2時間2万円でも大人気、“本物の体験”に投資…外国人旅行客の新しい消費行動

インバウンドが抱える「受け皿不足」

 政府が掲げる6000万人目標に対し、課題も多い。ホテルの部屋不足、大人数家族向け施設の乏しさ、そして人材不足だ。

「特にガイドの不足は深刻です。英語が話せるだけでなく、ホスピタリティを持ち、お客様一人ひとりに合わせた“おもてなし”ができる人材は非常に少ない。予約を受けてもガイドを確保できず、やむなくキャンセルするケースすらあります」(林氏)

 観光産業は宿泊施設や輸送インフラの整備だけでなく、人材育成や受け皿づくりにも投資が必要だ。逆にいえば、ここに大きなビジネスチャンスが潜んでいる。

 UNIQUE TRAVEL JAPANが次に注力するのは「家族向け」だ。

「東京の観光コンテンツは夜のアクティビティを中心に増えているが、子どもが主体で楽しめる体験が少ないんです。家族全員で楽しめる体験や、子どもだけでも楽しめる体験を充実させたいと考えています」

 また教育機関との連携も進めている。英国の専門学校が日本文化体験をカリキュラムに組み込むなど、修学旅行や海外研修の一環として「体験プログラム」を導入する事例が増えている。観光と教育の融合は、今後の成長分野といえそうだ。

体験価値をどう作るか

 インバウンド市場の拡大は、日本企業にとって単なる「観光需要」以上の意味を持つ。林氏の言葉から浮かび上がるのは、次の3つの示唆だ。

「見る」から「参加する」へ
 観光地をめぐるだけでなく、自ら創作したり交流したりする“参加型体験”が求められている。

「本物の人」との出会いが価値になる
 プロフェッショナルとの交流は、観光商品に付加価値を与える。日本企業が持つ専門性や職人技は強力な武器だ。

不足こそビジネスチャンス
 ガイドや家族向け体験の不足は課題であると同時に、新規参入やサービス開発の余地を示す。

 円安と回復する世界経済を背景に、日本を訪れる外国人旅行客は今後も増加が見込まれる。ただし、求められるのは“物見遊山”ではなく、日本文化に深く触れる体験だ。UNIQUE TRAVEL JAPANのように「創る」「交流する」体験を提供する企業が、次世代の観光をリードしていくだろう。

「インバウンドの需要はまだ伸び続けます。課題も多いですが、逆に言えば日本には無数のビジネスチャンスがあるんです」(林氏)

 観光はもはや一大輸出産業であり、体験価値の提供は世界に誇れる“Made in Japan”そのものになりつつある。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)