを見るかのように。
そんな様子が一枚の写真のように脳内にフラッシュバックする。
『*ねば?』『*ねよ』『*ねばいいのに』
ねぇ、待って!私がなにをしたの!?
私に向けて中指を突き立てる。ニヤニヤと笑いながら。
『何をしたの?ってさぁ!!』
『何かをしたんじゃない。何もしなかったんだよ』
そんなの知らない!私はそんなこと“望んで”ない!
『知らない…って?』
途端に怒気を帯びたその様子に体が震える。
怖い。人の表情が、様子が、怒りが、嘲笑が、笑顔が、幸せが。
『ねぇ、現実逃避やめれば?ダサいよ。すごいダサい。あぁ、きっしょ。キモチワルイよ』
____クスクスと嘲り笑う三人のニンゲン。
やめて。私は何も知らない。知りたくないの。
____“一枚の写真”のように
そんな都合の悪いこと、考えない。考えたくない。
____私に向けて中指を突き立てる。
現実逃避だって言ってもいい。それが私の身を守るための最善策。
____『………何もしなかったんだよ』
何もしなくてもいい。私が、私だけが助かればいい。私だけが幸せならいいじゃない?
____『キモチワルイよ』
それはただの感想でしょ?私自身がどうであろうともあなたの感想は必要無い。だって私は私であって私のことでは無いから。しかし、でも、だって、否、許さない。あなたは私じゃなくて、とても否定的でバットなエンディング?
トラウマが、蘇る。
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