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剥がされる痛み

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「友里先生、独りぼっちで寂しかったですか?でも、思ったより元気そうでよかったわ。」

摩耶は微笑みながら友里に言った。

摩耶がスタンガンで友里の意識を失わせ、この音楽室に監禁してから、既に5時間以上が経過していた。
その間、友里は冷えきった教室内で、薄手のワンピース1枚の姿で寒さに耐えていた。
彼女の体は氷の様に冷たくなり、白い腕は鳥肌が立ち、紫色に変色していた。

友里は、寒さに震えながら、摩耶に言った。

「ま、摩耶さん、早く縄をほどいて。。とても寒いの。。お願い。。」

「ええ、いいですよ!ただし、私のお遊びが終わってからですけどね。」

摩耶はわざと意地悪な顔をして友里に言った。

「ふざけてないで早く助けて!こ、こんな事して、ただじゃ済まないわよ。」

普段は温厚な友里も、さすがに我慢の限界らしく、声を荒げて言った。

それを聞くと、摩耶はつかつかと友里に近づき、臑に思いっきり蹴りを入れた。

「あうっ!い、痛い。。」

臑に強い痛みが走り、友里は思わず呻き声を上げた。

「ねえ、先生。。」

摩耶は友里に近づいて、耳元で囁く様に言った。

「うふっ!怒った顔も可愛いですよ。でも、今晩ここで起こった事は、先生と私だけの秘密にしてもらいます。いいですね?」

「じ、冗談じゃないわ!こんな事されて黙っていられる訳が。。」


友里は振り向きながら摩耶に反論しようとしたが、その言葉を摩耶が遮った。

「どうなっても知りませんよ!!」

摩耶は大きな声で友里を威嚇した。

「先生がその気なら、私も先生の事、みんなに話しますよ。教育実習期間中に1年の子にいやらしいイタズラをした事を。」

友里は、信じられないといった顔で叫んだ。

「わ、私はそんな事してないわ!」

摩耶は、友里の感情を更に逆撫でする様な口調で言った。

「ええ!分かっていますよ。だってこんな話、私の作り話だもん。。
でもね先生、噂って、ホントの話かどうかなんてのは実はあんまり重要じゃないんですよね。だから、流れちゃえばそれでおしまい。私の場合、教師のウケは抜群なんで、きっとみんな信じちゃうだろうなあ。。」

「摩耶さん、あ、あなたって子は。。」

友里は、とうとう泣き出してしまった。

「大丈夫ですよ!先生が私の言うこと聞いてくれれば、私何も言いませんから。さて、それより。。」

摩耶は、友里の背中に回り、彼女のワンピースのファスナーをゆっくりと下ろした。

「さあ、うまく出来てるかしら!」

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