30 / 37
第三十話
しおりを挟む
「そうか……全く伝わっていないのか」
「ええそうよ」
「それは困ったな。どうするセドリック」
「どうするって……どうすりゃいいの?! 兄上はどうやって姉上を口説いたのさ?!」
「お見合いだったからな」
「そうね」
「ああもう、当てにならないよ! どうしよう!」
「頑張れ」
「頑張ってとしか言えないわ。ああそうだ、クリスティーナ様に王妃は厳しいかもしれないわ。だって、前世が山下さんよ?」
「ああ、なんか似てると思ってたけど、やっぱり彼女だったんだ。そうだな。いい子ではあるし、優秀だが王妃には向かないな」
「どういう事?!」
「彼女は優しすぎるのよ」
「前世でも顧客の評判は良かったんだが、厳しい事を言うのが苦手でな……麻里と組ませてからは実力を発揮していたんだけど、それまで評価は底辺だった」
「そうね、実力はあるんだけど……裏方タイプなのよ。表に出る事の多い王妃は物凄いストレスだと思うわ」
「……兄上ぇ」
「分かってる。ミシェルの恋がちゃんと実るなら、国王になるのは僕だろう。マリー、苦労をかけるけど良いかな?」
「元々覚悟は出来ていたわ。どちらでも構わないから、兄弟で決めてちょうだい。セドリックと一緒に居られるなら、王妃でもなんでもやるわ。王妃教育も、順調の筈でしょう?」
「マリー……ありがとう」
「姉さん、ごめん」
「気にしないで。それよりも、どうやってクリスティーナ様を口説くか考えてちょうだい。彼女は手強いわ。前世でも……ねぇ」
「クリスティーナは、恋人とか居たの?」
「うちの会社に在籍している間はずっとフリーだった」
「そうね……何度か彼女にアプローチした社員も居たけど、全員玉砕していたわ」
「なんで?! そんなに理想が高いの?! クリスティーナの好きなタイプは分かる?!」
「「二次元のヒーロー」」
「は? 二次元って何?」
「二次元って言うのは、要は絵よ。わたくし達の前世では、絵が動いて喋ったりするアニメとか、物語を体験するゲームがあったの。今回対策してるのも、ゲームよ」
「アドベンチャーブックみたいなものだって兄上が言うから、そう思ってたけど、実際はもっと違うの?」
「すまん、説明しづらくてこの世界のあるもので説明したんだ」
「こんな感じで、絵が動いたり、絵を中心に物語を表現するの。物語の中だから、完璧な人が多いのよ。主人公のピンチを颯爽と救ったり、現実じゃありえないくらい優しかったり、頭が良かったり、強かったり。そういう男性をヒーローと呼んだりするの。要は英雄ね。クリスティーナ様は、そういった物語やゲームに出てくるヒーローがお好きだったの」
そう言って、軽く絵を描いてミシェル様に見せます。わたくしの絵は写実的なので漫画とは違いますが、イメージは伝わるでしょう。
「それじゃあ……僕はクリスティーナの恋愛対象外って事……?」
「諦めるのは早いぞ。ミシェルなら対象になるかもしれん」
「ど、どうすればいいのさ?!」
「とりあえずミシェルを意識してもらおう。しばらくは、彼女の言うシナリオ通り演じる時以外はクリスティーナ嬢に関わるな」
「なんで?! タダでさえ相手にされてないんだよ?!」
「だからだよ。まずは意識してもらわないと始まらないだろ。幸い、この国には彼女の好きなゲームやアニメはない。そして、ミシェルは彼女の好きだったゲームの登場人物に瓜二つだ。僕は見た目が違うし、他の2人は既に婚約者が居るから彼女の恋愛対象になることはない」
「婚約者が居ても惹かれるとかは……ない? だって前世で好きだったんでしょ?!」
「ありえないと思うわ。クリスティーナ様も、前世の山下さんも倫理観に外れたことは大嫌いだもの。でも、セドリックの作戦は良いと思うんだけど、ちゃんとフォローしないと彼女はあっさり身を引くわよ」
「そうか……マリー、悪いけどフォローを頼む」
「任せて。ミシェル様に嫌われたと勘違いされないように、会う時は今以上に親しくして頂戴。邪魔をする令嬢は居なくなったけど、新入生は分からないから、しばらくは警戒が必要よ」
「分かった。休みが明ければ2年生だしね。明日は城に帰るだろう? 母上に会うのが怖い……」
「頑張るしかない。それからマリーの妹が入学してくる。マークはするけど、マリーは関わらないで」
「大丈夫よ。わたくしから話しかける事はないわ。貴族の殆どは事情を知っているし……クリスティーナ様にも警戒するように言っておいたから。クリスティーナ様は可愛らしいし、元平民だと隠していないから、ターゲットになったら困るもの。わたくしにはさすがに近寄らないと思うわよ。そこまでお馬鹿ではないと……思うけど……」
「甘いね。まぁでも大丈夫。マリーに接触した瞬間に退学だと通達してあるから」
「兄上……抜かりがなさ過ぎて怖いんだけど?」
「ミシェルもクリスティーナ嬢を守りたいならこれくらいは出来るようになれ」
「ええそうよ」
「それは困ったな。どうするセドリック」
「どうするって……どうすりゃいいの?! 兄上はどうやって姉上を口説いたのさ?!」
「お見合いだったからな」
「そうね」
「ああもう、当てにならないよ! どうしよう!」
「頑張れ」
「頑張ってとしか言えないわ。ああそうだ、クリスティーナ様に王妃は厳しいかもしれないわ。だって、前世が山下さんよ?」
「ああ、なんか似てると思ってたけど、やっぱり彼女だったんだ。そうだな。いい子ではあるし、優秀だが王妃には向かないな」
「どういう事?!」
「彼女は優しすぎるのよ」
「前世でも顧客の評判は良かったんだが、厳しい事を言うのが苦手でな……麻里と組ませてからは実力を発揮していたんだけど、それまで評価は底辺だった」
「そうね、実力はあるんだけど……裏方タイプなのよ。表に出る事の多い王妃は物凄いストレスだと思うわ」
「……兄上ぇ」
「分かってる。ミシェルの恋がちゃんと実るなら、国王になるのは僕だろう。マリー、苦労をかけるけど良いかな?」
「元々覚悟は出来ていたわ。どちらでも構わないから、兄弟で決めてちょうだい。セドリックと一緒に居られるなら、王妃でもなんでもやるわ。王妃教育も、順調の筈でしょう?」
「マリー……ありがとう」
「姉さん、ごめん」
「気にしないで。それよりも、どうやってクリスティーナ様を口説くか考えてちょうだい。彼女は手強いわ。前世でも……ねぇ」
「クリスティーナは、恋人とか居たの?」
「うちの会社に在籍している間はずっとフリーだった」
「そうね……何度か彼女にアプローチした社員も居たけど、全員玉砕していたわ」
「なんで?! そんなに理想が高いの?! クリスティーナの好きなタイプは分かる?!」
「「二次元のヒーロー」」
「は? 二次元って何?」
「二次元って言うのは、要は絵よ。わたくし達の前世では、絵が動いて喋ったりするアニメとか、物語を体験するゲームがあったの。今回対策してるのも、ゲームよ」
「アドベンチャーブックみたいなものだって兄上が言うから、そう思ってたけど、実際はもっと違うの?」
「すまん、説明しづらくてこの世界のあるもので説明したんだ」
「こんな感じで、絵が動いたり、絵を中心に物語を表現するの。物語の中だから、完璧な人が多いのよ。主人公のピンチを颯爽と救ったり、現実じゃありえないくらい優しかったり、頭が良かったり、強かったり。そういう男性をヒーローと呼んだりするの。要は英雄ね。クリスティーナ様は、そういった物語やゲームに出てくるヒーローがお好きだったの」
そう言って、軽く絵を描いてミシェル様に見せます。わたくしの絵は写実的なので漫画とは違いますが、イメージは伝わるでしょう。
「それじゃあ……僕はクリスティーナの恋愛対象外って事……?」
「諦めるのは早いぞ。ミシェルなら対象になるかもしれん」
「ど、どうすればいいのさ?!」
「とりあえずミシェルを意識してもらおう。しばらくは、彼女の言うシナリオ通り演じる時以外はクリスティーナ嬢に関わるな」
「なんで?! タダでさえ相手にされてないんだよ?!」
「だからだよ。まずは意識してもらわないと始まらないだろ。幸い、この国には彼女の好きなゲームやアニメはない。そして、ミシェルは彼女の好きだったゲームの登場人物に瓜二つだ。僕は見た目が違うし、他の2人は既に婚約者が居るから彼女の恋愛対象になることはない」
「婚約者が居ても惹かれるとかは……ない? だって前世で好きだったんでしょ?!」
「ありえないと思うわ。クリスティーナ様も、前世の山下さんも倫理観に外れたことは大嫌いだもの。でも、セドリックの作戦は良いと思うんだけど、ちゃんとフォローしないと彼女はあっさり身を引くわよ」
「そうか……マリー、悪いけどフォローを頼む」
「任せて。ミシェル様に嫌われたと勘違いされないように、会う時は今以上に親しくして頂戴。邪魔をする令嬢は居なくなったけど、新入生は分からないから、しばらくは警戒が必要よ」
「分かった。休みが明ければ2年生だしね。明日は城に帰るだろう? 母上に会うのが怖い……」
「頑張るしかない。それからマリーの妹が入学してくる。マークはするけど、マリーは関わらないで」
「大丈夫よ。わたくしから話しかける事はないわ。貴族の殆どは事情を知っているし……クリスティーナ様にも警戒するように言っておいたから。クリスティーナ様は可愛らしいし、元平民だと隠していないから、ターゲットになったら困るもの。わたくしにはさすがに近寄らないと思うわよ。そこまでお馬鹿ではないと……思うけど……」
「甘いね。まぁでも大丈夫。マリーに接触した瞬間に退学だと通達してあるから」
「兄上……抜かりがなさ過ぎて怖いんだけど?」
「ミシェルもクリスティーナ嬢を守りたいならこれくらいは出来るようになれ」
19
あなたにおすすめの小説
私を簡単に捨てられるとでも?―君が望んでも、離さない―
喜雨と悲雨
恋愛
私の名前はミラン。街でしがない薬師をしている。
そして恋人は、王宮騎士団長のルイスだった。
二年前、彼は魔物討伐に向けて遠征に出発。
最初は手紙も返ってきていたのに、
いつからか音信不通に。
あんなにうっとうしいほど構ってきた男が――
なぜ突然、私を無視するの?
不安を抱えながらも待ち続けた私の前に、
突然ルイスが帰還した。
ボロボロの身体。
そして隣には――見知らぬ女。
勝ち誇ったように彼の隣に立つその女を見て、
私の中で何かが壊れた。
混乱、絶望、そして……再起。
すがりつく女は、みっともないだけ。
私は、潔く身を引くと決めた――つもりだったのに。
「私を簡単に捨てられるとでも?
――君が望んでも、離さない」
呪いを自ら解き放ち、
彼は再び、執着の目で私を見つめてきた。
すれ違い、誤解、呪い、執着、
そして狂おしいほどの愛――
二人の恋のゆくえは、誰にもわからない。
過去に書いた作品を修正しました。再投稿です。
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
婚約者が最凶すぎて困っています
白雲八鈴
恋愛
今日は婚約者のところに連行されていました。そう、二か月は不在だと言っていましたのに、一ヶ月しか無かった私の平穏。
そして現在進行系で私は誘拐されています。嫌な予感しかしませんわ。
最凶すぎる第一皇子の婚約者と、その婚約者に振り回される子爵令嬢の私の話。
*幼少期の主人公の言葉はキツイところがあります。
*不快におもわれましたら、そのまま閉じてください。
*作者の目は節穴ですので、誤字脱字があります。
*カクヨム。小説家になろうにも投稿。
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
伝える前に振られてしまった私の恋
喜楽直人
恋愛
第一部:アーリーンの恋
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
第二部:ジュディスの恋
王女がふたりいるフリーゼグリーン王国へ、十年ほど前に友好国となったコベット国から見合いの申し入れがあった。
周囲は皆、美しく愛らしい妹姫リリアーヌへのものだと思ったが、しかしそれは賢しらにも女性だてらに議会へ提案を申し入れるような姉姫ジュディスへのものであった。
「何故、私なのでしょうか。リリアーヌなら貴方の求婚に喜んで頷くでしょう」
誰よりもジュディスが一番、この求婚を訝しんでいた。
第三章:王太子の想い
友好国の王子からの求婚を受け入れ、そのまま攫われるようにしてコベット国へ移り住んで一年。
ジュディスはその手を取った選択は正しかったのか、揺れていた。
すれ違う婚約者同士の心が重なる日は来るのか。
コベット国のふたりの王子たちの恋模様
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
憧れと結婚〜田舎令嬢エマの幸福な事情〜
帆々
恋愛
エマは牧歌的な地域で育った令嬢だ。
父を亡くし、館は経済的に恵まれない。姉のダイアナは家庭教師の仕事のため家を出ていた。
そんな事情を裕福な幼なじみにからかわれる日々。
「いつも同じドレスね」。「また自分で縫ったのね、偉いわ」。「わたしだったらとても我慢できないわ」————。
決まった嫌味を流すことにも慣れている。
彼女の楽しみは仲良しの姉から届く手紙だ。
穏やかで静かな暮らしを送る彼女は、ある時レオと知り合う。近くの邸に滞在する名門の紳士だった。ハンサムで素敵な彼にエマは思わず恋心を抱く。
レオも彼女のことを気に入ったようだった。二人は親しく時間を過ごすようになる。
「邸に招待するよ。ぜひ家族に紹介したい」
熱い言葉をもらう。レオは他の女性には冷たい。優しいのは彼女だけだ。周囲も認め、彼女は彼に深く恋するように。
しかし、思いがけない出来事が知らされる。
「どうして?」
エマには出来事が信じられなかった。信じたくない。
レオの心だけを信じようとするが、事態は変化していって————。
魔法も魔術も出て来ない異世界恋愛物語です。古風な恋愛ものをお好きな方にお読みいただけたら嬉しいです。
ハッピーエンドをお約束しております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
婚約者から悪役令嬢と呼ばれた公爵令嬢は、初恋相手を手に入れるために完璧な淑女を目指した。
石河 翠
恋愛
アンジェラは、公爵家のご令嬢であり、王太子の婚約者だ。ところがアンジェラと王太子の仲は非常に悪い。王太子には、運命の相手であるという聖女が隣にいるからだ。
その上、自分を敬うことができないのなら婚約破棄をすると言ってきた。ところがアンジェラは王太子の態度を気にした様子がない。むしろ王太子の言葉を喜んで受け入れた。なぜならアンジェラには心に秘めた初恋の相手がいるからだ。
実はアンジェラには未来に行った記憶があって……。
初恋の相手を射止めるために淑女もとい悪役令嬢として奮闘するヒロインと、いつの間にかヒロインの心を射止めてしまっていた巻き込まれヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:22451675)をお借りしています。
こちらは、『婚約者から悪役令嬢と呼ばれた自称天使に、いつの間にか外堀を埋められた。』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/572212123/891918330)のヒロイン視点の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる