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第1章

ルル「タイトルでキャラに喋らせる作者…キモッ」

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——翌朝。
レンさんによって廊下で寝て腹を壊した一香が発見された。
「大丈夫か?」
「俺のことはいい。レンさん。先に行ってくれ」
「おう、意味わかんねぇがとりあえず医務室まで連れてくぞ」
「グッ!?おれの右手の魔獣がこんな時に限って……ッ!!」
「……朝から気持ち悪い。略してキモい」という声とともにドアが開いた。
「お、ルルちゃんおはよう。朝の部分が大々的にカットされてるんですね」
「……なんで担がれてんの」
「いや~廊下で寝てたら……アハハ」
「……レンさん。彼の容態は」
「ただ寒かったから腹痛になっただけだろうよ」
「……一体何を考えてるんだか」
そうしてレンさんに一香は担がれて行った。

「うし、着いたぞ」
レンさんは丁寧に一香を降ろす。
「……ねぇレンさん。俺の人生経験だと『中にいるわよ♡』って書かれているドアは開けるとろくなこ——」
「なんだとゴルァァァ!!」という凄まじい怒声と共にその可愛らしいドアは開いた。
そこにはピンク色のエプロン姿の——。
両側刈っていて、いわゆるモヒカンのような髪型のごつい男の人がいた。
「あら~。噂の英雄ちゃんじゃない。私の名前はリリコよ。さ、どうぞ入って♡」
他の部屋の簡素な作りとは違い、壁もピンクで窓には薄いピンクのステンドグラスのガラスが取り付けられている。
挙げ句の果て、本人の髪はピンクだし何もかもが可愛らしい感じだ。
まぁ、本人を除けばだが。
「お、お~……すごいっすね」
「うふ、英雄ちゃんは優しいのね♡」
「え、あぁ、はい。そうっすね。よく優しいって言われます」
覇者の加護を受けているものでもこれだけ、濃ゆい者が相手だとペースが乱れる。

「はい♡これで治療完了よ♡」
「あの、『マジカル☆マジクル☆痛いの~飛んでけっ♡』は必要だったんですか」
「必要に決まってんだろ。頭カチ割るぞ小僧」
「あ、はい。そうっすね。はい、俺も結構いいと思いますよ。ええ、マジっす」
「あら♡もしかして英雄ちゃんは私にほ・れ・た♡」
「え、えっと……俺には決めてる相手がいるんで。はい。いなかったら…点まぁ……選択肢の1つには……入ってたかもですけど。あ、そんな怖い顔しないでください。恨むなら世界の神っすよ。運命を恨むべきですよ」
「それもそうねぇ」となんとか納得してくれたみたいだ。
なんとかリリコさんの恐怖から逃れ部屋に戻ることができた。
「……なに?治療してきたのに疲れてるみたいだけど」
「色々あったんだよ……いいかルルちゃん。怪我をしても絶対に医務室にだけは行かないほうがいい。大変な目にあうぞ」
ルルは意味が分からず「?」という感じだった。
「そんなことよりこの後どうするのよ」
「ん?とりあえずさっさと——」
するとドアがバンッと乱暴に開く。
そこにレンさんでもなくリリコさんでもない。
小柄な青年がいた。
「え、英雄様!!大変なのです!!」
「……」
「……」
「英雄様?」
「ねぇルル」
「なによ」
「黙ってないで何か言ってあげたら」
「いやよ。英雄はあなたでしょ」
「いや、大変だって言ってるし。絶対面倒ごとだし」
「じゃあ私が勝手に依頼を受けて難易度を上げえあなたに押し付けるわよ」
「あ、はい。自分で受けます」
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