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罪作りな人
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「お前こそ誰だ! 俺がアランデル伯爵家のものと知っての行いか!」
「私は王国騎士団長を務めているクレイグ = エヴェレストだ。お前でもエヴェレスト侯爵家の名前くらいは聞いたことがあるだろう」
侯爵家と聞きぎょっとした後、やっと大人しくなりました。
「私はお前のことを知っているぞ。ここにいるセシルの、政略とはいえ婚約者でありながら、こともあろうに支援される側であるお前が不貞を働き、その上セシルを陥れようとしたエドモンドだな。確かアランデル伯爵により廃嫡となり家から追い出されたはずだが? 不法侵入であれば捕らえなければならないな」
「うるさい! うるさい! セシルは俺を愛しているから、一緒になることを望んでいるんだ。俺と結婚したら、この家は俺の物なんだから俺がいたって構わないだろう!」
バチーン!!
私は右手でエドモンドの左頬に平手打ちを食らわせました。手のひらがじんじんと熱を持ちます。
聞いていれば、さっきから私があなたのことを愛してるですって? 勘違いも甚だしい。それより何より、結局はお金に困っているからたかりに来たのでしょう? 私のことなど何も興味がないのでしょう? 馬鹿にしないで!
馬鹿にされた悔しさから出そうになる涙をこらえ、エドモンドを睨みつけます。
「セシル……くそっ」
まさか、私が反撃するとは思っていなかったのでしょう。不利な状況だと悟ったエドモンドはクレイグ様の手から逃げるように立ち去って行きました。
「大丈夫か? 掴まれたところが、赤くなっている……怖かっただろう。俺がもう少し早く来ていれば……」
震えてしまった私を、クレイグ様は優しく抱きしめてくださいました。大きな体に包まれて、今までの怒りや恐怖が消えていくのがわかります。もうきっとこんな幸せなことは二度とないでしょう。だから今だけ、もう少しこのままで。
「すまない、まだこうしていたいのは山々なのだが、今回私がここへ来た理由について話さなければならない」
私はそっとクレイグ様から離れます。
「率直に言おう。戦術書紛失事件について、全容が解明されたので同行いただきたい」
とうとうこの日が来てしまいましたのね。無実だと訴えたところで、私の机の中から戦術書が出てきたということは間違いないわ。誰かが入れたとしても、それを証明できるものは何もないもの。あぁ、せめて刑の内容がお父様お母さまに影響しませんように。
クレイグ様に手を引かれ、静かに迎えの馬車に乗りました。王城へ向かう馬車の中はクレイグ様と二人きりです。
「一つ確認がある。今回の紛失事件はセシルが起こしたものか?」
違います、私ではありません。首を横に振り否定します。
「それならば、大丈夫だ。堂々としていればいい。俺はセシルを信じる。だからセシルも俺を信じてくれ」
無実であると証明していただけるのですか? まっすぐに私を見つめるクレイグ様の目は決して嘘を言っていないように思えます。
本当に信じてもよいのでしょうか。私もクレイグ様の目をまっすぐに見つめながら小さく頷きました。
「そうだ、お守り代わりにこれを受け取ってほしい」
そう言って差し出されたのは綺麗なペンダントネックレスです。ペンダント部分にはコインほどの大きさの宝石が埋め込まれており、その色はまるでクレイグ様の目のように青く輝いています。
「また何か起きたとしても、絶対に守るから」
「……」
クレイグ様、ずっとずっとお慕いしておりました!
思わず本人に伝えてしまいそうになるのをぐっとこらえ俯きます。喋れなくてよかったと思えたのは初めてです。だってクレイグ様には心に決めた方がいらっしゃるのですもの。私からそのような気持ちを向けられても困らせるだけ。
それにしても、毎回助けた令嬢にこのような扱いをしていては勘違いする者が続出でしょう。恋泥棒。本当に罪作りな人ですわ。
「私は王国騎士団長を務めているクレイグ = エヴェレストだ。お前でもエヴェレスト侯爵家の名前くらいは聞いたことがあるだろう」
侯爵家と聞きぎょっとした後、やっと大人しくなりました。
「私はお前のことを知っているぞ。ここにいるセシルの、政略とはいえ婚約者でありながら、こともあろうに支援される側であるお前が不貞を働き、その上セシルを陥れようとしたエドモンドだな。確かアランデル伯爵により廃嫡となり家から追い出されたはずだが? 不法侵入であれば捕らえなければならないな」
「うるさい! うるさい! セシルは俺を愛しているから、一緒になることを望んでいるんだ。俺と結婚したら、この家は俺の物なんだから俺がいたって構わないだろう!」
バチーン!!
私は右手でエドモンドの左頬に平手打ちを食らわせました。手のひらがじんじんと熱を持ちます。
聞いていれば、さっきから私があなたのことを愛してるですって? 勘違いも甚だしい。それより何より、結局はお金に困っているからたかりに来たのでしょう? 私のことなど何も興味がないのでしょう? 馬鹿にしないで!
馬鹿にされた悔しさから出そうになる涙をこらえ、エドモンドを睨みつけます。
「セシル……くそっ」
まさか、私が反撃するとは思っていなかったのでしょう。不利な状況だと悟ったエドモンドはクレイグ様の手から逃げるように立ち去って行きました。
「大丈夫か? 掴まれたところが、赤くなっている……怖かっただろう。俺がもう少し早く来ていれば……」
震えてしまった私を、クレイグ様は優しく抱きしめてくださいました。大きな体に包まれて、今までの怒りや恐怖が消えていくのがわかります。もうきっとこんな幸せなことは二度とないでしょう。だから今だけ、もう少しこのままで。
「すまない、まだこうしていたいのは山々なのだが、今回私がここへ来た理由について話さなければならない」
私はそっとクレイグ様から離れます。
「率直に言おう。戦術書紛失事件について、全容が解明されたので同行いただきたい」
とうとうこの日が来てしまいましたのね。無実だと訴えたところで、私の机の中から戦術書が出てきたということは間違いないわ。誰かが入れたとしても、それを証明できるものは何もないもの。あぁ、せめて刑の内容がお父様お母さまに影響しませんように。
クレイグ様に手を引かれ、静かに迎えの馬車に乗りました。王城へ向かう馬車の中はクレイグ様と二人きりです。
「一つ確認がある。今回の紛失事件はセシルが起こしたものか?」
違います、私ではありません。首を横に振り否定します。
「それならば、大丈夫だ。堂々としていればいい。俺はセシルを信じる。だからセシルも俺を信じてくれ」
無実であると証明していただけるのですか? まっすぐに私を見つめるクレイグ様の目は決して嘘を言っていないように思えます。
本当に信じてもよいのでしょうか。私もクレイグ様の目をまっすぐに見つめながら小さく頷きました。
「そうだ、お守り代わりにこれを受け取ってほしい」
そう言って差し出されたのは綺麗なペンダントネックレスです。ペンダント部分にはコインほどの大きさの宝石が埋め込まれており、その色はまるでクレイグ様の目のように青く輝いています。
「また何か起きたとしても、絶対に守るから」
「……」
クレイグ様、ずっとずっとお慕いしておりました!
思わず本人に伝えてしまいそうになるのをぐっとこらえ俯きます。喋れなくてよかったと思えたのは初めてです。だってクレイグ様には心に決めた方がいらっしゃるのですもの。私からそのような気持ちを向けられても困らせるだけ。
それにしても、毎回助けた令嬢にこのような扱いをしていては勘違いする者が続出でしょう。恋泥棒。本当に罪作りな人ですわ。
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