相次ぐ銀行系Payの終了で加速する決済再編…キャッシュレス50%時代、4強の戦略

 楽天経済圏では、「支払い」「ポイント」「投資」「借入」が一体化しており、ユーザーは自然と複数サービスを横断利用する構造になっている。

通信キャリア勢:ID基盤と請求統合の優位

 d払いとau PAYは、それぞれドコモ、KDDIという通信基盤を背景に、ID・課金・通信料金との統合を強みとする。特に通信料金との合算請求は、ユーザーの心理的ハードルを下げる効果が大きい。

「キャリア系は“決済単体で勝つ”というより、“既存顧客を囲い込む”モデル。通信契約という強固な基盤があるため、一定のシェアを維持しやすい」(同)

第5のプレイヤー…メルペイが切り開いた「信用の再定義」

 こうした4強とは異なるアプローチで存在感を高めているのがメルペイである。

 同社の中核は、クレジットカード「メルカード」であり、発行枚数は2026年時点で数百万規模に達しているとされる。特に若年層への浸透が顕著で、従来の金融サービスでは取り込めなかった層を獲得している。最大の特徴は、与信の考え方にある。

 従来の金融機関が年収や職業といった「属性情報」を重視するのに対し、メルペイはフリマアプリ「メルカリ」内での取引履歴や行動データを信用評価に活用する。

「メルペイは“信用”を再定義している。取引の誠実さや継続性といった行動データを評価することで、従来は与信が難しかった層にも金融サービスを提供できる」(同)

 さらに、「売る→買う→支払う→また売る」という循環型の経済圏を構築している点も特徴的だ。このループは外部サービスに依存せず、アプリ内で完結するため、極めて強固なロックイン効果を持つ。

地銀の生存戦略…「公共インフラ」への転換

 一方で、銀行勢が完全に敗北したわけではない。みずほ銀行系の「J-Coin Pay」は、汎用決済の主戦場から距離を置き、「公共・インフラ領域」へと戦略転換を進めている。

 具体的には、自治体の給付金支給やデジタル地域通貨の基盤提供、さらにはデジタル給与払いへの対応など、BtoG・BtoB領域に軸足を移している。

「銀行は“表のアプリ競争”では不利だが、“裏のインフラ”では依然として強い。決済の主役ではなく、基盤提供者としての役割に回ることで、生存余地は十分にある」(同)

スマホ決済は消える?

 今後、「〇〇Pay」という独立したサービスは徐々に存在感を失っていく可能性が高い。決済機能は、メッセージアプリ、EC、金融サービスの中に“溶け込む”形で統合されていくからだ。

 重要なのは、「どの決済を使うか」ではなく、「どの経済圏に属するか」という選択へと変わる点である。

 最後に残るのは、単にポイント還元で顧客を集めたサービスではない。ユーザーの生活動線に深く入り込み、その人の信用や資産形成にまで関与する“パートナー”である。

 キャッシュレス決済の再編は、単なるアプリの淘汰ではない。それは、日本人の「お金との向き合い方」そのものが再設計されるプロセスにほかならない。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=川﨑一幸/金融アナリスト)