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釣り竿

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深夜2時、摩耶はダイニングテーブルに座って紅茶を飲んでいた。

伊佐乃はようやく洗濯バサミと釣り糸から解放され、ベッドに横たわっている。

両腕は無数の洗濯バサミの跡と、釣り糸の食い込んだ跡がミミズ腫れになり、無惨な状態となっていた。

責めている時は当然だが、釣り糸を解き、洗濯バサミを外す時こそ、伊佐乃にとっては地獄だった。強く挟まれ、キツく縛られた腕の様々な箇所はすっかり痺れきっていた為、血液が通い始める時の激痛は、言葉では言い表せない程凄惨だった。しかも、それは解放される為のプロセスであり、誰にも苦痛を止める事ができないのだ。

さすがに伊佐乃は、解放された後にそんな悪夢が待っているとは、思いもしなかっただろう。

解放され、一瞬気を緩めてしまった伊佐乃に、その苦痛は厳し過ぎた。

また、そんな伊佐乃の地獄の痛みを知りながら、摩耶は彼女に追い打ちをかけた。

釣り竿の穂先で、伊佐乃の痺れきった両腕を何度も強く打ったのである。
痺れて動かせないまま、ベッドの上に投げ出された両腕。。
力一杯釣り竿が振り下ろされるのが分かっていながら、拘束もされていないのに、それを避ける事も出来ない伊佐乃。。

彼女にとっては悪魔の様な時間だった。

しかし。。

伊佐乃は、今、とても穏やかな表情で横たわっていた。



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