本作品が第5回ホラー・ミステリー小説大賞において奨励賞を受賞しました。
数多くの作品の中から、この作品を選んでいただいたアルファポリス編集部および応援（？）して下さった読者の方々に、深く感謝申し上げます。
この物語は、ある日見た”夢”をモチーフにして書き上げた不思議な作品で、何か目に見えない第三者の力を借りて生み出した”偶然の産物”と思っています。
同時に、作品の舞台として描かれている様々な場所は、いずれも私自身のこれまでの人生にゆかりのあるものばかりで、いわば私自身の”分身”とも言える存在です。
それが今回のような発表の場を与えていただき、なおかつ過分な評価をいただけたことに、ただただ驚きと感謝の念を抱くと共に、私にこの作品を生み出させた何者かから「お前、もう少し頑張ってみろ」と背中を押されているような気がして、何やら正直薄気味の悪い感覚をおぼえている次第です。
私は特に書くことを生業にするつもりもなく、数年後の定年退職を機に台湾へ移住したいと考えているフツーの（？）サラリーマンですが、残された短い日本での生活の中で、本作品の続きとなる物語をもし書くことができればと、漠然とながら考えています。
実は、次回作のヒントは既に本作品の中で与えられています。
物語の後半で、”ウルフ”こと藤井青年が構想していた、高度なAIが人間の行動を管理する社会…
国民ひとりひとりに完璧にデザインされたAIが、ライフスタイルから人生の重要な局面に至るまでの全てをナビゲートし、何も考えずに誰もが幸せな人生を送れるようになる”素晴らしい”世界を舞台に、再びあの少年を目覚めさせることができたら…
そんな時が来て、また皆さんにお会いすることができるのを楽しみに、これからも日々精進に励みたいと思います。

陽秀美