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鬼手仏心

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摩耶は暴れる由香里を力強く抱き締めながら、子供をあやすかのように話しかけた。

「ごめんね、もう少し頑張って。。大丈夫だから。。ただのシーブリーズだから、体には悪くないから。。」

「いやあぁぁぁ~っ!もう離してえぇ~!いい加減にやめてっ!お、鬼い~っ!」

摩耶は鬼と呼ばれて思わず笑い出した。

「あははっ!鬼はよかったわね!そうよ、私は鬼よ!今頃分かったの?私の事何だと思ってたのよ。」


そう。。

自分は鬼だ。だから獲物には情けをかけないのだ。
これからも鬼手仏心を貫く。

いや。。
自分の場合は心も鬼だから、鬼手鬼心か。

摩耶は、痛みに震える由香里を抱き締めながら、いつまでも笑っていた。


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