上 下
124 / 424
〝イジメッ子遊び〝の限界

1

しおりを挟む

摩耶は美菜が語るナミの初登場話を黙って聞いていたが、やがてゆっくりと口を開いた。

「まさに鮮烈デビューといった感じですね。ナミさんらしい。。

こうして美菜さんの本能は、2つの〝裏の性〝を美菜さんの意識の外に解放した。」

「そう。。
だから、今でも私自身は加虐、被虐どちらの性癖も自覚がないの。
ただ。。
今日あなたの話を聞くまではすっかり記憶から消えていたけど、今回のナミの出現は、私が小さい頃やっていた〝イジメッ子遊び〝のいわばグレードアップ版みたいなものだったという事は理解できるわ。」

「でも。。」

美菜は摩耶に訊ねた。

「ナミは、なぜ摩耶さんに代役をさせようと思ったのかしら。
ナミの話しだと、伊豆に行く前からあなたに目をつけていたみたいだけど。。」

「それは、2つの〝裏の性〝を完全に解放するには、〝イジメッ子遊び〝では限界があったからです。」

摩耶は漆黒の海に目をやり、一息入れてから話を続けた。

「ナミさんが現れ、彼女が美菜さんを責める事で、確かに2つの〝裏の性〝の解放が始まりました。
そのお陰で、美菜さんも本来のポテンシャルを発揮して、どんどん美しくなっていった。でも。。所詮〝イジメッ子遊び〝は、〝ゴッコ〝に過ぎなかった。

「だから。。」

摩耶は続けた。

「ナミさんは伊豆に行く前から、既に、私に代役をやらせる事を考えていたんです。
〝ナミさん役〝を完全に別人にやらせる事で、〝裏の性〝を完全開放する為に。」


「こうして。。先程も言った通り、私たちの間に契約が成立。
ナミさんが私を虐待し、私が、〝ナミさん〝として美菜さんをいたぶるという関係が出来上がった。
これによって、美菜さんの2つの〝裏の性〝は今度こそ完全解放され、美菜さんは完璧な美しさを手に入れる事が可能となった。
これが、ナミさんの計画の全容です。」


「でも。。よくあなたはナミの代役を引き受けたわね。脅され、調教されたと言っても、なかなかここまでは出来ないでしょう。」

すると摩耶は笑いながら答えた。

「なんだ。。そんなの不思議でも何でもないじゃないですか。
私には代役を勤める事で十分過ぎる程の報酬があったんですから。
美菜さんを思いっきりいたぶれるという報酬がね。その為なら、どんな責めでも耐えられましたよ。
もちろん、私には被虐嗜好は全くありませんから、大変ではありましたけど。」

「全てはタイミングのなせる技でしたね。」

摩耶は頬を紅潮させながら言った。

「私は、確かに綺麗な女の子をいたぶるのが好きでしたが、ナミさんが出現する前の美菜さんだったら、そこまで食指が動かなかったかもしれない。
一方、ナミさんは、私の様な、生意気で性悪な女をいたぶってヘコませるのが好きな人ですから、ナミさん自身の責めによって控えめになった美菜さんでは、物足りなくなっていたのかもしれません。

そういう意味では。。

今後も、私と美菜さんが〝裏の性〝を解放すればする程、お互い相手の好みの女に成長し続けると言えます。まさに完璧な関係ですよね。」
しおりを挟む

処理中です...