『坂東の風』第四十三話 歳月アップしました。ネタバレになりますが、

『坂東の風』第四十三話 歳月アップしました。

☆ネタバレになりますが、以下は伏線となる部分です。もし、最後まで読んで頂ける方は、『ああ』と思って頂ける筈です。


「己の顔をこれに映してみよ」
 そう言って、郎等に手鏡を渡す。
「何で御座いますか? 己の顔などに興味は御座いませんが」
 ちょっと見ただけで、郎等は直ぐに視線を鏡から外した。
「少し寒くは無いか? 大きく息をしてみよ」
「はあ」
「少し温くなって来たであろう。さあ、もう一度吸ってみよ。もっと温かくなって来たであろう。もう一度」
 続けていると、郎等の顔が火照って来たように見える。
「もう一度鏡を見てみよ」
 郎等は鏡に目を移す。
「赤鬼がおる!」
と千方が言った途端、
「ぎゃあ!」
と叫んで、郎等は手鏡を放り出した。
「麿が手を打てば鬼は消える」
 そう言って、千方がぱちんと手を打つ。放り投げた鏡を拾い上げ、恐る恐る覗いた郎等が「ふーっ」と息を吐いた。
「お、お許しを」
「戯れ言じゃ」
 郎等は大きく息を吐いて、少し恨めしげに主を見た。
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登録日 2021.06.02 11:39

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