126 / 281
第一章 外れスキル

126.家庭に一人は必要です

しおりを挟む
 翌日俺達は王都の門前で集まっていた。

 門前に今回トラッセン街行きの馬車乗り場があるからだ。

「おはようございます」

 着いた頃には破滅のトラッセン達は既に待っていた。依頼を受けるのに事前に打ち合わせをしていたのだろう。

「ケントくん、今回もあれをお願いね」

 気づいてすぐ声を掛けてくれたのはリチアだった。リチアのお願いとはきっとお風呂であろう。
 
「ちゃんと持ってきました」

「楽しみながら故郷に帰れるわ」

 御者に挨拶をして乗り込むとそこには一組の家族が乗っていた。

「ではトラッセン街へ向かいます」

 御者に声をかけられると馬車は動き出し、王都の門から出発した。





 王都からトラッセン街まで二日程度のため俺は馬車の中でゆっくりとしている。

 医療ポイントがちょうど貯まり念のために異次元医療鞄の容量を増やした。

 これで異次元医療鞄の中身は五枠となった。
 

――――――――――――――――――――

スキルツリー『Lv.2 異次元医療鞄』
 空間に異次元の医療鞄を出すことができる。

[ポイント消費]
※医療ポイント100消費で必要医療器具および機器が解放可能。10消費で容量を増やすことができる。

1.打診器(テイラー式)
2.角度計
3.大樽
4.中樽

――――――――――――――――――――


「君達は何しにトラッセン街に行くんだい?」

 前に座っている男性が俺に声をかけてきた。

「冒険者ギルドの依頼でトラッセン街に行くことになりました」

「はは、そうか。私達も小さい頃からトラッセン街に住んでるけど良いとこだぞ」

 一緒に馬車に乗っている四人は家族でトラッセン街から王都に行き、現在は帰っているところだった。

「トラッセン街ってどんなとこなんですか?」

「トラッセン街は養蜂業と養蚕業が盛んな街だよ」

「両方とも虫ですか……」

 虫だと聞いて特に嫌いではないものの若干行く魅力が減った。奥に海があるのなら海産物などが特産品だと思ったのに……。

「虫って言っても昆虫型の魔物と共存しているんだ」

「魔物と共存?」

「そうだよ。彼等は魔力を餌に魔力を含んだ物を作ってくれるんだ」

 養蜂業では、魔力を含んだ蜜を作り養蚕業では魔力を含んだ糸を作る。どちらも名前に魔力が付き、"魔力蜜"と"魔力糸"と言われていた。

 どちらもこちらから襲わない限り攻撃することはないようだ。

「魔力蜜は回復ポーションに入れれば、回復効果は高まるし、魔力糸で作った装備は魔法に強くなるんだ」

 男性の話からはすごく実用性が高いものだと理解した。

「うちはどっちもしているから良かったら遊びに来てね」

「時間があれば行ってみようと思います」

 話をしていると自然に時間も経ち、馬車は野営をする場所に止まった。

「今日はここまでだ。テントと干し肉を渡すから各々受け取ってくれ」

 御者から人数分のテントと布団、干し肉を渡された。

 すると護衛をしていたリチアは近づいてきた。

「ケントくーん! 今回もお願いします」

 リチアが急に来て頭を下げたためトラッセン街から一緒に乗っている男性も驚いていた。

「この少年がどうかしたんか?」

「ケントくんは一家に一人欲しい便利屋ですよ」

「便利屋って……」

 リチアの説明に呆気に取られていたが、事前にある程度は準備していた。

「私達がお肉を取ってくるから、マルクスさんはこの辺の護衛をお願いします」

「わかった」

「おじさん達もケントくんのご飯食べるなら取ってくるけど?」

「じゃあ、私達もお願いしようかな」

 いつのまにか話が進み、俺は全員分の食事を準備する羽目になってしまった。
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23  女性向けホットランキング1位 2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位  ありがとうございます。 「うわ~ 私を捨てないでー!」 声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・ でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので 「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」 くらいにしか聞こえていないのね? と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~ 誰か拾って~ 私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。 将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。 塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。 私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・  ↑ここ冒頭 けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・ そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。 「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。 だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。 この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。 果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか? さあ! 物語が始まります。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

処理中です...