【愛しい番の囲い方。】完結御礼SS2ー②
「こっちだ、ティア」
肩を抱かれ、アスティアが開けてくれた扉をくぐると、そこには美しい花が咲き乱れる広い草原が現れた。
「え?」
草原の遥か先に地面が途切れる所があって、そこから先は青空と白い雲が見えている。
「ここ?」
アスティアを見上げるとを、彼は珍しく表情を消して僕をとある場所へと誘った。
「この場所は空竜城の南側に位置している。大きく迫り出しているから、ここに来れば朝日から夕日まで太陽を感じる事ができるんだ」
少し離れた小高い丘へと辿り着くと、アスティアは持っていた花束をそっと地面へと置いた。つられて視線を向けると………。
そこには真っ白な石で作られたプレートが、2つ並んでいた。
『タスト・フェリクス』『カナ・フェリクス』と名前だけが刻まれている。
「空の一族はね………。婚姻を結ぶと、これから使う性を自分たちで考えて、それを名乗るんだ」
「_______」
「ティア・フェリクス。これが貴方の名前」
何も、言えない。___言葉に、ならない。
「『フェリクス』の意味は『幸福』だよ」
アスティアの少し硬い指先が僕の頬に触れる。知らずに溢れて流れ落ちる涙を、そっと拭ってくれた。
「貴方の事は私が必ず幸せにすると、貴方の両親の前で誓いたくて」
労るように抱き寄せると、目尻に唇を寄せて慰めるようなキスが落とされる。
「もっと早くに連れて来たかったけど……。遅くなってごめんね」
「___っ、」
「___幸せに、なろう」
いつもよりも更に甘く囁く声は、僕の心に優しく響く。アスティアの胸に強く顔を押し付けて、僕は頷く。
「うん。二人で、幸せに_____」
草原に吹く風が優しく草花を揺らし、静かな祝福を僕たちへと贈ってくれた。