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第5話
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レナータはテーブルの上に肘をつきながら、息つく間もなく語り出す。
「あたしはね、アルと昔からの付き合いなの。小さい時はいつも一緒にいたし、一緒のベッドで寝たこともあるんだよ? あいつは昔から気が小さくて争い事は望まないような男だったけど、剣術の筋は良くてね。良くあたしの剣術の訓練に付き合わせていたの」
アルバートが今の地位にいるのが、まるで自分の手柄だと言いたげに、レナータは得意げに話す。そして、どこか含み笑いをした。
「まあ、十三歳ぐらいのとき突然『見聞を広げ学者になりたい』とか言って、隣国に十年も行ってたけど、戻ってきたかと思ったら騎士になってあたしの隊に入ってくるんだもん。びっくりしたわよ。あのひょろひょろだったアルが、いっぱしの男になって現れるんだもんね」
「確かに……昔のアルバート様は細かったですね……」
ナディアも自身の記憶を探りながら、レナータの言葉に同意した。
それを聞き、上機嫌に語っていたレナータの表情が一変した。眉間に皺を寄せ、はぁっ? と大袈裟な声をあげる。
「確かにってあんた……小さいときのアルを知らないでしょ? 何、知ったかしてんの?」
「いえ、十年前、アルバート様が隣国にやってこられたときにお会いしたことがありますので。確かにあの時のアルバート様は今よりも細身で、小さな御方だったと記憶しております。食が細かったせいでしょう」
さらに目を丸くするレナータ。
チッと小さく舌打ちをしたが、すぐさま両腕を組むと鼻で笑った。
「そ、そうだね! あいつ、小さいときから食が細くて、あたしの手作り料理をよく食べさせていたものだよ。本当は事前に毒見が必要なんだけど、あいつはあたしの料理を毒見させることなく食べてくれていた。つまりあたしたちは、信頼しあってる関係ってことなんだよ」
誰も聞いていないのに、レナータは早口でまくし立てた。
言いたいことは分かる。確かに貴族ともなると命を狙われる機会も増える。自分が口にするも毒見無しで食べるということは、信頼関係がなければできないのだ。
レナータの発言が本当であれば、アルバートと彼女の間に信頼関係があるのだろう。
ナディアの思いを感じ取ったのか、レナータは満足げに息を吐きだすと、話題を変えた。
「そういや、あんたとアルは確か王命での結婚だったらしいね」
「……左様でございます」
レナータの質問に、ナディアは僅かな空白の後、頷きながら答えた。
アルバートとナディアは、訳あって、ワイドルク王国国王からの命令で結婚をした。
夫は、ナディアに愛情をもって大切に接してくれているし、何一つ不満はない。だがレナータには、そう思われていないようだ。
「あたしの隊に入って来て二年後に、突然あんたと結婚を王様から命じられるんだもん。びっくりしたよ。可哀想だよねえ、アルも。王様も、結婚相手ぐらい自分で決めさせてやりゃいいのにさ。学者になるって言ってた甘ちゃんが、やっと心を決めて騎士になり、あたしの隊に入って来たっていうのに」
「……は、はぁ」
夫のどの辺が可哀想なのか意味が分からず、ナディアは気が抜けた返事をすることしか出来なかった。だがその声色が寂しげに聞こえたのか、レナータの瞳が、可哀想なものを見るように細められる。
「ああ、もちろん、あんたにも同情してるよ。あんたにだって心を寄せていた相手ぐらいいたんじゃないのかい?」
「まあ……父が決めた相手はおりましたが、でも――」
「ああっ、やっぱりあんたたち夫婦には同情するよ! 神様も酷いことをするもんだよ! お互い、本来結ばれるべき相手と引き裂かれているんだから」
「あ、あのっ……?」
やはり、レナータが何を思ってナディアたち夫婦を可哀想だと言っているのか、意味が分からない。
確かにナディアには父親が決めた結婚相手がいたが、それは正式な手続きを踏んで、きちんと解消されているし、相手も納得している。
アルバートと結婚したことに、何一つ落ち度は無いのだが。
レナータの演説はしばらく続いていた。アルバートがどれだけ自分と親密な関係だったかを語り、彼とナディアが可哀想だと嘆いた。
ナディアは、疑問が顔に出ないように、ひたすら微笑みの仮面をかぶり続けた。
ふと窓を見ると、陽が傾きかけていた。意外と長い間、滞在していたようだ。
そろそろ帰らなければならない。何故なら今日はアルバートが遠征から帰ってくる日からだ。
立派に務めを果たした夫を、笑顔で出迎えたかった。
「レナータ様、私はそろそろ……」
「えー? まだいいじゃないか」
「申し訳ございません。アルバート様がそろそろお戻りになると思いますから……」
「妻は夫よりも早く帰って、出迎えなきゃなんないってわけ? そうやって旦那に媚びを売ってるのかい? はぁー、やっぱり女ってめんどくさ。アルは、王命で結婚した妻が出迎えても出迎えなくても、気になんてしないよ」
やれやれと、レナータは呆れたように首を横に振った。
何か誤解をされているようだ。
そう感じたナディアは、ゆっくりと口を開いた。
「そういうわけではございません。アルバート様はいつも優しく、私が出かける時は、ご自身のことなど気にせず楽しんでくるようにと仰ってくださいます。戻ってこられるアルバート様をお出迎えしたいのは、私の我が儘なのです」
アルバートが心の狭い人間だとは思われたくない。
その一心で、ナディアは自分の我が儘なのだとレナータに訴えた。レナータが口を挟む暇も無いほど早口になっていたことには、本人は気づいていない。
口を薄く開きながら、目を激しく瞬かせているレナータに向かって、ナディアは深々と礼をした。
「ありがとうございます、レナータ様。私のことを案じ、私が出迎えなくても気にしないと、アルバート様が心の広い方だと仰ってくださった優しさ、伝わりました」
「あ、うん……あー……そっ……」
笑顔で礼を言うナディアに、レナータは何とも歯切れの悪い返答をした。完全に虚を衝かれたような表情をしていたが、ハッと何かに気付いたように息を呑むと、頬杖を付きながらニヤリと笑った。
「それじゃあさ、あんたからアルを迎えに行ったらどう?」
「私から、ですか……?」
予想もしない提案に、ナディアは軽く目を瞠った。レナータが頷く。
「ああそうだよ。いつも遠征が終わったら、親睦を深めるって意味で宴会をするんだ。まあ、アルはいつも参加しないんだけど」
「そうなのですか?」
「どうせあんたが、寂しいとかそんなことを言ってるからだろ? あーあ、夫を黙って待っていられない妻ってどうなんだろうねえ?」
呆れたようにレナータが鼻で笑った。
知らなかった。
寂しいから早く帰ってきて欲しいなんて、一度も言ったことはないが、ナディアの言動に、そう思われてしまう何かがあったのかもしれない。
自分のせいで、夫が他の騎士たちとの親睦会を断っているなど、言語道断だ。
知らなかったこと、知ろうとしなかったことへの罪悪感が胸をよぎる。
「あんただって、部下との親睦を深めることがどれだけ大切か分かるだろ? だから――-」
俯くナディアの耳に、レナータの誘うような声が届く。
「あんたが宴会に参加するんだよ。そうすれば、アルだって無理して帰る必要がなくなる」
「あたしはね、アルと昔からの付き合いなの。小さい時はいつも一緒にいたし、一緒のベッドで寝たこともあるんだよ? あいつは昔から気が小さくて争い事は望まないような男だったけど、剣術の筋は良くてね。良くあたしの剣術の訓練に付き合わせていたの」
アルバートが今の地位にいるのが、まるで自分の手柄だと言いたげに、レナータは得意げに話す。そして、どこか含み笑いをした。
「まあ、十三歳ぐらいのとき突然『見聞を広げ学者になりたい』とか言って、隣国に十年も行ってたけど、戻ってきたかと思ったら騎士になってあたしの隊に入ってくるんだもん。びっくりしたわよ。あのひょろひょろだったアルが、いっぱしの男になって現れるんだもんね」
「確かに……昔のアルバート様は細かったですね……」
ナディアも自身の記憶を探りながら、レナータの言葉に同意した。
それを聞き、上機嫌に語っていたレナータの表情が一変した。眉間に皺を寄せ、はぁっ? と大袈裟な声をあげる。
「確かにってあんた……小さいときのアルを知らないでしょ? 何、知ったかしてんの?」
「いえ、十年前、アルバート様が隣国にやってこられたときにお会いしたことがありますので。確かにあの時のアルバート様は今よりも細身で、小さな御方だったと記憶しております。食が細かったせいでしょう」
さらに目を丸くするレナータ。
チッと小さく舌打ちをしたが、すぐさま両腕を組むと鼻で笑った。
「そ、そうだね! あいつ、小さいときから食が細くて、あたしの手作り料理をよく食べさせていたものだよ。本当は事前に毒見が必要なんだけど、あいつはあたしの料理を毒見させることなく食べてくれていた。つまりあたしたちは、信頼しあってる関係ってことなんだよ」
誰も聞いていないのに、レナータは早口でまくし立てた。
言いたいことは分かる。確かに貴族ともなると命を狙われる機会も増える。自分が口にするも毒見無しで食べるということは、信頼関係がなければできないのだ。
レナータの発言が本当であれば、アルバートと彼女の間に信頼関係があるのだろう。
ナディアの思いを感じ取ったのか、レナータは満足げに息を吐きだすと、話題を変えた。
「そういや、あんたとアルは確か王命での結婚だったらしいね」
「……左様でございます」
レナータの質問に、ナディアは僅かな空白の後、頷きながら答えた。
アルバートとナディアは、訳あって、ワイドルク王国国王からの命令で結婚をした。
夫は、ナディアに愛情をもって大切に接してくれているし、何一つ不満はない。だがレナータには、そう思われていないようだ。
「あたしの隊に入って来て二年後に、突然あんたと結婚を王様から命じられるんだもん。びっくりしたよ。可哀想だよねえ、アルも。王様も、結婚相手ぐらい自分で決めさせてやりゃいいのにさ。学者になるって言ってた甘ちゃんが、やっと心を決めて騎士になり、あたしの隊に入って来たっていうのに」
「……は、はぁ」
夫のどの辺が可哀想なのか意味が分からず、ナディアは気が抜けた返事をすることしか出来なかった。だがその声色が寂しげに聞こえたのか、レナータの瞳が、可哀想なものを見るように細められる。
「ああ、もちろん、あんたにも同情してるよ。あんたにだって心を寄せていた相手ぐらいいたんじゃないのかい?」
「まあ……父が決めた相手はおりましたが、でも――」
「ああっ、やっぱりあんたたち夫婦には同情するよ! 神様も酷いことをするもんだよ! お互い、本来結ばれるべき相手と引き裂かれているんだから」
「あ、あのっ……?」
やはり、レナータが何を思ってナディアたち夫婦を可哀想だと言っているのか、意味が分からない。
確かにナディアには父親が決めた結婚相手がいたが、それは正式な手続きを踏んで、きちんと解消されているし、相手も納得している。
アルバートと結婚したことに、何一つ落ち度は無いのだが。
レナータの演説はしばらく続いていた。アルバートがどれだけ自分と親密な関係だったかを語り、彼とナディアが可哀想だと嘆いた。
ナディアは、疑問が顔に出ないように、ひたすら微笑みの仮面をかぶり続けた。
ふと窓を見ると、陽が傾きかけていた。意外と長い間、滞在していたようだ。
そろそろ帰らなければならない。何故なら今日はアルバートが遠征から帰ってくる日からだ。
立派に務めを果たした夫を、笑顔で出迎えたかった。
「レナータ様、私はそろそろ……」
「えー? まだいいじゃないか」
「申し訳ございません。アルバート様がそろそろお戻りになると思いますから……」
「妻は夫よりも早く帰って、出迎えなきゃなんないってわけ? そうやって旦那に媚びを売ってるのかい? はぁー、やっぱり女ってめんどくさ。アルは、王命で結婚した妻が出迎えても出迎えなくても、気になんてしないよ」
やれやれと、レナータは呆れたように首を横に振った。
何か誤解をされているようだ。
そう感じたナディアは、ゆっくりと口を開いた。
「そういうわけではございません。アルバート様はいつも優しく、私が出かける時は、ご自身のことなど気にせず楽しんでくるようにと仰ってくださいます。戻ってこられるアルバート様をお出迎えしたいのは、私の我が儘なのです」
アルバートが心の狭い人間だとは思われたくない。
その一心で、ナディアは自分の我が儘なのだとレナータに訴えた。レナータが口を挟む暇も無いほど早口になっていたことには、本人は気づいていない。
口を薄く開きながら、目を激しく瞬かせているレナータに向かって、ナディアは深々と礼をした。
「ありがとうございます、レナータ様。私のことを案じ、私が出迎えなくても気にしないと、アルバート様が心の広い方だと仰ってくださった優しさ、伝わりました」
「あ、うん……あー……そっ……」
笑顔で礼を言うナディアに、レナータは何とも歯切れの悪い返答をした。完全に虚を衝かれたような表情をしていたが、ハッと何かに気付いたように息を呑むと、頬杖を付きながらニヤリと笑った。
「それじゃあさ、あんたからアルを迎えに行ったらどう?」
「私から、ですか……?」
予想もしない提案に、ナディアは軽く目を瞠った。レナータが頷く。
「ああそうだよ。いつも遠征が終わったら、親睦を深めるって意味で宴会をするんだ。まあ、アルはいつも参加しないんだけど」
「そうなのですか?」
「どうせあんたが、寂しいとかそんなことを言ってるからだろ? あーあ、夫を黙って待っていられない妻ってどうなんだろうねえ?」
呆れたようにレナータが鼻で笑った。
知らなかった。
寂しいから早く帰ってきて欲しいなんて、一度も言ったことはないが、ナディアの言動に、そう思われてしまう何かがあったのかもしれない。
自分のせいで、夫が他の騎士たちとの親睦会を断っているなど、言語道断だ。
知らなかったこと、知ろうとしなかったことへの罪悪感が胸をよぎる。
「あんただって、部下との親睦を深めることがどれだけ大切か分かるだろ? だから――-」
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