19才の夏 From1989

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ディズニーランド

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10時ギリギリにチェックアウトした。

ホテルを出るとき、親子連れが前を通りかかった。
ジロッとこちらを一瞥して通り過ぎた。

「何か変な目で見られたね。」

美樹の言うとおりだ。

外は眩しい。今まで暗い部屋にいたから太陽の光がやけに眩しく感じる。

僕らはホテルから少し離れた通り沿いにあるファミレスに入った。

「次どうする?」

僕が美樹に聞いてみた。

どうしようか?
解散しようかとも思ったが、遊園地なんかどうだろうと思い、美樹に訊ねてみた。

「この辺りの遊園地ってどこになるのかな?」

「ディズニーランドぐらいしかないけど。行く?」

そうか、ディズニーランドか。
行くだけ行こう。

「よし、じゃあディズニーランド行こう。」

「じゃ、その前に1度家に寄っていいかな?着替えてくるから。」

え?美樹の家に行くのか?

「え、こっから近いの?」

「バスに乗って20分ぐらいかかるかな。」

じゃあ、とりあえず美樹の家に行こうということでファミレスを出て、バスに乗った。

最後部座席に座り、いつの間にかウトウトしてしまった。

「次降りるから。」

「うん。」

美樹がブザーを鳴らした。

程なくして、最寄りのバス停に着いた。

「この辺りに住んでるんだ。」

「うん。すぐそこが家だから。」

路地裏を通り、少し年季の入った2階建ての家が見えてきた。

「ちょっとここで待っててね。」

美樹は中に入っていった。
その間、僕は家の前で待ってた。

近くにタバコの自販機があった。
ホテルで中々寝付けなかったので、タバコばかり吸って、残りの本数が後僅かだ。

小銭を入れて、マルボロのボタンを押した。

美樹が来るまで、タバコを吸って待っていた。

少ししてから美樹が現れた。
ブラウンのシックな装いから、パーカーにジーンズというラフな格好に着替えた。

「ディズニーランドだとスカートじゃちょっとアレだし。」

でも、このスタイルも悪くないと思った。
改めて美樹を見たが、決して太ってはいない。

標準体型なんじゃないか?女はどうしてそうも痩せたがるのか。

「こっからどうやって行けばいいの?」

「こっちに駅があるから。」

美樹の後を付いてった。

近くに地下鉄東西線の駅が見えてきた。

僕たちは東西線に乗って、JR京葉線に乗り換えて、舞浜駅で降りた。

ディズニーランドなんて、中3の卒業旅行以来だ。

中3か、そう言えば波多野はどうしてるかな?

高1に付き合った中学の同級生、波多野慶子の事だ。

別れてから何度か通学途中に駅で見かけたが、それ以来会ってない。

今は新しい彼でもいるんだろうな。

「ディズニーランドって何回来たことある?」

美樹が僕に聞いてきた。

「え、いや、中学の時に来ただけだからもう4,5年経つかなぁ。」

入り口でパスポートを購入する。

「あ、いいから。オレが出すよ。」

「いいの、ありがとう。」

男が払うのは当然だ。

「あちゃー、こりゃ相当並ぶな。」

ディズニーランドはどのアトラクションも必ず一時間近くは並ぶ。

「あれ乗ろうよ。」

美樹が指したのはスペースマウンテンだった。
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