社畜、やり手CEOから溺愛されちゃいました

大ヒット作品を創作せよ

月1の運営会議。

「月間訪問ユーザー数 128万ユーザー。新作投稿作品数128作。継続投稿作品数583作……」

ノベルスターの利用者についてのデータを読み上げる。

「訪問ユーザー、また減ってる。投稿作品数も減ってる……」

人気クリエイターさんのノベルスターで作品投稿をしなくなったから、ユーザーがサイトを覗かなくなった。

「こうなったら、私たちが小説を投稿して、人寄せするしかない！！」

運営チームのメンバーは大手出版社の就職率が高い最高峰の私立大学早麦畑大学出身の文学才女が多い。
投稿作品数を増やすためにノベルスターでクリエイターとして活動を始めた。

女子力高いメンバーだから、大人の恋愛小説を競って投稿してる。

「杉瀬さん、ランキングシステムおかしくない？全然、読まれないんだけど！！」

「投稿作品が人目につきやすくするよう、数式組んでます」

動作が重くなるからランキングシステムを表示したくないけど、ごちゃごちゃするぐらいに表示してる。
ランキングに入らない作品に対しても、閲覧中の作品の下にランダム表示されるようにした。
タグや読者の閲覧履歴でランダム表示されるから、作品投稿したら人目に必ずつく。

「恋愛は投稿作品数が多いですからね。でも、ランキングやランダム表示に出なくても他のジャンルよりも読まれてますから……」

読者がつかない事を私のせいにするのは辞めて欲しい。

月間訪問ユーザー数と投稿作品数が減ると、広告収入が減ってしまう。

「ノベルスター、大人描写の現代恋愛小説もしくはBL投稿サイトとして認識されてるからな。そっち系は大ヒットしても営業利益に結びつきにくい」

黙って話を聞いていたサイバープロジェクトからきた久保遼代表取締役が話し出す。

「コミカライズで広告宣伝費かけて、ホラーもしくは現代ファンタジー、青春恋愛でヒット作を出す！！ここ10年でヒットしたアニメを研究して、コミカライズする作品を探してきて！！」

親会社からの出向取締役社長の鶴の一声に従わないといけず、大人恋愛ジャンルひいきの運営チームは表情が曇る。

「杉瀬さん、そっち系の友達多いでしょ！！」

ジーパンにパーカーに黒縁眼鏡な女子力低めな身なりで出勤してるけど、好きなジャンルはヒューマンドラマ的な恋愛小説。
少年コミック系の人気マンガやアニメは全て見てるけど、一応女子だから恋愛ストーリーの方が好き。

「……はぁ、はい？」

「大ヒットしそうな作品、ノベルスターだけでなく他サイトからでもいいから探してきて！！無いなら即席で小説執筆して！！」

大人の恋愛小説しか興味がない運営メンバーに、無茶振りな仕事を押し付けられる。
ノベルスターの運営チームに男性も3人いる。
彼らに任せたらいいのに、私に指示を出す。

「あのう、私、システム開発チームですけど？」

「それ系の話で大ヒットしそうなホラー作品を探してきて！！私たちも……探すわ」

運営チームがコミカライズに選ぶのは大人現在恋愛小説ばかりで、親会社からの出向取締役社長を苛つかせる。

「ノベルスターは大人の現代恋愛小説投稿コミュニティサイトと認識されてるから、他ジャンルで大ヒット狙うのは難しいよな」

運営チームも男性メンバーもその手のコンテストを開催して作品投稿を呼びかけるもピンとくる作品を掘り出す事ができず、嘆いていた。