種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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闘人都市崩壊編

盲点

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ツインがセンリの弟子である事は聞いており、実際にレノが彼女からスターゲートを教わる際に2人の関係性は説明してもらった。ミキと違い、センリは自分の弟子はツインだけであり、彼女には誰よりも期待していたという。

センリはツインを子供の頃から面倒を見ているため、実の娘のように可愛がっていたそうだが、今の彼女は「ロスト・ナンバーズ」であり、敵として出会ったならば容赦はしないと約束している。


『本来ならば私が動くべきなのでしょうが……巫女姫様の護衛がある以上、貴方にお願いしたいのです。どうかあの子を……間違った道から救ってください』


最悪の場合は殺しても構わないと暗に言われたが、レノとしてはツインに別に恨みがあるという訳ではないため捕まえるつもりでいたが、どうやら先ほどの行動から考えても案外抜け目のない相手らしい。

地面にいたマドカに一瞬気を取られた隙に逃げられたのは痛いが、今は他の仲間達との合流が先であり、先ほどの竜巻が消失した所に視線を向け、ホノカに何が合ったのは確かだろうが、今は他に気になる事がある。


「スターゲートか……」



――レノはつい最近に「闘技場」の地下施設に「スターゲート」の魔方陣を仕込んでおり、その気になれば彼だけでも転移魔法で闘技場の内部に移動できる。当然、闘技場に何らかの仕掛けが施されて転移が出来ない可能性もあるが、試してみる価値はある。



「……よし、発動は出来るみたいだな」


ボウッ……!


建物から下りると、地面に向けて星型の魔方陣を書き込み、どうやらまだ闘技場に仕込んだ「転移魔方陣」は無事な事を確認すると、すぐに発動させて向かおうとした時、


「……待てよ」


もしも転移した先にロスト・ナンバーズ達が待ち構えていた場合を考え、迂闊には転移はできない。これが罠である可能性も高く、やはり先ほどの竜巻が掻き消えた場所に向かうか、あるいは他の仲間達と合流するべきか悩み所だが、


「ふうっ……」



一旦、レノは頭を落ち着かせ、ここまでの状況を整理する。




――まず、この闘人都市はロスト・ナンバーズの襲撃を現在受けており、恐らく既にリノン達も交戦している。


敵は剣乱武闘の参加者を操作し、街中で騒ぎを起こす。同時に「魔の聖痕」の力で都市中に降り注ぐ隕石をゴーレムに作り替え、鎮圧に向かった兵士達を撃退していた。

恐らく、闘技場には全ての元凶であるリーリスが待ちかまえており、アイリィの予想が正しければ、この都市の地下に眠る聖遺物を狙っているとの事。


「……どうすればいい?」


このまま闘技場に転移するべきか、それとも仲間達の捜索を行うか、あるいは都市の住民達の避難活動を行うべきか、


「……考えている暇もないか」



バシィッ!!



――レノは自分の後頭部に目掛けて放たれた「クナイ」を掴み取り、振り返ると、そこには以前に出会った事がある黒装束の男が立っていた。カゲマル曰わく、バルトロス王国以外に仕える忍であり、暗殺に特化した存在らしい。先ほど紫電で打ち倒した相手とは違うのか、堂々と姿をさらしている。


男はレノが居る建物から7、8メートルほど離れた距離に立っており、顔は覆い隠しているため良く分からないが、恐らくは笑みを浮かべており、


「……見つけ」



ズゥンッ!!



「がはぁっ……!?」
「……構ってる暇は無いんだよ」



――忍が何かを九日する前に瞬脚で接近し、そのまま眼前にまで迫ると、レノは勢いよく「肉体強化」を込めた右拳を叩き込み、忍はそのまま腹部を抑えて倒れこむ。



男の目にはレノが瞬間移動でもしたかのように接近され、拳を叩き込まれた後に自分が殴られた事が認識できた。それほどまでにレノの動きは素早く、とても反応できる速度ではなかった。


「寝てろ」


バチィイイッ……!!


「ぐあっ……!?」


容赦なく、首元を掴んで電流を流し込む事で男をそのまま気絶させ、悩んでいる間にも敵が接近してくる可能性があったことを再認識し、


「……仕方ない」


まずはホノカと行動を共にしていたはずの「バル達」を探す事を決め、彼女達と合流してからその後の行動を相談する事を決める。こうしている間にも、彼女たちの身に危険が迫っている可能性もある。


「とは言っても……どこから探すか」


竜巻が発生した位置を考え、この付近にバルたちが残っている可能性はあるが、既にロスト・ナンバーズと交戦した後であるのは間違いない。もしかしたら、既に皆がここから遠くに離れているかも知れない


「センリはともかく、ヨウカとコトミが心配だな……」
「……呼んだ?」
「おわぁっ!?」


後方から声を掛けれ、レノは驚いて振り返ると、そこには少しだけ服装が乱れたコトミの姿があり、何時の間にか背後を取られていたことに少し衝撃を受けながらも、彼女の無事に安堵した。


「あ~びっくりした……無事だったのか」
「……ぶい」


指をピースの形にしながら、若干嬉しそうな表情のコトミを確認し、


「……本当に良かった」
「ふわっ……?」


そのまま彼女を引き寄せて強く抱きしめる。コトミは少し照れくさそうに頬を赤くしながらも、自らもレノの背中に手を回そうとした時、


「念のために」


むにむにっ……


「あんっ……にゃあ、んんっ……」
「この感触、確かにコトミだ……」
「……むうっ……」


自然に胸を鷲摑みにされ、感触で本物だと判断されたコトミは頬を膨らませるが、胸を揉まれる事に関しては抵抗しない。ある程度、彼女の乳房の感触を楽しむと、


「さて……一体何があった?」
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