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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

96.超能力!?対決 後半戦④

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 博士は声がする方へ向きを変えてタカフミが発言した
事が分かると納得の行かない表情になり赤面していた。
 哀川は、自分が言おうとしていた言葉を先に言われて
しまっていたので目を丸くしている。
「まぁまぁ、大山クンも少し落ち着いてよ」
 立花が二人のみぞがこれ以上広がらないようにつとめる。
「何だ。仲間割れか!?」
「サポートメンバーの認識だから厳密に言えば仲間では
ないさ」
 さっきから怒ったり、冷たい態度をとって持ってる知
識を経験値へと変える為にアバターモードで対応してい
るタカフミ。
「大将がそう言ってるけど本当に大丈夫なのか? 立花
さん」
「博士、少しイラついてただけだから、気にしないでね」
 立花は博士の肩に手を乗せてなだめようとしたが勢い
よく振り払われて険悪けんあくなムードへと突入した。
「ここまで、侮辱ぶじょくされたのは初めてなので、今後の付き
合いを考えさせてもらいます!」
「僕は別にかまわないよ。時間が勿体もったいないから二択でゲー
ム再開をしようよ」
 タカフミの言葉を受けて哀川が即座そくざに双眼鏡で運動場
の置時計を見て12時43分を指している事を確認した。
「時間は元には戻らないし、俺も続きを始めるのは賛成
だな」
「両者納得したのなら私が進行を務めるわね! じゃぁ
哀川クン。二択の発表をお願いっ」
 自分の意見が受け入れられなくてムスっとした表情で
様子をうかがっている博士。暴力や大声を出すようなタイプ
ではないので大人しく事の成り行きを静観する事にした
のだ。

「そうだな。一つが白と水色のしましまパンツで、もう
一つが鬼のパンツだ」
「じゃぁ、大山クン。何か質問があれば聞いて頂戴。但
し時間が無いから三つまでよ」
「了解。鬼のパンツって10年はいても破れないトラ柄
の奴?」
「そう。それだ」
「二つ目はカレーの中辛が苦手って本当!?」
「誰から聞いたんだよ。中辛くらい平気で食べられるよ」
 平静をよそおっていたが嘘を付いた時に出る仕草しぐさが現れた
のをはっきりと両目で確認するタカフミ。
 嘘を付く時に左斜め上方向に視線が動く事を立花の知
人であるB探偵という人物に教えて貰っていたのだ。何
のBなのかは、その時、教えてくれなかったが貴重な情
報が手に入ったのは間違いなかった。
「最後の質問。正解は白と水色のしましまパンツだな?」
「おいっ。その質問は反則だろ!?」
 哀川は立花に両方の手の平を上に向けて抗議こうぎの目を向
ける。
「哀川クン。あなたがポーカーフェイスで対応すれば、
問題ないレベルのはずよ」
「結局のところ、俺が圧倒的、不利な状況丸出しって事
だな。まぁいいや、不正解に決まってんだろ」
 この時も左斜め上方向に視線が動いた事を確認したタ
カフミだった。


*アバター=ネットワーク上の仮想空間でのユーザーの分
身のこと。

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