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初めての挫折

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高校生になると、美菜は部活だけでなく、生徒会役員を兼任した。

中学時代から、スラリと伸びきった長い手足が自慢だった美菜の体は、成長とともに女らしさもプラスされ、ますます美しさに磨きがかかっていった。
成績もよかった美菜は、生徒のみならず、教師にもウケがよく、多少ワガママな意見でも強引に押し通せる様になっていった。

こうして力を得た美菜は、ますます自分の容姿に自身を持つようになり、いつしか男ウケばかりを考えて振る舞う様になった。

当然、女子生徒からは〝鼻持ちならない女〝として見られ、女友達は次第に美菜から離れていった。
しかし、すっかり自信過剰になっていた美菜は、それを妬みや僻みと考え気にもしなかった。
それどころか、自ら女友達を遠ざけ、得意がる様にさえなっていったのである。

こうして、自惚れの絶頂の中、美菜は都内の女子短大に進学した。

そこに、予想もしない初めての大きな挫折が待っている事など、夢にも思わずに。
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