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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

100.超能力!?対決 予想外の展開へ①

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「大山クン。元に戻ったみたいね!」
 立花は自分のアイデァの効果が抜群だった事に満足気
な表情を見せた。
「でも、どうやって、あの目立つ下着を履かせることが
できたのか理由が分からない」
 哀川は男子代表で立花へ質問する。
「それはB探偵からリアルアバターの解除方法を聞いて
から思い付いたの。もちろん、あの柄は目立つし笑いの
ネタになりかねない物を簡単に履くような人じゃないか
ら、そこは城ヶ崎さんの執事に協力して貰ったの」
「具体的には?」
 平静を装ったタカフミが話の続きを促してる間に博士
は双眼鏡を変わって貰って話題となっている絵柄を爆笑
しながら見ている。
「そうね。実は、あの執事さんは催眠術が得意なの。私
が思うに副業でかせげるような高度なレベルだから、趣味
レベルで無い事は確かだわ」
「しかし、立花さんの周りには謎が多い人物が多いねっ」
 哀川は発言しながらマイカという人物を更に知りたい
と思うようになっていた。タカフミは先程の立花の言葉
を頭の中に何度も思い浮かべて自宅に盗聴器でも仕掛け
られているのか不安になっていた。

「そうかな。謎は時として生きる希望になるかもしれな
いと私は常々つねづね思うのよ」
「それは立花ミステリー同好会の部長としての意見かい
!?」
 言い終わった後に立花に睨まれたので失言してしまっ
た事に気付いた博士。
「学校外でミステリー同好会の活動を行っているのは、
秘密にしてたんだけど……。誰かさんが口をすべらせてく
れたおかげで秘密では無くなってしまったわね!」
 立花の冷たい視線に耐えられなくなって背中を向ける
と再び双眼鏡を覗いて心のダメージを減らす作戦に出た
博士。
「まぁまぁ、そんなに怒らなくても……」
 タカフミが怒りをなだめる為に立花の肩に右手を乗せ
ようとした時、博士が驚いた声を上げて状況を説明する。
「中邑ヒカルさんの下着がブルマーだった事は合同体育
の時間が迫っていると推測されるので問題ないのですが
ヒカルさんがこちらの存在に気付いたかのようにキッと
にらみつけてる様に見えます。タカフミさんは何か思い当
たる事はありますか?」
「双眼鏡のレンズが光ったものがヒカルの視界に入って、
その方向を探り当てた可能性が高いよ」
「どうして、そう思うんだ? 違うかもしれないだろ?」
「昔から視力が良くてアフリカ人の視力6.0に負けて
ないという事を話してたし30m以上離れていても特徴
を当てる事があったんだ」
「中邑ヒカルって実は日本人じゃないのか!?」
「父親の海外赴任ふにんがアフリカだって聞いた事があるから、
たまに遊びに行ってるのかもしれない」
「それを早く言えよ。もうこっちに向かってるかもしれ
ないだろ!?」
 哀川の怒りが爆発した時、立花は博士から双眼鏡を奪
うと運動場の一角に建てられている置き時計の針が12
時46分を指している事を告げながら、言葉を失い目頭めがしら
を強く押さえていた。
「そこで野生の動物を観てきたえられたとしても不自然では
ないです」
 怒りの迫力にタイミングを逃してしまって空回りした
博士の言動であったが全員が理解出来ていた内容だけに
リアクションの返事が訪れることは無かった。
 

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