上 下
117 / 424
裸の女王様

1

しおりを挟む
春、晴れて女子大生となった美菜は、テニスサークルに入った。
学内サークルだった為、男子メンバーは全て同じ大学の4年制の学生だった。

他のサークルの多くがそうである様に、新歓コンパ、新歓合宿は文字通り1年女子の争奪戦となり、1年男子と上級生との間には、早くも確執が生まれる程加熱していた。

美菜も、数人の上級生にアプローチされたが、特別気に入った相手がいなかった事もあり、それぞれに適当に愛想を振りまき、無難にやり過ごした。


上級生の女子達は、流石に大人だったのと、比較的綺麗な子が揃っていた事もあり、美菜の態度もある程度理解された(こんな事は毎年恒例でもあった為)。

しかし、1年の女子には、美菜の八方美人的な振る舞いが生意気に映ったのか、悪い印象を与えてしまっていた。

こうして、美菜は早くも1年女子の中で孤立し始めた。

しかし、高校時代のノリそのままで大学生活に突入した美菜は、そんな事は気にもとめなかったのだった。

夏になると、秋の学園祭で開催されるミスキャンパスコンテストの予選が開かれた。

美菜は、1年女子の推薦もあって、予選にエントリーしていた。

美菜自身もミスコンには興味があったし、さすがに優勝は無理でも、決勝には楽に残れる自信もあった。

1年の女子達は、予選の日が近づくにつれ、十分優勝も狙えると、みんなで美菜を持ち上げた。
美菜は、彼女達の煽てによってますます図に乗り、自分達の会話を〝ヤレヤレ〝といった表情で傍観している上級生の女子達の視線に気づいていなかった。

そう。。
この時点で、既に美菜は1年女子達にハメられていたのだった。

そしてミスコン予選当日。
美菜は、目一杯めかし込み、ブランドの服を新調して気合い十分で会場に乗り込んだ。

参加者はかなりの人数だったが、大半は1目見ただけで予選通過には程遠いと思われる子ばかりだった。

そんな中。。
他の子とは明らかに存在感の違う子が、大勢の取り巻きを従えて現れた。
その子は、単に綺麗とか、そういう比較を越えた異質な存在だった。

メイク、衣装、立ち振る舞いなど、全てが素人のそれではなかった。

しかし、美菜が驚いたのはそれだけではなかった。
その様な素人離れした子が、その子以外に何人もいた事だった。
しおりを挟む

処理中です...