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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

♯9. 立花マイカの切り札登場②

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 ヒカルの警戒心が解けた事が分かった宮間は笑顔を見
せて話を続けた。
「私は陰でコソコソしていた事を隠したり、嘘をついて
行動するのが嫌なので正直に話しますが生身の成人した
女性が苦手なんです。もちろん最初から、こうだった訳
では無く、会社勤めをしていた頃、一度、結婚を意識し
た人がおりまして婚約してから同棲どうせい期間を経て、そろそ
ろ結婚という流れになったのですが結婚式の当日に電話
で結婚は無理と断られて花嫁不在となり、家族、親戚か
らは白い目で見られ、会社の上司や同僚どうりょうからは笑いの種
として扱われ続けて我慢がまんの限界に達した時に会社を退職たいしょく
しました。そんな事があってか生身の女性が好きになれ
なくなったんです!」
「そんな事があれば仕方がないかもしれない……」
 ヒカルは初対面の相手に自分の辛い過去を包み隠さず
話してくる宮間という人物に悪人だと決めつけるのは、
間違っていたのかもしれないと思うようになっていく。
「君なら、そう言ってくれると思ってましたよ」
「それで私に何を伝えたいの?」
 先程、話した内容が何を意味しているのかが理解でき
ないので説明を求めるヒカル。
「私は、あなたの私物であるブルマーを預かる事にしま
した」
「えっ。宮間さん。あなた何を言ってるの!? それっ
て私の物なんだよ。しかもブルマー限定なんだーー」
 さすがのヒカルもドン引きして困惑顔を見せる。

 一方、教室内では待機の指示を解除する時間も持てな
い位に掃除に追われている立花がいた。清掃に関しては
プロ顔負けの汚れ落としのクリーナーや消臭しょうしゅうスプレー、
専用モップも所持しているので念入りに作業している。
この掃除に一早く気付いたのが教壇の下に隠れている哀
川だった。モップ掛けしてる音が聞こえてきたのは言う
までもない。



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