【完結】君の手が、入道雲を彫る

江夏みどり

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第11章

第1話 1日遅れの準備期間開始

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 月曜日、夕方。天候も落ち着いた中、学校終わりにそのまま雪まつり会場に3人は向かった。

「着いた!」

 霜矢そうやが興奮気味にはしゃぐ。
 他のチームはもう作業を開始しているところもあり、寒い気温とは対照的に、めらめらと熱気がみなぎっている。

 夏樹たちのチームは第二会場というところで、メインの大通公園への展示はかなわなかったが、それでも人通りの多い場所だった。

 雪を運ぶために、いたるところでトラックが頻繁に行き来している。
 雪まつりに使われる雪は基礎と表面の2種類に分かれている。
 基礎の雪は、しっかり固まる不純物の少ない雪で、形を作った後に表面を白い雪で整える。

 持ち場へ行くと、既に足場が組まれ、基礎雪が運び込まれていた。

「おお!」

 霜矢が雪を手でたたいて嬉しそうに笑う。

「こんなにいい雪なかなかないよ。彫るのが楽しみだな!」

 スコップ、ヘラ、銅線などを用意して、早速大まかな形を作る作業に入った。
 安全上の配慮から、作業は20時までと決められている。それまでに、なるべく進めておきたい。

「みなさーん、差し入れを持ってきました!」

 江角えすみが紙袋を持ってきてくれる。
 中身を覗き込んで、深冬みふゆが「わあ、どら焼き」と嬉しそうに言った。

「我々は少し離れた場所で撮影してますね。それじゃ!」

 江角が会釈して、カメラマンを連れて会場を出て行った。

 もらったどら焼きをほおばりながら、夏樹はまだそれらしい形になっていない雪像を見上げる。
 高いところに登って作業する霜矢の顔には汗が光り、目はらんらんと輝いていた。

須縄すの、降りて来いよ。どら焼き食おうぜ」
「まだいい」
「馬鹿、汗かいたら霜焼けになるぞ。運営からも注意あっただろ」

 夏樹に叱られて、霜矢がむくれながら降りてきた。

「もうちょっと作業したいのに……」
「お前、興奮しすぎだ。ちょっと抑えろ。まだ2週間弱もあるんだぞ」
「はーい」

 夏樹自身も、もどかしくは思っている。
 今までの選考会とは異なり、今回の準備期間は長期戦だ。一回に全力をかけるのではなく、セーブしながらうまく立ち回ることが優先される。

 その分、体力や体調の管理も求められる。
 突っ走りたい気持ちは痛いほどわかるが、ここは我慢だ。




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