125 / 281
第一章 外れスキル

125.依頼までの準備

しおりを挟む
 翌日トラッセン街に向けて俺達は準備をしていた。

 今回はトラッセン街行きの馬車の護衛依頼を破滅のトラッセンが同時に受けることになっている。

 トラッセン街までは比較的近く、野営を二日間すると着く距離だ。予定では明日出発となっている。

「準備はこれぐらいで大丈夫か?」

「色々とありがとうございます」

「どうせケントの飯も食べたいし、風呂も入りたいってあいつらが言うだろうしな」

 破滅のトラッセンと向かうことを考え、自身の野営準備と樽、そして細かな調理道具と調味料を用意していた。

 ちょうど異次元医療鞄に空き枠が二つあったため、大きな樽を二つ収納した。

「ラルフは依頼片付いた?」

「俺の方は大丈夫だよ!」

「じゃあ、孤児院とフェーズさんのとこに寄ってくるね」

「おう」

 憩いの宿屋を後にしてラルフとともに孤児院とフェーズの家に向かった。





 フェーズに説明した後、孤児院に向かうと遠くから声が聞こえてきた。

「お兄ちゃーん! アターック!」

「うげぇ!?」

 飛びついてきたのはミィだ。その後ろからリハビリ少年三人組が追いかけていた。

「あれ、何で兄ちゃん達来てるの? ウルとラルなら依頼に行ってるよ?」

 ウルとラルも正式に冒険者ギルドに加入し、今はFランク冒険者としてコルトンの依頼をこなしている。

「明日から依頼でトラッセン街に向かうことになってるんだ。それで勉強会が出来ないからみんなに課題を持ってきた」

「えー!」

 少年達は課題と言われて少し落ち込んでいた。勉強会はどうにか工夫することで集中できているが、課題になると集中力が切れてしまう。

「みんなの面倒はミィが見てる!」

「さすがミィだな」

 その分年下のミィは常に勉強してる真面目な子だった。ミィの頭を撫でると嬉しそうだ。

「あっ、戻ってきたらお前達テストするからな」

「まじかよ、遊べないじゃないか」

「勉強も遊びと同じだよ? お兄ちゃん達褒めてくれるし」

 ミィは真面目というより感覚が変わっているのであろう。

「じゃあ、ミィにラルとウルへの依頼をお願いします」

「アイアイサァー!!」

 ミィはラルとウルに伝言として事前に書いた紙を説明し渡した。

――――――――――――――――――――

ウルとラルへ

 数日間にわたり別の街での依頼を受けることになった。

 勉強会が出来ないため課題を与えるので面倒を見てほしい。

 フェーズさんへの依頼は直接説明して止めてあるが歩く練習はできるなら受けて欲しい。

1.ウルはフェーズの元へたまに歩行の手伝いをする。その際にはマークとエルクを連れて行くこと。

2.ラルは一人でコルトンの面倒をみることになるので、勉強として【介護福祉士】もしくは【看護】のスキル持ちを同席させること。

 課題は各々の分けて用意しているためそれを使ってください。

――――――――――――――――――――

「お兄ちゃんこれ何? なんか気持ち悪いけど……」

 ミィに渡した課題は解剖書などに載っているような絵で書かれている人体解剖だ。

 以前ガレインのスキルを発動した状態でラルフの画像投影を使うとレントゲン画像やMRI画像ではなく、見た角度から三次元での立体構造で画像が印刷されて出てきた。

 臓器が様々な角度から見れたため、一枚ずつ様々な角度で画像にしてそこに手書きで名称を書いたものだ。

「これをみんなに覚えて貰いたいんだ。こっちはウルに渡して、こっちはラル達に渡して欲しい」

 ウルの方には骨や筋肉中心に書かれたものを渡し、ラルには内臓関係が書かれたものを渡した。

 ウルにはマークとエルクの面倒を見て貰い、ラルには看護および介護福祉士、言語療法のリュクを面倒を見て貰うことにした。

 ラルの方は比較的、落ち着いた子が多く大変なのはマークとエルクの面倒を見るウルの方だろう。

 ちなみに事前にコルトンにも資料を渡し、ウルとラルに教えるように頼んでおいた。

 この歳になって知らないことを覚え、教える機会があるのは現役に戻ったようで嬉しいと言っていた。

 これで少しは社会参加の貢献になれば良いのだが……。

「じゃあ、ミィよろしくね」

「アイアイサァー!!」

 ミィは手を胸に当て敬礼をしていた。なぜか最近ハマっているのかこの世界の敬礼ポーズをするようになった。

「マークはちゃんと勉強するんだぞ!」

「……」

 マークは黙って下を見ていた。

「あっ、フェーズさんに冒険者時代の話とか良ければ剣の面倒を見て貰うように頼んでおいたからね」

「えっ、ほんとか!」

 さっきまでのマークとは違い、目を輝かせていた。きっと男の子は冒険者に対する憧れもあるのだろう。

「ちゃんと勉強したらの話ね?」

「ちぇ、わかったよ」

 半ば逃げれない環境を作り、数日いない間のことは他の人達に任せる準備は整った。

「またね」

「お兄ちゃん達ちゃんと帰ってきてね!」

 どこかミィは寂しそうな顔をしていた。
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...