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人食い花に転生しました ~復讐~~その人を食べる日まで~

まぶしい光

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 私は、兵の群れの中に紛れ込みました。【キエール】の魔法のおかげで兵たちは私に気づいていません。

 まずは、群れから少し離れた若い二人組を狙うことにします。そっと後ろから近づき、【収縮】を解除して巨大化します。

「こんな任務ならチョロいよな」

「でも、いずれは戦争に駆り出されるだろうし、こんなの気休めだよ」

「戦争か~。どうしてこんな平和なのに戦争するんだ」

「平和だからするのかもね。怪我してリタイヤしておけばよかった……んっ!?」

 ゆっくりと近づき、兵の一人を【捕獲】し、すぐに口の中へと放り込んで【食事】します。

 ────パクッ。

「リタイヤしたら、その後の仕事が大変だからな……あれ、トニー?」

 もう一人の兵は、こちらに気付いていませんでした。

 その後、すぐに《一般兵1》を【複製】します。

「あ……ああ。で、何が大変なの?」

「なんだよ、聞いてないのかよ……なんでもねえよ。それより、任務を終わらせようぜ」

「そうだね」

「あれ、たいまつの火が消えてんじゃん。つけてやるよ」

「ああ、ありがとう」

 もう一人の兵も背後から【捕獲】します。腕を絡めとりました。

「あれ、腕がうごかない。何かがからまってるな、トニー、見てくれないか?」

「別に、なにも絡まってないよ」

「ほら、腕と銅のところに変な蔓が絡んで……きてる……! なんだこれ……!」

 蔓で持ち上げ、いっきに口の中へ放り込みます。

「うわあ…………」

 ────パクッ。

 同じく、今食べた兵をすぐに【複製】します。

「こらー! ミッキー! トニー! おまえら……なにやってんだ!」

 兵の声に気づいたのでしょうか……少し偉そうな人がこちらに走ってきました。

「ああ、《小隊長》。すいません……ミッキーが蔓に絡まったみたいで……」

「もう大丈夫です、マック大尉。心配をおかけましたっ!」

「気をつけてくれよ! 任務が遂行できなければ、お前らは新兵訓練所送りだが、俺は中尉に格下げだ!」

一蓮托生いちれんたくしょうってやつですか」

「こんな任務の時に……嫌なこと言うな……トニー。 それより、たいまつの火が消えてるぞ。俺のを使え!」

 この隙に、私は《小隊長》の後ろに回り込みました。そして、【捕獲】で蔓を伸ばします。

「ん、なんだ……腕が何かに引っかかったぞ……うわ、だんだん絡まってくる……蔓か?」

「いえ、違います。それは花です」

「そうです。花です……マック大尉」

 ふわっと、《小隊長》の体を持ち上げます。

「な……これは……うわ……た……」

 ────パクッ。

 叫び声を上げさせる間もなく、《小隊長》を口の中へと放り込みました。


 ご・ち・そ・う・さ・ま・で・し・た。


 少し、急いで食べたので味わえなかったですが、味はまあまあでした。無事、3人をいただきました。《小隊長》を食べることができたのは幸いです。これで、この小隊全員を簡単に食べることができるでしょう。

 ────その時でした。私の体からまぶしい光がすり抜けました。その光は上空へ飛び、輝きを増しました。

 遠くで声がします。おそらく指揮官の声です。

「『発光玉』だ! 使ったのは誰だ!」

「マックの小隊です!」

「よし! 全小隊! マックの小隊を取り囲め!」

「「「はい!」」」

 私のいる場所を中心に兵が大勢集まってきます。この《小隊長》は、食べられる間際に光を放って仲間を呼んだのでしょうか……。

《小隊長》を【複製】して話を聞きます。

「さっきの光のことですね。あれは、『発光玉』といって《人食い花》発見の合図です。持ち主の生命が危険な時も自動的に発光の合図を出します。『発光玉』の発光を見たら、そこを取り囲み、《大隊長》マクス中佐の指示で行動せよとの命令を受けています」

 そういうことでしたか……用意周到ですね……。

「囲んだな! では、全員! 火を放て!」

「え、でも味方がまだ……」

「何だお前、命令に逆らうのか!」

「いえ、了解しました! 放てえええぇぇぇ!」

 兵たちは、油の入った樽を持ち出しました。そして、中身をぶちまけ、たいまつで一斉に火を放ちました。

「「「おおおお!」」」

 炎が周囲を取り囲みました。森がバチバチと音を立てて焼け始めます。煙が充満し、火に囲まれた人間たちは、煙でむせながら、逃げ場を探していました。

 それにしても、さすがは人間です。個々の力は弱くとも、集団での異常なほどの卓越した能力は化け物じみています。一瞬で火の海を作るとは……。そして、味方を犠牲にして私もろとも焼こうとする悪魔的な非情さ……恐れ入りました。

 もしこの計画が、《アズール》さんの引き起こしたものなら……私の力を高く見積もり過ぎです。本当にせっかちです。それとも、私はもう用済みなのでしょうか……。少しでも信頼を置こうとした私が、砂糖のように甘かったのかもしれません。やはり、人間の臭いのするものたちには注意が必要でした。

 …………かといって、このままで終わるつもりは毛頭ありません。どこまでやれるかわかりませんが最後まで戦いましょう……。

 ────《人間》と…………。


【エナジークリスタル x 200】
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