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歴史・時代 連載中 長編 R15
幕府に弓引いた少年たちは、縄をかけられた。 京へ向かう道は、あまりに長い。 将軍家の血を引く少年・足利春王丸とその弟・安王丸。 結城合戦の総大将の少年たちは、敗北の果てに捕らえられた。 戦に敗れた武士の子が、護送の道中で味わうのは、名誉の死ではなく、静かな屈辱だった。   武士の誇りを胸に抱く兄・春王丸。 生き抜くためには誇りすら手放す弟・安王丸。 過酷な旅路は、少年たちの尊厳と、兄弟の絆を徐々に引き裂いていく――   舞台は室町中期。 将軍・足利義教に反旗を翻した鎌倉公方・足利持氏は永享の乱で滅び、その遺児たちが結城の地に落ち延びた。 それから二年後、彼らは結城一族の力を借りて、旗を挙げる。 のちに「結城合戦」と呼ばれるこの関東の大乱は、少年たちの誇りとの戦いでもあった。 本作は、結城城落城の夜から始まる。 “敗者の旅路”の果てにあるのは生か死か―― 静かに進んでいく護送の中で繰り広げられる心理劇。 敗軍の将として晒され、揺れ動く少年たちの心と、彼らを取り巻く人々の、生き様をリアルに描いた歴史小説である。 貧しい時代に甘えはなく、高潔な人間もいない。 少年たちの絶望の果てに見えるのは、希望かさらなる絶望か。 運命に縛られた少年たちの姿を描く、痛みと誇りの歴史心理劇。 [設定補足] ・春王丸(14歳)、安王丸(12歳)は史実より年齢を引き上げています。 ・室町時代の文化や社会風俗(主従関係や身分差、捕虜の扱い、落城の様子、衆道、乱取りなどの文化・風習)を重視しています。 ・現代とは価値観の異なる描写が含まれる場合がありますが、いずれも時代背景に基づく表現です。 ・史実をベースにしたフィクションであり、一部オリジナルの設定を加えています。 ・参考文献:『結城合戦絵詞』『永享記』ほか。
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文字数 95,499 最終更新日 2025.06.23 登録日 2025.05.17
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