旦那様は、転生後は王子様でした

編端みどり

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第三十一話

「ミシェル……貴方は何をやっているの?」

「ははは……母上ぇ……」

城に戻ると、案の定王妃様はお冠でした。

「聞いたわよ。クリスティーナ様は全く貴方を意識していないみたいね。1年もあったのに、何をやっているの?」

「め……面目ありませんっ!」

「全く、転生者だし変な事言う子かと思ったら、案外しっかりしているし、知識も豊富だから貴方の相手にピッタリだと思ったのに! どうして口説けないの?! 貴方はいつも令嬢をあしらってばかりだから、口説き方を知らないんじゃなくて!?」

「母上、落ち着いて下さい」

「セドリック! 貴方はマリーが居るから良いけど、ミシェルはこの歳でまだ婚約者が居ないのよ?! 学園卒業までにクリスティーナ様を口説けなかったら、わたくしが縁談を纏めますからね!」

「そ……そんなぁ……」

「クリスティーナ様は転生者なんだから、彼女の意に沿わない縁談は不可能よ。クリスティーナ様が貴方と添い遂げたいと思わなければ、彼女は諦めなさい」

「母上、それは出来ません」

「あら、きっぱり言うじゃない」

「はい、僕はクリスティーナを愛しています。最初は変な子だと思いました。それに、彼女と居ると意にそぐわない事をしてしまい、不気味でした。でも、恐怖を感じていたのはクリスティーナも同じだったんです。僕が普通に会話を出来た時、彼女は泣いていました。その時、とても愛しく感じたんです。それから話す度に惹かれていきました。兄上が、あれだけ姉さんを愛している理由もわかりました。僕は、彼女と結婚したい。クリスティーナでなければ駄目なんです」

「ですってよ。ねぇ、うちの子は情熱的でしょう? 決して不幸にはさせないわ。ミシェルとの事、考えて下さらない?」

そう言って王妃様は、クローゼットをお開けになりました。

そこには、真っ赤な顔で子犬のように震えるクリスティーナ様がいらっしゃいました。

「み……ミシェル……様が……わたしを……?」

「母上、図りましたね」

「何か問題がある?」

「大ありです! 僕はちゃんとクリスティーナを口説きたかったのに!」

「余計な事をしたのは分かってるわよ。だけど、外堀ばかり埋めても仕方ないでしょう? 周りから貴方の気持ちを聞かれる方が困るわよ。クリスティーナ様が普通の貴族令嬢なら、わたくしだってさっさと縁談を纏めるわ。でも、クリスティーナ様は転生者なの。彼女の気持ちを置いてけぼりには出来ないのよ。少し話をしたら、ミシェルを嫌ってはいなさそうだったから、ちょっとここに隠れて貰ったの。本音が聞けるかなと思ったけど、思ったより情熱的だったわね。さ、もう邪魔はしないわ。セドリック、マリー、行くわよ」

「ごめん、ちょっとだけ2人で話して良いかな?」

「分かった。クリスティーナ嬢、ミシェルは貴方に不埒な事はしないと思うが、困ったらこのベルを鳴らしてくれ。すぐに誰か駆けつける。ミシェル、こうなったら小細工は不要だ。きちんと彼女と話せ」

「クリスティーナ様、大丈夫?」

「ままま……マリー様ぁぁ……!」

「ミシェル様とお話し、出来そう?」

「大丈夫……です。ミシェル様がお優しいのは分かってます。ただ、どうして良いか分からないだけなんです」

「今すぐ結論を出す必要はないわ。ただ、ミシェル様の話を聞いて下さる? もちろん、わたくし達は席を外すわ。それに、危険な事もないわ。セドリックがベルを渡してくれたでしょう? そのベルが鳴れば、すぐに人が来るわ。試してみる?」

「……いえ、大丈夫です。取り乱して申し訳ありません。ミシェル様の話を、ちゃんと聞きます」

「兄上、姉上……ありがとう」

「あら? わたくしにはお礼はないの?」

「母上には、感謝もありますが怒りもあるので今はお礼は言えません!」

「あら残念。クリスティーナ様、余計な事してごめんなさいね。最近はミシェルへの縁談の申し出がひっきりなしなの。だから、ミシェルが嫌だと思ったら遠慮なく振ってちょうだいね」

そう言って、王妃様はさっさと部屋を出てしまいました。

「ミシェル様に……縁談……」

あら? クリスティーナ様がショックを受けておられます。強引でしたが、案外効果があったかもしれませんわね。

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