博元 裕央

博元 裕央

ライトノベル・マンガ・アニメ・特撮・SF・ファンタジー好き。長編「逆襲物語ネイキッド・ブレイド」&他様々な長編・短編を掲載。是非お読みください!カクヨム、ノベルアッププラスでも作品を掲載中です。

【逆襲物語ネイキッド・ブレイド】追記(ネタバレ注意)・後編

文字数制限的に前編からの続きです。引き続きネタバレ注意。
劇中での『全能』の一部の言葉は既存の宗教や哲学への歪んだ批判を帯びていますが、それは彼女が異世界転生を司る地球の化身故で、即ち既存の宗教が科学に否定・解剖され本気で真剣に信じる事が出来なくなった結果人間は死の恐怖も克服できなくなったという現代文明の形、物語が大量生産大量消費されより強い快楽と没入が際限なく求められ続けた結果としての異世界転生チートの流行、その二つの象徴だからで。
それは紛れもなく傲慢だけど人を救いたいという祈りであったと思うのです。異世界転生チートだって、いつの間にか巨大化しすぎて他のファンタジーを押し潰す存在になってしまっただけで、本来は読者を楽しませ救おうとする存在だった筈なように。
故に戦うべき真の敵は、異世界転生チートを全てを押し流す濁流のような怪物にしてしまった救いのない現実そのもの。
だからリアラとルルヤは戦う過程で、孤立している人の心は一つ一つが世界で、人と人が物語を通じて繋がり合える事は別の世界に赴くのと同じ程の奇跡なのだから、繋がることは救いである、それはある種の永続なのだから、それこそが救いの本質であり救いはまだ存在する、少なくとも他を踏み躙る濁流と化した異世界転生チートのみが救いではないと訴えて勝利します。
物語の救いが無い事はある意味究極に救いのない状態で、究極の救いとは生きる苦痛と死の恐怖に克服を与える事だ、それは異世界転生チートの独占対象ではないのだと。戦うべきはあくまで現実で、異世界転生チートはその暴虐的な奔流としての側面を正すが、そもそもブーム以前の異世界転移や転生に見るべき作品、歴史的に大事な作品は色々あったのだから、だから暴走し巨大化し怪物化した異世界転生チートを、「暴走し巨大化し怪物化した」という現実から切り離す事で打倒し救う。
この物語は何だったのか、それは【物語】の【逆襲】であり、敵は『現実』であると。
ここら辺は作者である私やリアラの人生観やこれまでの人生で抱えた様々な苦悩を複合し、それにこの物語で答えを出そうとした結果で、少々複雑な形になってしまいましたが……
それでも私は、この物語をこのように書く必要があったと思うし、こう戦ったリアラの物語を肯定したいし、そして、私やリアラと同じ苦しみを抱く人間をこの物語が救うと、信じたいのです。
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登録日 2020.02.23 15:12

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