31 / 37
第三十一話
「ミシェル……貴方は何をやっているの?」
「ははは……母上ぇ……」
城に戻ると、案の定王妃様はお冠でした。
「聞いたわよ。クリスティーナ様は全く貴方を意識していないみたいね。1年もあったのに、何をやっているの?」
「め……面目ありませんっ!」
「全く、転生者だし変な事言う子かと思ったら、案外しっかりしているし、知識も豊富だから貴方の相手にピッタリだと思ったのに! どうして口説けないの?! 貴方はいつも令嬢をあしらってばかりだから、口説き方を知らないんじゃなくて!?」
「母上、落ち着いて下さい」
「セドリック! 貴方はマリーが居るから良いけど、ミシェルはこの歳でまだ婚約者が居ないのよ?! 学園卒業までにクリスティーナ様を口説けなかったら、わたくしが縁談を纏めますからね!」
「そ……そんなぁ……」
「クリスティーナ様は転生者なんだから、彼女の意に沿わない縁談は不可能よ。クリスティーナ様が貴方と添い遂げたいと思わなければ、彼女は諦めなさい」
「母上、それは出来ません」
「あら、きっぱり言うじゃない」
「はい、僕はクリスティーナを愛しています。最初は変な子だと思いました。それに、彼女と居ると意にそぐわない事をしてしまい、不気味でした。でも、恐怖を感じていたのはクリスティーナも同じだったんです。僕が普通に会話を出来た時、彼女は泣いていました。その時、とても愛しく感じたんです。それから話す度に惹かれていきました。兄上が、あれだけ姉さんを愛している理由もわかりました。僕は、彼女と結婚したい。クリスティーナでなければ駄目なんです」
「ですってよ。ねぇ、うちの子は情熱的でしょう? 決して不幸にはさせないわ。ミシェルとの事、考えて下さらない?」
そう言って王妃様は、クローゼットをお開けになりました。
そこには、真っ赤な顔で子犬のように震えるクリスティーナ様がいらっしゃいました。
「み……ミシェル……様が……わたしを……?」
「母上、図りましたね」
「何か問題がある?」
「大ありです! 僕はちゃんとクリスティーナを口説きたかったのに!」
「余計な事をしたのは分かってるわよ。だけど、外堀ばかり埋めても仕方ないでしょう? 周りから貴方の気持ちを聞かれる方が困るわよ。クリスティーナ様が普通の貴族令嬢なら、わたくしだってさっさと縁談を纏めるわ。でも、クリスティーナ様は転生者なの。彼女の気持ちを置いてけぼりには出来ないのよ。少し話をしたら、ミシェルを嫌ってはいなさそうだったから、ちょっとここに隠れて貰ったの。本音が聞けるかなと思ったけど、思ったより情熱的だったわね。さ、もう邪魔はしないわ。セドリック、マリー、行くわよ」
「ごめん、ちょっとだけ2人で話して良いかな?」
「分かった。クリスティーナ嬢、ミシェルは貴方に不埒な事はしないと思うが、困ったらこのベルを鳴らしてくれ。すぐに誰か駆けつける。ミシェル、こうなったら小細工は不要だ。きちんと彼女と話せ」
「クリスティーナ様、大丈夫?」
「ままま……マリー様ぁぁ……!」
「ミシェル様とお話し、出来そう?」
「大丈夫……です。ミシェル様がお優しいのは分かってます。ただ、どうして良いか分からないだけなんです」
「今すぐ結論を出す必要はないわ。ただ、ミシェル様の話を聞いて下さる? もちろん、わたくし達は席を外すわ。それに、危険な事もないわ。セドリックがベルを渡してくれたでしょう? そのベルが鳴れば、すぐに人が来るわ。試してみる?」
「……いえ、大丈夫です。取り乱して申し訳ありません。ミシェル様の話を、ちゃんと聞きます」
「兄上、姉上……ありがとう」
「あら? わたくしにはお礼はないの?」
「母上には、感謝もありますが怒りもあるので今はお礼は言えません!」
「あら残念。クリスティーナ様、余計な事してごめんなさいね。最近はミシェルへの縁談の申し出がひっきりなしなの。だから、ミシェルが嫌だと思ったら遠慮なく振ってちょうだいね」
そう言って、王妃様はさっさと部屋を出てしまいました。
「ミシェル様に……縁談……」
あら? クリスティーナ様がショックを受けておられます。強引でしたが、案外効果があったかもしれませんわね。
「ははは……母上ぇ……」
城に戻ると、案の定王妃様はお冠でした。
「聞いたわよ。クリスティーナ様は全く貴方を意識していないみたいね。1年もあったのに、何をやっているの?」
「め……面目ありませんっ!」
「全く、転生者だし変な事言う子かと思ったら、案外しっかりしているし、知識も豊富だから貴方の相手にピッタリだと思ったのに! どうして口説けないの?! 貴方はいつも令嬢をあしらってばかりだから、口説き方を知らないんじゃなくて!?」
「母上、落ち着いて下さい」
「セドリック! 貴方はマリーが居るから良いけど、ミシェルはこの歳でまだ婚約者が居ないのよ?! 学園卒業までにクリスティーナ様を口説けなかったら、わたくしが縁談を纏めますからね!」
「そ……そんなぁ……」
「クリスティーナ様は転生者なんだから、彼女の意に沿わない縁談は不可能よ。クリスティーナ様が貴方と添い遂げたいと思わなければ、彼女は諦めなさい」
「母上、それは出来ません」
「あら、きっぱり言うじゃない」
「はい、僕はクリスティーナを愛しています。最初は変な子だと思いました。それに、彼女と居ると意にそぐわない事をしてしまい、不気味でした。でも、恐怖を感じていたのはクリスティーナも同じだったんです。僕が普通に会話を出来た時、彼女は泣いていました。その時、とても愛しく感じたんです。それから話す度に惹かれていきました。兄上が、あれだけ姉さんを愛している理由もわかりました。僕は、彼女と結婚したい。クリスティーナでなければ駄目なんです」
「ですってよ。ねぇ、うちの子は情熱的でしょう? 決して不幸にはさせないわ。ミシェルとの事、考えて下さらない?」
そう言って王妃様は、クローゼットをお開けになりました。
そこには、真っ赤な顔で子犬のように震えるクリスティーナ様がいらっしゃいました。
「み……ミシェル……様が……わたしを……?」
「母上、図りましたね」
「何か問題がある?」
「大ありです! 僕はちゃんとクリスティーナを口説きたかったのに!」
「余計な事をしたのは分かってるわよ。だけど、外堀ばかり埋めても仕方ないでしょう? 周りから貴方の気持ちを聞かれる方が困るわよ。クリスティーナ様が普通の貴族令嬢なら、わたくしだってさっさと縁談を纏めるわ。でも、クリスティーナ様は転生者なの。彼女の気持ちを置いてけぼりには出来ないのよ。少し話をしたら、ミシェルを嫌ってはいなさそうだったから、ちょっとここに隠れて貰ったの。本音が聞けるかなと思ったけど、思ったより情熱的だったわね。さ、もう邪魔はしないわ。セドリック、マリー、行くわよ」
「ごめん、ちょっとだけ2人で話して良いかな?」
「分かった。クリスティーナ嬢、ミシェルは貴方に不埒な事はしないと思うが、困ったらこのベルを鳴らしてくれ。すぐに誰か駆けつける。ミシェル、こうなったら小細工は不要だ。きちんと彼女と話せ」
「クリスティーナ様、大丈夫?」
「ままま……マリー様ぁぁ……!」
「ミシェル様とお話し、出来そう?」
「大丈夫……です。ミシェル様がお優しいのは分かってます。ただ、どうして良いか分からないだけなんです」
「今すぐ結論を出す必要はないわ。ただ、ミシェル様の話を聞いて下さる? もちろん、わたくし達は席を外すわ。それに、危険な事もないわ。セドリックがベルを渡してくれたでしょう? そのベルが鳴れば、すぐに人が来るわ。試してみる?」
「……いえ、大丈夫です。取り乱して申し訳ありません。ミシェル様の話を、ちゃんと聞きます」
「兄上、姉上……ありがとう」
「あら? わたくしにはお礼はないの?」
「母上には、感謝もありますが怒りもあるので今はお礼は言えません!」
「あら残念。クリスティーナ様、余計な事してごめんなさいね。最近はミシェルへの縁談の申し出がひっきりなしなの。だから、ミシェルが嫌だと思ったら遠慮なく振ってちょうだいね」
そう言って、王妃様はさっさと部屋を出てしまいました。
「ミシェル様に……縁談……」
あら? クリスティーナ様がショックを受けておられます。強引でしたが、案外効果があったかもしれませんわね。
あなたにおすすめの小説
始まりはよくある婚約破棄のように
喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
白い結婚のまま、旦那様は薔薇のような美人に夢中になりました
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢リディアは、美貌で有名な侯爵レオンハルトに嫁いだ。
けれど結婚して二年、夫婦は一度も結ばれないまま――白い結婚だった。
それでも旦那様は優しかった。
冷たいわけではない。気づかいの言葉も、穏やかな笑顔もくれる。
だからリディアは、愛されてはいなくても、いつか少しは夫婦になれるのではないかと信じていた。
そんなある日、彼女は知ってしまう。
旦那様が薔薇の君と呼ばれる絶世の美女に心を奪われていることを。
彼が触れなかったのは私にだけだったのだと。
都合のいい奥方として、役に立っていたと悟る
静かに離縁を決意したリディアは、実家へ戻ったあと、女子学院で働き始める。
すると侯爵夫人時代には当たり前だった実務のすべてが、外では驚くほど必要とされていた。
感謝され、認められ、自分の足で立ち始めた彼女は、少しずつ見違えるほど美しくなっていく
【完結】恋の終焉~愛しさあまって憎さ1000倍~
つくも茄子
恋愛
五大侯爵家、ミネルヴァ・リゼ・ウォーカー侯爵令嬢は第二王子の婚約者候補。それと同時に、義兄とも婚約者候補の仲という複雑な環境に身を置いていた。
それも第二王子が恋に狂い「伯爵令嬢(恋人)を妻(正妃)に迎えたい」と言い出したせいで。
第二王子が恋を諦めるのが早いか。それとも臣籍降下するのが早いか。とにかく、選ばれた王子の婚約者候補の令嬢達にすれば迷惑極まりないものだった。
ミネルヴァは初恋の相手である義兄と結婚する事を夢見ていたというに、突然の王家からの横やりに怒り心頭。それでも臣下としてグッと堪えた。
そんな中での義兄の裏切り。
愛する女性がいる?
その相手と結婚したい?
何を仰っているのでしょうか?
混乱するミネルヴァを置き去りに義兄はどんどん話を続ける。
「お義兄様、あなたは婿入りのための養子縁組ですよ」と言いたいのをグッと堪えたミネルヴァであった。義兄を許す?許さない?答えは一つ。
禁断の関係かもしれないが、それが?
しゃーりん
恋愛
王太子カインロットにはラフィティという婚約者がいる。
公爵令嬢であるラフィティは可愛くて人気もあるのだが少し頭が悪く、カインロットはこのままラフィティと結婚していいものか、悩んでいた。
そんな時、ラフィティが自分の代わりに王太子妃の仕事をしてくれる人として連れて来たのが伯爵令嬢マリージュ。
カインロットはマリージュが自分の異母妹かもしれない令嬢だということを思い出す。
しかも初恋の女の子でもあり、マリージュを手に入れたいと思ったカインロットは自分の欲望のためにラフィティの頼みを受け入れる。
兄妹かもしれないが子供を生ませなければ問題ないだろう?というお話です。