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裸の女王様

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後から知った事だが、彼女達はみんな高等部出身で、知り合い同士、全員が既にモデルなどの経験者だった。
また、大半がミスコンの常連で、いわばセミプロ集団の様なものであった。
彼女達にとっては、予選などほんの挨拶代わりに過ぎなかったのだ。

当然の様に、決勝進出枠は彼女達が独占し、美菜の評価は遠く及ばなかった。

当然と言えば当然の結果だった。
正直、素材では負けていなかったが、料理法が違い過ぎたのだ。
彼女達との差は、単に知識や経験、テクニックでしかない。美菜がそういう世界だと知らなかっただけの事だった。

冷静に考えれば納得し、割り切ることができたハズだった。

しかし、小さい頃から周りにチヤホヤされ、自分は特別だと思い込んでいた美菜には、もはや冷静な判断ができなくなっていた。

惨敗だった。
初めて、挫折というものを味わった。

考えてみれば、美菜にエントリーを薦めた子達は、皆高等部出身だった。

そう、彼女達はこうなる事が分かっていたのだ。全ては美菜に恥をかかせる為の策略だった。

知らないのは美菜だけだった。

美菜は、まさに〝裸の女王様〝だった。

悔しかった。。
悲しかった。。

自暴自棄になった美菜は、その夜1人で飲み歩いた。

初めて泥酔を経験し意識が朦朧とした美菜を、知らない男がナンパし、ホテルに連れ込んだ。

朝気が付くと、美菜はホテルに裸で1人、置き去りにされていた。

前夜の記憶は全く残っていなかった。

これが、美菜とっての〝苦過ぎる初体験〝だった。
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