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『腸』――9日目

122.『夜の時間(6)』

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 ――――AM00:40、応接間

白百合 美海
「……………………」

小田切 冬司
「……………………」
千景 勝平
「…………どうしたんだよ」

白百合 美海
(お風呂から上がった勝平くんは、あたしたちの沈鬱な雰囲気を訝しんだ。
 …………襲撃はできなかった。でも、小田切くんはアキラを殺そうとした。
 そのことがショックで、受け入れられそうもなかったの)

小田切 冬司
「…………なんでもないよ」

千景 勝平
「…………襲撃は? 行ってきたんだろ?
 …………道明寺は……」

白百合 美海
「生きてるわ」

千景 勝平
「……………………」

白百合 美海
「……ちゃんと、用心棒がアキラを守ってたから。
 だから…………心配しないで」

千景 勝平
「…………そうか」
(それにしては様子がおかしいのは気のせいか?
 …………小田切となにかあったのか?)

小田切 冬司
「白百合さん…………お風呂、いっておいで」

白百合 美海
「…………うん」

千景 勝平
「白百合! …………待ってるからな」

白百合 美海
「…………ありがとう」
(あたしは応接間を出た)

千景 勝平
「…………白百合となにかあったのか?」

小田切 冬司
「…………なんでもないよ」

千景 勝平
「なんでもないわけないだろ。
 …………様子が、おかしくなってる」

小田切 冬司
「……今日、あんなことがあったんだよ。
 みんなおかしいでしょ、様子は」

千景 勝平
「……そうじゃなくて、あれは……さっきより」

小田切 冬司
「…………勝平くん、気にかける相手が違うんじゃない?」

千景 勝平
「あ?」

小田切 冬司
「白百合さんは、アキラの恋人。
 君の恋人は…………八木沼さんでしょ」

千景 勝平
「………………なにが言いたい」

小田切 冬司
「別に。……ただ、八木沼さんのことももっと気にかけてあげなきゃ。
 …………どうするの、彼女が用心棒だったら」

千景 勝平
「……………………」

小田切 冬司
「……メンタルケアも彼氏の努めだと思うけど?」

千景 勝平
「…………ちっ」

小田切 冬司
「……………………」

千景 勝平
「……お前とは、気が合わねえな」

小田切 冬司
「…………そうだね。
 俺たちを繋げるものは、白百合さんだよ。
 ……よかった、彼女が人狼で」

千景 勝平
「………………」

小田切 冬司
「…………それじゃ俺、先に休むから。
 それじゃあね」
千景 勝平
「……………………ああ」



 …………。

 ……………………。



白百合 美海
(応接間に戻ると、言葉通り勝平くんが待っていた。
 一言二言会話を交わして、それからは無言で部屋まで送ってくれた。
 …………この気遣いが、由絵にも出来ればいいのに。恋人同士って、難しいね。

 あたしは髪の毛を乾かしてから、ベッドに横になった。

 陰鬱な気持ちが抜けなくて…………しばらく、眠れなかった)
</iro1>





――――9日目、終了





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